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仕事の流儀#05 KOKUYO-IKタイランド 生産管理職【アーミル ラフマーン】

文具メーカー、空間設計の老舗企業として100年の歴史を持つコクヨは今、次の100年を目指して、大きな変革を起こそうとしています。

人々の創造性の解放へ挑戦を続けてきたコクヨがこれからの時代で目指すのは、「一人ひとりの価値観が尊重され、​社会や人とのつながりも​大切にされる自律協働社会​」を創ること。

本企画、「仕事の流儀」では、そんな自律協働社会を創るコクヨの様々な職種のメンバーにインタビューを行い、これまでの挑戦や経験の中から生まれた未来を創るための仕事の流儀を明らかにしていきます。

第5回ではKOKUYO-IKタイランドで生産管理職として働くアーミル ラフマーンさんにご登場いただきお話をお伺いしました。

アーミル ラフマーン/KOKUYO-IKタイランド 生産管理職
2016年に事務系総合職としてコクヨに入社。
グローバルステーショナリー事業の生産管理職として、コストダウン、新製品の工場選定、中長期的な視点に基づく調達・生産の戦略設計などに携わる。2021年からはコクヨの子会社であるKOKUYO-IKタイランドの工場に駐在し、生産管理部門と輸出入部門のマネージャーを担っている。

ビジネスの主体者になるためにメーカーへ

ーーアーミルさんは事務系総合職として新卒でコクヨにご入社されていますが、ご自身のキャリアの中で生産管理職というキャリアは視野に入っていたのでしょうか?

アーミルさん:自分の中で生産管理という職に就くイメージがなかったわけではありません。私は小学生のときに海外で暮らした経験があったことや大学でも外国語を専攻していたので、グローバルを視野に入れて働きたいと考えた時に、メーカーならば生産という領域で海外と繋がりを持って働く選択肢がありました。 

ーーグローバルに働く、という考えを持った際に総合商社就職を目指す学生も多い時代だと思いますが、どのような経緯でメーカーを志望されたのでしょうか?

アーミルさん:確かに商社に入って、日本のものを海外に展開するという仕事はわかりやすいですよね。ただ、私自身はやはり自社で高品質なものづくりができるという強みを持っていることこそ、日本企業が海外で勝ち抜く優位性になると考えていましたし、トレーディングや投資という第三者的立場からビジネスに関わるよりも、ビジネスの主体者としてメーカーで働いていくほうが、自分の軸足を置く領域やケーパビリティを明確にできると思い、メーカーを志望しました。

世界のものづくり現場で求められる経験値

ーー生産管理職という仕事のイメージを持つのが難しい学生も多いと思いますが、アーミルさんの中で生産管理とはどのような仕事と捉えていますか?

アーミルさん:生産管理と一口に言っても本社での役割と工場現場での役割には違いがあります。例えば、私は以前、コクヨ本社のグローバルステーショナリー事業部でプラスチック製ファイルの原価(コスト)管理をしていました。そこでの主な業務はコストダウン、新製品の工場選定、中長期的な視点に基づく調達&生産の戦略などコクヨの製品をどのように作っていくかを大きな視点で考えていくことが役割です。

一方で工場の生産管理は、目の前の現場で一つの商品をどう作りあげるかを深く思考していく仕事です。QCD(クオリティ、コスト、デリバリー)を担保しながら商品を作りあげるために、4Mと言われる「マテリアル(材料)」、「マン(作業者)」、「マシーン(機械)」、「メソッド(方法)」にどんな工夫をしていくか、そしてそれを安全第一(セーフティーファースト)にどう行うかを日々考えるようなイメージを持っていただければと思います。

ーー本社での生産管理、そして今は工場現場での生産管理と両方の役割をご経験されたことでのプラスに捉えている部分があれば教えてください。

アーミルさん:強いものづくりを作り上げるという目的は同じでも、本社での生産管理は広く大きく長期的な視点で考える一方で、工場での生産管理は何事も現場を起点にものづくりの設計を深く細かく日々アップデートしていきます。この両方の視点を持って、メーカーの競争力の根幹とも言えるものづくりをマネジメントしていけるような経験を積ませてもらっていることはキャリアにとって非常にポジティブだと感じています。自分もまだまだ成長が必要ですが、世界でも高水準のものづくりの現場でキャリアを積み上げてこられたことは、これから世界のものづくり現場が新しい学びを求める中でバリューを持てていると思います。

判断の軸をブラさず信頼を獲得していく

ーー入社6年目で海外へ駐在とするキャリアが巡ってきたことについてはどう感じていますか?

アーミルさん:まず若手に早いタイミングから海外での挑戦機会を与えてくれることは非常にありがたいですし、会社に感謝したいですね。

現在、KOKUYO-IKでは日本をメインに中国・インド・ベトナムなどのコクヨの多拠点から注文を受け、テープのり・修正テープ・プラスチック製ファイルの生産を行っており、私の担当部署は工場全体の生産計画を立てて出荷するところまでの責任を担っています。
その中で日本人4名に対し400人近いタイ人の従業員がいて、直属の6人の部下や現場のリーダーたちと協力しながら日々業務を行っているのですが、今までは自分が同僚と協力して成果を上がればよかった環境から部下を持つとう環境になり大きく考え方が変わったと思います。

今の立場では従業員の採用や育成、指導、評価も自分で行いますし、部下がミスをしたら自分が責任をもって対処しないといけません。何か成果を上げるにも周りの人が動いて初めて成し遂げられるという環境下に置かれて、初めて仕事を考える視点が個人からチーム、組織や会社になり、そこで働く人、その環境や気持ちにも目を向けるようになりました。

ーーこれまでとは大きく異なる環境下で形成されたご自身の仕事の流儀やルールなどはありますか?

アーミルさん:マネジメントポジションになってから、すごく意識するようになったのは「判断軸をブラさない」ということですね。
国民性の部分もあるのですが、タイの方は上司の判断が絶対であるという感覚が強い方が多いです。「あなたがジャッジをする立場なのだから、ちゃんと責任を持って決めてくれ!」という風に日々判断を求められる現場では、自分の判断と指示で多くの人が動くので、そこに一貫性がないとみんながバラバラに動いたり間違った方向に向かってしまいます。特に生産の現場ではQCDのバランスをトレードオフしながらどう調整していくかが求められるので、自分が大事にする価値観や優先順位をぶらさないように心がけています。また、その判断の理由や背景をしっかりと言語化して残していくことで、属人化したものづくりの体制をつくらず、人が変わっても高いレベルの仕事を持続していけるように長期的な視野で人とのコミュニケーションを考えています。

顧客起点でQCDを考える生産管理職へ進化する

ーー多くの企業が社会変化をとらえながら成長を目指していくうえで、企業の生産管理部署は今後、どのような組織であるべきだと思いますか。

アーミルさん:エンドユーザーにできるだけ近い立場で物事を考える組織だと思います。生産に都合がよい単一商品大量生産で競争に勝つ時代は終わってしまっていて、顧客起点でQCDを考えることを迫られていると思います。

ただ、往々にして組織が大きくなればなるほど、企業活動の範囲がグローバルになればなるほど、生産から顧客までの距離は長くなってしまいます。今後、コクヨも含め多くのメーカーがよりグローバルにビジネスを展開しようとしている中で、この点をより意識してコミュニケーションや情報収集をする必要があるのではないでしょうか。

特にステーショナリーのような商品に海外のユーザーがどこまでクオリティを求めるのかは、各国の経済成長の状況、国民の豊かさに対する感度を高い解像度で捉えていかないと「コクヨならではのこだわり」とユーザーの要求品質に乖離が出てしまうので、従来数値化しにくいクオリティの部分に対して市場ごとの指標を作っていくことができる組織が求められると考えています。

ーーアーミルさん個人としての、今後、働くうえでの野望や夢、成し遂げたいことはありますか?

アーミルさん:まずは駐在期間にKOKUYO-IKの生産管理のレベルを上げたいです。具体的には、日本人駐在員に依存している生産管理のコア業務をできるだけタイ人スタッフが行えるようにローカル化させたいです。そのために自分に何ができるのか、残された時間で何が残せるかが目下の課題ですね。
もう少し未来に目を向けると、自分が企画を主導した商品をグローバルに販売したいです。日本メーカーの文房具は単なる勉強道具という枠を超えていて、大変だったり苦しいことが多い勉強にワクワクする気持ちをもたらしてくれたり自己表現の一部さえ担っていますが、新興国でさえも文房具はまだ消耗品の部類です。そうした国の人たちに海外駐在や生産管理を経験した自分だからこそできるものづくりのバランスを持って、商品を企画しより受け入れられるビジネスを展開していきたいですね。



第5回「仕事の流儀」を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本社での生産管理職、そしてKOKUYO-IKタイランドへの駐在と大きな挑戦の場に飛び込んでいるアーミルさんに仕事の流儀を語っていただいた今回のインタビュー。

国内、海外それぞれのものづくり現場での学びを経て、グローバルな視点での仕事の流儀、これからの時代に求められる生産管理職のあり方について考えさせられることが多いお話をお聞きできました。

アーミルさん、ご協力ありがとうございました!

本企画、「仕事の流儀」では、引き続きコクヨの様々な職種のメンバーへインタビューを行いながら、コクヨの仕事、人の魅力に迫っていきます。


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