見出し画像

イタリア滞在記(8) 聖金曜日の行進 

Processione di Venerdi’ santoとは、パスクア(復活祭)直前の金曜日(今年は3月29日)にイタリア各地で行われる聖金曜日の行進。ここチェファル大聖堂にも行進がやってきた。マリア様の表情もバンドの演奏曲も全部、なんだか悲しげだわね~とスイス人のマルゴット。そりゃあ、自分の息子が磔刑で無残な死を遂げたのだから、当然でしょ。でも、それから復活するんだから、そっちのほうにスポットを当てたらもっと輝かしい壮大な曲でもいいと思うのよ…などなどワイワイ好き勝手なことを言いつつ、行進を見守った。

この日のために、老いも若きもコミュニティーが一丸となって、ずっと演奏の練習をして本番に挑んでるんだろうな。見物する側に旅行者も混ざってはいるけれど、街中の人たちが大聖堂に集まって来ているようななんとも賑やかな夜。帰り道大混雑した道すがら、隣合わせたおじいちゃんに「どこから来たんだい?」と声をかけられた。そうね。見るからにアジアンなのは私くらいしかいない。「この日はとても大事な日なんだよ」と言う。そう、わかるなぁ。この静かな盛り上がり。コロナ禍で開催できない期間があったから余計にその思いも強いんだと思う。華やかなイベントではないけれど、こうして地元の人たちが大切にに紡いできた歴史を次の世代につなげていく。こんな営みを大切にしないといけないよねと思った夜。

復活祭と言えば春の始まり。なのに、寒い。3月の末のシチリアがこれほど冷え込むとは… 一足先に晩春を迎え、すぐにでも初夏に突入するはず!という日本出発前の私の予測は完全にはずれてしまった…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?