見出し画像

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』ができるまで

11月30日に刊行された『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が売れている。

発売前から何度も増刷がかかり、12月8日現在で7刷、4万部を突破した。いまも日々、全国の書店から注文が相次いでいる。この勢いは今後さらに加速していくことだろう。

本書をつくる基となった月刊『致知』は、42年続く定期購読誌だが、「この雑誌だけは読み捨てられない」といって、何十年分にもわたるバックナンバーを大切に大切に保管しておられる読者の方が少なくない。そのことがいつも深く心に残っていた。

であるならば、“毎号が永久保存版”ともいわれる『致知』のバックナンバーから、この話はぜひ多くの方に伝えたいと自分自身が思い、感動した記事を集めれば、文字通りの仕事の教科書になるかもしれない。それも、1日1話形式の分量で、毎日少しずつ読み進めることができたら。そんな本が、もしできたら、自分自身が座右に置いてバイブルにしたいと思った。

翌朝、社長に提案に伺うと、「まぁ、いいかもしれん。ただ、やるのは大変やぞ……」と言われたが、ゴーサインをもらえたことが、嬉しくてたまらなかった。

それからはもう無我夢中の日々。毎月の書籍刊行に追われながらも、夜中、早朝、休日の時間をめいっぱい使ってコツコツコツコツ、ネタを溜めていく。自分も10年間は『致知』の編集部に在籍していたので、特に思い入れのある記事を片っ端から入力していき、これでひと通りは集まったと、なんとか満足を得るところまで来た。

ところが、実際に数を数えてみて愕然。集まったのはわずか180本、まだ半分にも満たない数だった。

そして、ここから本当の意味で、僕は『致知』と真正面から向き合うことになった。自分が入社する前のバックナンバーを一つひとつ紐解いていく。そのたび、こんな話もあったのか、こんな話もあったのか……と胸がすごく熱くなる。

そうやって週に数本ずつという遅々とした歩みだったが、ちょうど1年後の春、目標通り380本の記事を集めることができた。

喜び勇んで社長のもとに全原稿を持っていくと、「ほんまに集めたんか?!」と驚かれたが、その翌週、「これだけ集めたのは君、偉いけど、もう一回選び直したほうがいい話がけっこうある」と、再考を促されたのが約50本。

同時に、ほかの編集部員にも、記事の候補を出してもらうよう指示があった。そして結局終盤には、社長自身も「こんな話もあったぞ!」「あの話は入ってるか?」と熱を入れて探してくれるようになり、中には初めて目にする、30~40年前のお宝記事もいくつかあった。

制作日数は丸1年半。取り組んだ当初は、ここまで時間がかかるとは思いもしなかった。だが図らずもいま、コロナ禍で日本人の働き方も大きく変わり、価値観の軸となるものが揺れ動いているような状況にある。

すでに働き方改革以降、現代人の仕事観や労働観も大きく変化しつつあったが、コロナ以後は、会社というものの必要性自体も問われるようになってきている。

本書に収録された365人の方々の話には、われわれ日本人が長年大切にしてきた仕事や人生についての考え方、向き合い方、そして地を這うような思いをして掴んだ人生の真理、仕事の極意がびっしりと詰まっている。

職場の上司や先輩から、飲み屋で仕事の熱い話を直接聴ける機会もめっきり少なくなった現代。本書こそは、令和の時代におけるまたとない仕事の教科書となるに違いない。

画像1

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』