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あのね、他のひととは違うんだよ。

#テレ東ドラマシナリオ 企画。
自分で考えたテーマについて自分でシナリオを。


「すき」という言葉が無くなった世界。
この時間軸の中で元々存在しないのか、それとも途中で消えたのかは今回のシナリオでは一旦置いておきます。(書きたいところだけ書くスタイル!)

「すき」という気持ちをその言葉無しで伝えたいとき、あなたはどうしますか?というオムニバスドラマの一部分、というイメージで。

シナリオ初めてなので、お手柔らかにどうぞ。笑



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【自宅のキッチン】

テーブルの上には焼かれたクッキー。
しゃがんでオーブンの中身をじっと見つめるエプロン姿の女の子(すばる)。



【教室】

がやがやした教室の風景。
黒板のアップ。日付は2月14日。

窓際の自分の席の周りで、すばるは紙袋に入った袋ラッピングのクッキーを女友達に渡す。

女友達A「やったー!すばるの手作りクッキー!」
女友達B「偉いよね、ちゃんと個包装してるの」
女友達A「わたしなんてタッパーだからなあ」
女友達B「わたしも。それにしても結構作ったねえ」
すばる「そうだね、ちょっと作りすぎちゃったかも」

「余ったら食べる!」と盛り上がっている女子たちの声を聞きつけ、近くの男子何人かが近付いてくる。

男子A「ん、んー…コホンっ」
女友達A「うーわ、わざとらしい」
男子B「あれ、もしかしてそれって…?」
すばる「あ、よかったらどうぞ」
男子AB「「あざーーーっす!!」」

「うめー!」「天才!」「バレンタイン最高!」の男子の声にクラスメイトたちがぞろぞろ集まりだす。「沢山あるから良かったら」と笑顔でクッキーを配るすばるを、教室に入ってきた大地が足を止めて見つめる。

男友達「よー!大地はよー!」
大地「おー。なんだよ、盛り上がってんな」
男友達「ああ、杉村がな、沢山あるからって手作りクッキー配ってんだよ!大地も貰いに行けよ、マジで美味いから」

話しながらすばるたちの元へ向かう2人。

大地「なあ、俺の分もある?」

すばる、後ろから現れた大地の声にビクッと反応する。目が合うふたり。

すばる「…大地の分もある、よ」
大地「よっしゃ!」
女友達A「あ、大地おはよ」
大地「おう」
女友達B「大地は他の男子と違って普通に貰えそうじゃん?」
男友達「おいそれどういう意味だよ」
女友達A「大地に比べて…貰えない方は一丁前にソワソワしちゃってさあ」
男友達「仕方ねーだろ今日くらい。ソワソワしちゃうもんなの、男子は!女子にはどうせ分からねーさ」
女友達A「大地もソワソワすんの?」
大地「ん?まあ、それなりには」
男友達「うわーなんなのその余裕っぷり。ムカつくわー。杉村さん、大地にはあげなくていいからね」
すばる「えっ…」

大地とすばる、再び目が合う。
ドアの方向から男子の大地を呼ぶ声が聞こえてくる。

男子「大地ー!ちょっと、」

ドアの方を振り向けば小さな紙袋を後ろに持った女の子。

大地「おう」

大地、ドアの方へ向かう。
すばる、その背中を目線で追いかける。

女友達A「おお、早速!」
男友達「クッソ、なんで大地だけ…」
女友達B「やっぱ告白かなあ」
男友達「彼女出来たわって戻って来たら、ぶっ飛ばす」
女友達A「じゃあ振ってほしいんだ?」
男友達「…いや、あんな可愛い子振ってたらそれも許せねえ」

頭を抱えて吠える男子を茶化す女友達。
ドアの前で二言三言やり取りをし、ふたりで姿を消した大地の背中をいつまでも見続けるすばる。



【すばる回想】

大地のことを気になり始めたエピソードをいくつか。

(例)

・美味しそうにおにぎりを食べる姿
・紙パックのミルクティーがお気に入りなところ
・体育の授業中での活躍
・男子友達とのふざけ合い
・隣の席でノートに落書きをし合ったこと

(書きたいところだけ書く…すみません飛ばします)



【教室】

キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が鳴って席に着く。

ちょっと遅れて隣の席に大地が戻ってくる。
すばるの鼓動音。ドクドク。

大地「なあ、」

すばる、大地の席の方を見る。
机の上にさっきの女の子が持っていた紙袋が載っていないことを不思議に思う。

大地「俺の分もあるって言ったよな?もーらいっ」

大地側の席にかけていた紙袋からクッキーの入った袋ラッピングをひとつ、ひょいっと取る。とっさに取り返すすばる。

すばる「ダメっ…」
大地「え…」

すばる、自分が思っている以上に強い言い方になってしまい、動揺する。大地もちょっとだけ気まずそう。

大地「…あー…悪ぃ」
すばる「いや、そうじゃなくて…」

「そっちじゃないから…」と小さく付け足して反対側の自分のカバンの方を向くすばる。
ガサゴソ。

大地の机の上に、小さな箱を乗せる。

大地「…これって、」
すばる「…大地のは、こっち」

すばる、そう告げるとプイッと窓の方を眺めてしまう。

大地「杉村」

名前を呼ばれて口元を隠しつつ振り向く、と
すばるの机の上にも小さな箱が置かれている。

すばる「え、なにこれ」
大地「俺から杉村に」
すばる「なんで…」
大地「なんでって。言わなきゃ分かんない?」

顔を上げるとにんまり笑った大地が見つめている。

すばる「…こんなの、期待、しちゃう」
大地「期待しろよ」


ガラガラと扉が開き、先生が入ってくる。


箱の中身を開ける大地。
中身は大地がよく飲んでいるミルクティーで作った紅茶ケーキ。


大地「俺も…期待するけど」

箱を開けて嬉しそうな大地を見て満足そうなすばる。
にっこり満面の笑顔で。


すばる「期待してよ」


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