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プロスポーツライクにビジネスを。なかなかできないけどね。『ネットフリックスの最強人事戦略』

最近、育成や人的リソースの仕事を行っているので、参考になるかと思い手に取ったが、全く参考にならなかった。いや、人材の維持・獲得の面で競合となる他社がどのように行っているのかという情報を得るという観点であれば、実り多い書である。参考にならないというのは、この本に書かれているプラクティスはいわゆる日本的な大企業ではどれも採用するのが難しい(ほぼ無理)と思われるからだ。

ネットフリックス(NFX)は、DVDレンタルビジネスからネット映像配信ビジネスへビジネスモデルを切り替えた。大抵イノベーションのジレンマに陥ってできないことを迅速に成し遂げ成長した。切替ができなかった、ブロックバスターは消えて行った。ビジネスモデルを切り替えるには、それをオペレーションする人材も切り替えるか、今いる人材が次のビジネスに適応できるように教育する必要がある。

NFXの考えはシンプルだ。新しいビジネスモデルを実行できる人材を他所から取ればいい、適応できない人には辞めてもらえばいい。適正人材の維持・確保のために、給料は業界最高水準を支払えばいい。個々人の業績を年次で評価するのは、効率が悪いのでしない。そのかわり、結果が出なければ即チェンジ。やるべきことは、ミッション別に整理されているので、それに見合った人材を確保して最大限のパフォーマンスを発揮してくれさえば良い。そのためには、無用な社内の手続きやルールについては極力減らして、自分の仕事に専念できるように環境を整える。

まあ、これは野球やサッカーやラグビーなどのチームスポーツを行うプロスポーツの世界では既に行われていることだ。成績や勝敗が優れた選手や監督・コーチを高給で他チームから引き抜く。でもその期の成績が振るわなければ、期末まで待たずに途中でも解雇、交代を行う。NFXでは、会社はチームであってファミリーではないという社是もある。やるべきタスクを因数分解してミッションに落とし込み、それを実行するのに最適な人材をあてがい、チームで最大限のパフォーマンスを発揮する。いかにもアメリカ的である。

こういうことは、わかっていてもできない。が、競争相手はそうやっている。このビジネスゲームに勝つためには、どうしたらいいだろう。今一度日本的なやり方で対抗するにはどうしたらよいか、相手を知りつつ、自らの戦略を練らねばならないなー。

#書評
#ネットフリックスの最強人事戦略

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