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読書備忘録

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小さな書評集と称して、推薦図書を紹介しております。当記事が素敵な本と出会うきっかけになりましたら幸いです。
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#読書

【読書備忘録】2666から心経まで

 お久しぶりです。久しぶりすぎて序文の感覚を忘れてしまいました。最後の投稿日は2022年7月31日なので、1年以上【読書備忘録】の更新を怠っていたことになります。継続的に読んでくださっていた方々には誠に申しわけありません。  別に飽きたわけでもやめたわけでもなく、複合的原因でこのような予告なしの長期休止に至りました。その理由には「本を買うお金がなかったから」という身も蓋もないものから、精神的問題による停滞と別件の作業が想像以上に影響したことがあげられるのですが、こんないいわけ

【読書備忘録】日本怪談集から審判まで

 前回の投稿から長期間更新が途絶えてしまいました。楽しみにしていただいている方々に申しわけないです。別件の作業に体調面の問題、ほかにも金欠で新刊を全然買えなかったりと色々絡み、記事作成する気力が枯渇していました。気が付けば季節は夏。自己管理能力が試される時期だけに熱中症対策には注意しています。皆さまも何卒お身体を労ってください。というわけで今回は夏に相応しく怪談集の紹介から始めようと思います。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 *  *  *  *  * 日本怪談

【読書備忘録】貧しき人びとからケルト人の夢まで

 読書備忘録を書き始めてから5年近く経過するのですが、昔の記事を読み返すと文章量の少なさに「こんなんだったっけ」と首を傾げてしまいます。もっとも当初はTwitterに流した文章を若干修正して載せていただけなのでスカスカなのはあたり前ですね。現在の500~700字は批評要素を加える余地はないものの、著者・概要・感想を最低限抑えられる点は読書備忘録のコンセプトに適しているのかなと思っています。35回目となる今回も素敵な本を揃えていますので、是非最後までご覧くださいませ。 *  

【読書備忘録】ブリーディング・エッジから犬を愛した男まで

 前回から間が開いてしまいました。相変わらず陰気な読書生活を送っていたのですが、長期的な体調不良とか色々かさなり執筆速度が著しく落ちていました。ただでさえカタツムリより鈍足なのにこの為体。到底許せるものではありません。年末も近いですし、もうちょっとお尻を蝋燭の火で温めて加速しようと思います。  今回は偉大なる現代アメリカ文学の巨匠、トマス・ピンチョン御大の最新作から始めます。最後までお楽しみください。 *  *  *  *  * ブリーディング・エッジ*新潮社(2021)

【読書備忘録】ルネサンスの文学から明治深刻悲惨小説集まで

 今回紹介する書籍は『八面体』以外DMMブックスで購入した電子書籍です。意図的に選択したわけではありません。公開前は偏りすぎなのが気にかかり入れ替えることも検討したのですが、例の割引で莫大な損失をもたらしたDMMブックスにありがたいようなすまないような複雑な思いを抱いているので、激励と感謝の意を込めて変更しないことに決めました。元々講談社の学術文庫・文芸文庫は好きですからね。改めましてDMMブックスさん、ありがとうございました。 *  *  *  *  * ルネサンスの文

【読書備忘録】夜間飛行から黒衣の女まで

 先日DMMブックスの初回購入限定70%OFFクーポンを利用しました。100冊まで購入可らしいので、お言葉に甘えてバスケットを満杯に。電子書籍は楽天Koboを贔屓しているのですが、瞬時にしてDMMブックスの購入数が首位に躍り出ましたね。世の中何が起こるかわからないものです。  当方の「欲しい本リスト」の上位は電子書籍化しない(文庫化もしない)傾向にあるため、欲しい本はまだまだ山のようにあります。それでもリストをダイエットさせられたのは嬉しいですね。しばらく楽しめそうです。善き

【読書備忘録】服従からガラスの国境まで

 10回を超えると記事を微調整するのが習わしです。今回は31回目、30の世界に突入したのでカバー画像と当記事の説明文をちょっと変えました。字数の目安も変更。昔は500字以内だったのに、徐々に増加傾向にあり今では700字を超えることもめずらしくないですからね。また、これまでは書影を画像リンクにしていましたが、リンクとわかりにくいためそのまま埋め込む形式にしました。  写真は自前で用意したいのですが、写真撮影はiPhone頼みですし、技術もお粗末だけに少々難しいです。でも、いずれ

【読書備忘録】幻獣辞典からマリーナの三十番目の恋まで

 今回で【読書備忘録】は30回目を迎えました。数ある記事の中から、この小さな書評集を見付けて読んでくださっている方々には感謝の言葉もありません。今後も出会ってきた良書を紹介するとともに、読書の楽しさを伝えていけるよう精進します。  推薦図書の決まりは特にありません。強いていえばバラエティは意識していますね。国内外の書籍を選んだり、翻訳書でも新刊から旧刊まで対象を広げるなど、少しだけ意外性を含ませながら精選しています。もっとも多様性を求めているとはいえ、過去記事が物語っているよ

【読書備忘録】オーバーストーリーから丁庄の夢まで

 本文とは関係ないのですが、最近ものがよく壊れます。それも長期間現役生活を続けてきた長寿の家具類が次々と。夏の終り頃には10歳を超えるエアコンが壊れ、秋口には長兄のおさがりで30歳を超える学習机(作業用)が壊れ、先日40歳を超える電灯の照明カバーが壊れました。寝ていたら突然照明カバーが落ちてきたので心臓が口から出そうになりました。その前にも電気スタンドの傘が粉々になって買い替えましたし、明日は何が壊れるのだろうと戦々兢々する日々を送っています。学習机も棚の雑誌類を全部おろした

【読書備忘録】チボの狂宴から世界の果ての庭まで

 八月上旬にはある程度できていたのですが、体調不良などで下旬まで公開が遅れてしまいました。お待ちくださっていた方々、大変申しわけありません。空模様を見ると夏の盛りはすぎたのかなと思うこの頃。それでも酷暑は続いていますので、皆さまくれぐれもお身体にはお気を付けてください。  この夏も貴重な読書体験をしました。私生活で憂鬱になることもありますが、頭の中がもやもやしたら「とりあえず本を読む」に限ると再認識した次第です。 *  *  *  *  * チボの狂宴 *作品社(2010

【読書備忘録】帝都最後の恋から草迷宮まで

 人には独自の読書法があると思います。手あたり次第に読む人も、ある程度順番を決めて読む人もいることでしょう。私は恐らく後者に分類されるでしょう。具体的な数は決めませんが、いつも初読・再読併せて一〇冊前後候補を用意します。そのため【読書備忘録】における選書に(意図しているわけではないのですけれども)テーマ性が生まれることがあります。もしかすると、今回の選書にも何らかの法則がうかがえるかも? *  *  *  *  * 帝都最後の恋 占いのための手引き書*松籟社(2009)

【読書備忘録】ラテンアメリカ民話集からグアテマラ伝説集まで

 今回はラテンアメリカの文学作品を多数とりあげています。狙ったわけではないのですが、結果的に自分の趣味をさらけだすかたちになりました。勿論愛好家の方と共有するだけではなく、不慣れな方にも興味を持っていただける記事を心がけて書いています。是非ご一読を。  今、苦労の絶えない時代を迎えています。その中、こうした推薦図書記事を公開することで書籍に関わる方々に少しでも協力できれば幸いです。 * * * * * ラテンアメリカ民話集*岩波文庫(2019) *三原幸久(編訳)  岩崎

【読書備忘録】わたしの物語から無音の海まで

 色々小説を読んでいると、体力を奪う夢魔のような作品に出会うことがあります。読書中は精神を掻き乱されて、中断していても心は休まりません。そして、読書を再開するさいには自分を奮い起こしてきたるべき動揺に備えます。当然読了後にはドッと疲労が出ることになります。  こう話すと否定的な印象を抱かれる人もいるでしょう。読んでいて疲れるのはプロットが破綻していたり悪文だったりするせいではないのか、と。実際は逆であることが多いです。ここで語る動揺とは筋・人物・表現といった物語の構成要素が濃

【読書備忘録】魔法の夜から神秘列車まで

 ここ数日諸事情で自室のエアコンを使えず、師走の冷気に泣かされていた百句鳥です。末端が冷える方なので、読書する手の感覚が失せて何度も本を落としそうになりました。蝉時雨の季節には指先の汗を拭き拭き頁をめくっていましたが、この短期間で世界は常冬であるという説を唱えたくなるのですから単純なものです。幸いエアコン使用可能になり、明日からは凍えずに済むと思います。  すっかり空気も乾燥してきました。ウイルスの流行する時期ですし、皆さまも体調には気を付けておすごしください。私も去年みたい