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「相対性理論」と「マーケティング」の意外な共通点

香ばしいタイトルになってしまいましたが、「相対性理論で人の心を操る」みたいな電波系のnoteではないのであしからず笑

「相対性理論って何なの?カンタンに説明して!」とか「理系と文系の話で全然違いそうな話だけど共通点なんてあるの?」と興味を持っていただいた方に気楽に読んでいただけるとうれしいです!

自己紹介
株式会社マネーフォワードで、マネーフォワードクラウド会計というサービスの事業責任者をやっています。新卒から10年以上ずっとマーケティング中心のキャリアですが、大学~大学院で物理を学んでました。当時は気づかなかったけど、あらためて振り返ると意外に共通点あるなあと思ったので、書くことにしました!

まずは相対性理論を3分で!

駒口さん_まずは相対性理論を3分で!

相対性理論は、1905年にアインシュタインが26歳のときに発表した理論です。
一言で説明すると、ポイントは「光のスピードは誰が見ても一緒」です。

「え、当たり前じゃない?」と思われた方、ちょっと立ち止まって考えてください。というか立ち止まって目の前を走っている電車を見てください。(運よく電車が走っていれば)きっと時速80キロくらいで動いていますよね?

次に山手線にのって窓の外を見てみましょう。横を走る京浜東北線は、きっと中の人の顔がわかるくらいゆっくり動いて見えるはずです。つまり日常で時速80キロで走っている電車に乗っているあなたから時速90キロで走っている電車を見ると、時速10キロくらいで進んで見える。。。小さいときからそう教えられてきましたし、実際にそう体感してきたはずです。

しかし、、、これが光には通用しないのです。

なんと、光くらい速いロケットに乗って光を追いかけても、光はやっぱり光の速さで遠ざかるんです。

すごい違和感ですよね。これが「光速度不変の原理」といって、相対性理論の根幹を成すものになります。

ちなみに光速度不変の原理について、「なぜそうなの?」と聞かれることがありますが、これは「神が世界をそう創りたもうた」としか答えようがありません。「どうして虹ができるの?」などと違って他の原理から導き出すことができるものではないからです。実験をいろいろやった結果、どうやらそう考えるしかなさそうだ、というのが今のところの結論になっています。


直感が常に正しいとはかぎらない。

この相対性理論の話の示唆することは、「直感は間違える。」ということです。

自分が体験している時速80キロの世界の感覚が、時速30万キロの世界でも通用すると思っちゃダメなんですね。

あらためて振り返ってみるとビジネスの世界でも本当にそうだなぁと感じます。私が以前製作したCMについて、こんなことがありました。

サービスに好意的なイメージを持ってもらえるようなキャラクターを使ったCMを製作したい。ウィットに富んで愛されるようなキャラクターがいいねと満場一致。そこで、イメージにぴったりだった無言で面白いフリップ芸を行う有名マスコットキャラクターを起用したCMを製作することになりました。CMの仕上がりを見てもやはりそのフリップ芸は面白く、社内は大盛り上がり。大きな期待とともにいざ放映!
。。。にも関わらず思ったよりも反響は小さく当初の目標も未達となってしまいました。もちろんそのキャラクターが急に愛されなくなったわけではなく、ひきつづき大人気です。いったいどうして。。。

非常にお恥ずかしい話ですが、「テレビを見ている人は、集中して画面を見ない。」という大前提が抜け落ちて、ほぼ無音のCMを作ってしまっていたんです。(もはや放送事故w)

提供者である自分たちの常識がユーザーやターゲットにとって常識なのかは常に疑いの目をもって客観的に観るのってほんとに大事ですね。しかも、自分の考えにバイアスがかかっていることに気づくのってむずかしいので、「これがうまくいくための前提条件ってなんだっけ?」というのはときどき立ち止まって考えるのがよさそうです。

ちなみにアインシュタインは、

駒口さん_直感は正しいとは限らない。

という言葉を遺しています。かっこよすぎる。。。


あなたの1秒とユーザーの1秒は違う。

駒口さん_あなたの1秒とユーザーの1秒は違う。

数学的な証明は省きますが、光速度不変の原理から「ロケットに乗って高速移動している人の時間は、地上にいる人の時間よりゆっくり流れる。」ということが導かれます。双子の兄を産まれた瞬間に高速で移動するロケットに乗せて50年後に地球に戻ってきたら、弟は50歳なのに兄はまだ10歳だった、みたいなやつです。(浦島効果)

(計算式は、こんな感じ)

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これをマーケティング文脈に置き換えてみましょう。
私たちは日々、高速ロケットに乗ったようなスピードで、製品や広告をどんどん改善改良している状態だと思います。そういう状況の人が

「バナーではこの3つの情報は伝えたい。」「15sのCMなら、これくらいの情報は入れたい。」「今回は前回からの改良点をしっかり伝えたい!」

と思うクリエイティブは、ユーザーにどう伝わるでしょうか?

よほどユーザーの立場になって考えないと、情報過多になったり、前提となる文脈が共有できてなかったりで受け手には伝わりません。皮肉なことに、我々がロケットに乗って一生懸命動いていればいるほど、ユーザーとの時間(感覚)のズレが発生してしまうのです。

高速ロケットの中で独りよがりにならず、ちゃんと(地上の)ユーザーに伝わるようなシンプルさとゆとりを持ってコミュニケーション設計していきたいものです!

「同時に起きた」は「同時に起きてない」?!

駒口さん_「同時に起きる」は「同時に起きない」

時間が相対的であるということの派生ですが、実は相対性理論では「同時」という概念すら違う立場の人同士では共有できないということが導き出されます。

例えば、AとBという2つの出来事が起きたとします。ロケットに乗ってる人には「Aが起きた瞬間にBが起きている」のに、地上の人には「Aが起きてからだいぶ経ってからようやくBが起きる」のです。

”コロナで緊急事態宣言が発令された「瞬間」にテレワークがスタート。”

これがその通りである会社と、そうでない会社があるのはみなさんご存知の通りです。とはいえ、去年の4月の時点ではテレワークにならなかった会社がその後テレワークに徐々にシフトしていっている例もたくさんあります。面白いのは「きっかけが起きるタイミング」の違いだけでなく、「きっかけが起きてからの反応時間」も違うというところかなと、アインシュタインの教えを勝手に解釈しています。これをしっかり理解することで、種々のトリガー(施策)に対するインパクトを過大・過小評価せずにすみそうです。

最後に

いかがだったでしょうか?「相対性理論」と「マーケティング」を紐づけるという試みをおこなってみましたが、残念ながら量子もつれを起こしてしまいましたね。

というわけで次回は、
「量子力学的マーケティング ~ユーザーの重ね合わせ状態を科学する~」をお楽しみに。(嘘ですw)

最後までご覧いただきありがとうございました!

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