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ブラックカルチャーを探して

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システミック・レイシズムとブラックカルチャー~混乱の果ての「結束」の誓い

システミック・レイシズムとブラックカルチャー~混乱の果ての「結束」の誓い

「ブラックカルチャーを探して」の連載9回目は、ニューヨーク在住のライター、堂本かおるさんに寄稿いただきました。在米歴は20年以上、その間の、アメリカの政治や社会の流れを見つめてこられた堂本さんにとって、自身が身を置き、生活の基盤にしてきたニューヨークはハーレムの風物やカルチャーについての思いは格別に深く、複雑なものがあります。また、昨年から今年にかけて起きたさまざまな出来事や、2021年を迎えてか

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ニューヨークのファッション界で働く日本人パタンナーが経験したパンデミック~分断の現実と見出した「ある希望」

ニューヨークのファッション界で働く日本人パタンナーが経験したパンデミック~分断の現実と見出した「ある希望」

 「ブラックカルチャーを探して」の8回目は、ニューヨークでフリーランスのパタンナーとして活躍中の石黒治恵さん。コロナ禍、大統領選という大きな出来事の後、アメリカ社会であらわになったことや、ファッション界という一見華やかな世界での現実や苦労について教えていただきました。また、ファッションの世界でもさまざまなカルチャーと結びついて息づいているブラックカルチャーの現在と未来、そしてパイアー・モスというブ

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杏レラト(黒人映画研究家)が紹介するBLM(ブラック・ライヴズ・マター)を理解するための5本

杏レラト(黒人映画研究家)が紹介するBLM(ブラック・ライヴズ・マター)を理解するための5本

 「ブラックカルチャーを探して」の7回目は、アメリカ南部に在住するライターの杏レラトさん。雑誌やウェブなどで主にブラックムービーについて執筆、その豊富な知識と在米20年以上の経験をふまえたテキストは日本の読者にとっても貴重な情報源となっています。ブラック・ライヴズ・マター運動が世界へ広がり、アメリカ映画界でもひと際存在感を放っていた黒人俳優、チャドウィック・ボーズマンが早世するなどシンボリックな出

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”痛みにあふれた愛”のムーブメント”~黒人解放の神学とBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動

”痛みにあふれた愛”のムーブメント”~黒人解放の神学とBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動

「ブラックカルチャーを探して」の連載6回目は、アメリカ南部のノースカロライナ大学チャペルヒル校の博士課程に在学中の榎本 空さん。黒人解放神学の拠点のひとつであるユニオン神学校に留学し、そこで教えを受けたジェイムズ・コーンと現在のブラック・ライヴズ・マター運動とのゆるぎないつながりについて、そして抗議活動を「愛のムーブメント」と表現することの背景などについて、教えていただきました。苦しみの中から生ま

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ソウルフル・ピープル~ヴィーガンシェフ、コービーがひも解く ブラックカルチャー

ソウルフル・ピープル~ヴィーガンシェフ、コービーがひも解く ブラックカルチャー

「ブラックカルチャーを探して」の5回目は、LA在住のヒップホップ・ジャーナリスト、塚田桂子さん。彼女が紹介してくれたのは、音楽やアートに携わりながら、料理の世界に足を踏み入れたハイチ系移民の男性、コービーさん。塚田さんを感激させたヘルシーなヴィーガン料理の魅力に加え、ラスタファリアンやヴゥードゥーの文化に接続するヴィーガニズムの奥深さ、そして自らのルーツであるハイチの人びとの精神性や独自の哲学まで

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ジンジャンに夢を託して~ハーレム、とある黒人起業家兄弟のお話

ジンジャンに夢を託して~ハーレム、とある黒人起業家兄弟のお話

「ブラックカルチャーを探して」の4回目は、つい先ごろまでアメリカ~ニューヨークに滞在していたイラストレーターのJAYさん。ファンクやヒップホップ、ソウルなどのブラックミュージックを愛し、ユーモアとリスペクトを込めたイラストを発表し続けている彼が今回教えてくれたのは、ニューヨークで出会った、あるアフリカン・アメリカンの兄弟のストーリー。厳しい現実の中、故郷、ギニアの味も含めたフレッシュなメニューで訪

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全米有数の“住みたい街”ポートランドで今、起きていること~家族も職もある白人女性、クリスティンが闘う理由とは?

全米有数の“住みたい街”ポートランドで今、起きていること~家族も職もある白人女性、クリスティンが闘う理由とは?

 『フライデー・ブラック』に寄せられた反響から発展したブラックカルチャーを探る連載の3回目は、ポートランド在住の日本人写真家、柳川詩乃さんのリポートです。
 全米有数の“住みたい街”として日本でも一部知られているこの街では、この原稿をいただいた2020年8月下旬の現在でもBlack Lives Matter(以下BLM)運動が続けられており、つい先日(日本時間8月30日)もBLM運動のデモ隊とトラ

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ノースウェーブの名物DJ、ナオミがコロナ禍のデモ現場(BLM)で見たものとは~ニューヨークの現場から

ノースウェーブの名物DJ、ナオミがコロナ禍のデモ現場(BLM)で見たものとは~ニューヨークの現場から

「ブラックカルチャーを探して」の2回目は、ブラックカルチャーといえば真っ先に思い浮かぶブラックミュージックに長年かかわってきたDJ、ナオミさん。現地ニューヨークに住み、肌で感じてきた現実の厳しさを以ても、今回のBLM(ブラック・ライヴス・マター)運動の広がりに、今までとは違うものを感じたと言います。

※この連載は、弊社から2020年2月に刊行された『フライデー・ブラック』に対して寄せられた反響や

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『フライデー・ブラック』著者ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー インタビュー

『フライデー・ブラック』著者ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー インタビュー

「僕たちは遠く離れてはいるけれど、誰もが人間で、みんな繋がっている。これは、愛のムーヴメントだということも忘れないで欲しい」

 ミネソタ州ミネアポリスで起きた不幸な事件(警官による黒人男性への不適切な拘束とそれがもたらした男性の死)をきっかけに、全米へ、そして世界へと波及したBlack Lives Matter(以下BLM)運動。日本でも関心が高まり、関連する書籍が注目されている。2月に刊行した

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