初音ミクNT 徹底分析(2)
※いままでの分析のまとめのような記事です※
こんにちは、駒込ブーツです。
初音ミクNTはパッケージ版を買おうと思っていたのですが、発売が11月に延期になり、待ちきれずDL版の予約購入をしました。(現時点で開発が完了したプロトタイプ版が使えるようになります)
プロトタイプ版でもまあまあ使えます。(ただし現行の"V4X"バージョンには劣ります)
前の記事ではYOASOBIの「群青」カバーを掲載しましたが、今回はこちらを。
導入
プロトタイプ版では「ORIGINAL VOICE」のみ使えるのですが、パラメータの設定次第で柔らかく歌ってくれます。製品版では3種類の声色が使えるようになるらしいので期待です!
「そもそも"初音ミクNT"って何?」という方もいるでしょう。簡単に言うと、「VOCALOIDでは無い初音ミク」です。
YAMAHAが開発したエンジン(VOCALOID)ではなく、初音ミクの声を録ったクリプトン・フューチャー・メディア自身がエンジンを開発したものになります。NTは「NewType」という意味だそうです。ヒュー!VOCALOIDと競合しないように、詳しいエンジン名は付けないらしいです。
最近は「エンジン大合戦」のようで、まるで人間のように歌う「CeVIO AI」等(Vtuberの花譜さんが"可不"として音源化されるようです)、どんどん増えてます。NTも独立してエンジンを売り出せばいいのに…(個人的な感想です)
それではNTのパラメータの説明、解説をしていきます。
前回( https://komagome.fanbox.cc/posts/1402403 )の分析は「ああして!」「こうして!」的な要望ばかり纏めていたきがするので、今回は普遍的なまとめをします。
NTのパラメータはざっとこれ。
上の青いスライダーはボリュームです。デフォルトから上げるのは絶対にダメ!音がこもってしまいます。
そして裏で沢山ソフトを起動するのもダメ!すぐ落ちるようになってしまいます。
/* NT Parametersの説明 */
詳しく解説が必要なものは画像付きで解説します。
下記3つはバーを使って制御します。
・Note Gain
「あ」「い」「う」といった文字ごとにバーを伸び縮みさせて音量を設定する事ができます。
UTAUのような感覚で調声したい方にオススメです。
僕は後述の機能がありほぼ使いませんが…
・Consonant Rate
例えば「さ(sa)」であれば、sの部分を伸ばしたり縮めたりできます。
ここ子音が長いかも?もしくは短いかも?といった場合に使えます。
子音の長さはメイン画面上でノートの先についている四角い棒で確認できます。とても便利!
kやchなど、連続して発音できないものに関しては意味を成さないので注意です。
VOCALOIDはバーを伸ばすと子音が縮み、バーを短くすると子音が伸びるという初見殺しの謎仕様でしたが、これはわかりやすいですね。
・Attack Speed
母音のアタック感を出すのに使えます。一つ一つ設定するのは骨が折れるので、曲の雰囲気に合わせて、バラードだとslow(下)寄り、激しい曲だとfast(上)寄りに一括設定をしています。地味に使える機能です。
下記5つはグラフを使って制御します。
・Dynamics
声の張り具合を調整できます。僕は後述の機能で調整するのですが…(二度目すみません)こちら、前述のボリュームスライダーと違い、大きく上げても音が破綻しません。今使用しているプロトタイプ版ではスタンドアロン版しか無く、(製品版には音楽制作ソフトと連携できるVSTiバージョンも付いてきます)音量が小さく感じられる事があるのでこのパラメータで上げてます。
V4XとNTで音量の比較をしてみました。
同じ長さの同じ音程の「ら」を出して貰っています。
左がNTで、右がV4Xです。やはりNTの方が音が小さかったんですね…
v4flowerのレベルまで行かずとも、音量を上げていただきたいです…。
・Breathiness
超重要な機能です。V4Xでは再現できなかった、シャカシャカした息感を付与できます。(語彙力無くてすみません)
最高まで上げるとささやき声になります。儚げな曲にピッタリです。
デメリットもありまして、グラフを中間ぐらいにすると息成分は上がるのですが、コンプレッサー・リミッターで持ち上げても持ち上げきれないほどに音量がバリバリに小さくなります。製品版に期待です…
VOCALOIDのようにノイズ成分を付与するパラメータもあると嬉しい!
・Super Formant Shifter
声をクールに、もしくはキュートにする事ができます。VOCALOIDのGEN値とはまた違って、声質を破綻させること無く変化させることができます。
これもまた一括で変更して、声が高くて苦しそうなパートをcute寄りにするという使い方もできそうです。もっと変化させたい!という方は、VSTiが付く製品版を待って、DAWで弄るのが良いでしょう。
・Voice Voltage
本命の登場です。V4Xを使ったことがある人ならわかると思いますが、実質「トリプルシンセシス」です。上げればパワー系になりますし、下げればがっつりソフト系になります。それをぐわんぐわん切り替えられるのですから、それはもう神機能です。
パワー系は一見アホの子っぽい声色に聞こえますが、MIX次第でどうにかなります。(「群青」カバーでは一回パワー系で調整を試してみました。データは残っていませんが…)
Note Gain、Dynamicsをあまり使わない理由はこれです。音量を変化させるより自然に抑揚を付けることができます。最後にはコンプレッサーで音量を潰してしまうので…
ミクさんの柔らかい声が好きなので、冒頭に載せたカバー動画では最低まで下げています。それで「初音ミクNTはめちゃくちゃ音量が低い!(実際ちょっと低いのですが)」と勘違いしていました。(すみません)
製品版の違う声色でどういった活躍をするか楽しみです。
・Voice Drive
様々な種類のがなり声を出すことができます。
内訳はこんな感じ。
かなり種類が多いです。popに使えるものやらガチ目のメタルに使えるものやら…
色々試してみたのですが、無意味なものはありませんでした。
まずエフェクトレベルのグラフを書いて、そこから種類を決めるのが良いと思います。
・Vibrato
実は使ったことが無いので説明できません…後述の代替機能で済ませています(説明します)
・Direct Pitch Edit
これは凄い!と思った機能です。皆が待ち望んでいた機能というべきでしょうか…
ノート上に直接ピッチカーブを書ける機能です。
便利で重宝しているのですが…
右の方を見てみると、「ひびに」以降のノートで、最後に書いた点のピッチがずれ込んでしまっています。そこは残念です…
ですが、この機能のおかげで母音分割やらAspやらを書き込む必要がなくなりました。
ピッチ編集はペンタブでやるのがオススメです。ビブラートも手書きで書いています。
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ざっと説明し終わったところで、長所・短所・要望を纏めようと思います。
長所・短所・要望
長所
・声質にブレがない
・再生ボタンを押したときに遡らずにその場から再生される
・ピッチカーブが手書きで書ける
・語尾がきれい
・フォントレンダリングがきれい
・"br1"等で挿入したブレス音の音量がしゃんとしている
・音量は小さくなるが新たな息成分を追加できる
・子音制御が可視化されわかりやすい
・ノートのズレがわかるメトロノーム機能
短所
・他ソフトに干渉され落ちる
・波形表示が重い(普段は非表示にしています)
・ピッチを書いてからの反映が遅すぎる
・ピッチ制御がずれ込む
・子音オンリーのノートでほとんど発音されない場合がある
・「か」→「あ」(例)と入力した時「か」→「-」となって繋がってしまう
・高音が少し苦しそう
・音が小さい(ブレシネスを上げると更に小さくなる)
・丸いノートが少しみづらい
・何もない所をクリックするとウィンドウの位置がズレる
要望
・リリースはもっと遅れても、クオリティの高いものを販売してほしい
・ピッチのずれ込み・遅延を無くし、もっとダイレクトに調整できるようにしてほしい
・V4Xと同等の音域カバー
・ブレシネスは純粋に息成分が混ざるようにして欲しい(音量が下がらないようにしてほしい)
・「機械音だけど聞き取れる」テキパキした発音(子音と母音の隔離化?)
・聴けばなんとなくわかるので、波形表示は無くても大丈夫
・UIのカラーリングをモダンな感じに(黄色紫はどぎつい)
・ノイズを付与するパラメータの追加(VOCALOIDのブレシネス)
終わりに
以上、今までFANBOXに書いてきた事や、その後に感じたことの纏めでした。
NTの音量が小さいけどスタンドアロン版だし気のせいか~と思っていたのですが、いざ出力してみると本当だったことがわかりました。
あと、V4Xの方が波形が安定していたのが意外でした。1音だけ出力したのが原因だったのかな?と思います。一曲打ち込んだものを聴く限りNTの方が全体的に安定しているので…。
製品版、楽しみにしています。ミクさんの柔らかい歌声が好きで、ORIGINAL VOICEのVoice Voltageを無理矢理下げて歌わせていたのですが、もしSOFT VOICEなる声色が出たらそれはもうヤッター!という感じです。
ここまで読んでくださって有難う御座いました。
関連情報
製品
筆者
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