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[斎王からの伝言創作ベース] 4 栄養学

 食の世界は、奥が深く範囲もとても広いです。中国には✳1「食医」という存在がいて、医者よりも地位が高かったそうです。韓国の「宮廷女官チャングムの誓い」は凄いドラマだと思いました。ああいう世界観(人が酷い目に合うのは無しで)に憧れてしまいます。
 
 「斎王からの伝言」に登場する3人の主人公のうち一人が栄養士です。三人の女性達が交流していくことで、振動している世界観に気付き、人間と地球の関係を導き出す物語として表現したいので、とってもとってもとっても私にとって難しいですが、✳生体反応を…(代謝反応かな、生命機能かな)、外す訳には絶対いかないのです。

生体反応  生きている細胞でだけ起こる✳呈色反応(ていしょく:発色または変色を伴う化学反応。定性分析・比色分析・容量分析などに利用。発色反応。発色または変色を伴う化学反応。定性分析・比色分析・容量分析などに利用。発色反応。)または、✳沈殿反応(溶液中の微粒子が集積することで、大きくなった集積体が重力に引かれて液の底に沈む現象である。底に沈んだ物質を沈殿物という。)。酵素の活性によって調べる。✳2生活反応。

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~Wikipediaより~
栄養学(英語: nutrition science)とは、食事や食品、その成分である栄養素がどのように生物の中で利用されたり影響しているかを研究する、栄養に関する学問である。1910年代、日本での栄養学の創設期には、食品に含まれる栄養成分の分析や、「何を、いつ、どのくらい」食べたらいいのかを研究した。次第に白米の栄養素が乏しいということで、玄米かこれを部分的に精米した分搗き米や胚芽米かといった激しい主食論争が交わされた。1980年頃から、食事と生活習慣病が大きく関係することが分かり、食生活指針が作られ関連を研究する疫学研究が盛んになった。また1980年代以降、食品成分の健康に対する作用が解明されることが増え、健康食品として食品の機能に関して認識されていくこととなった。

炭水化物、たんぱく質、脂質で三大栄養素と呼ばれる。炭水化物が減少し、脂質が増えるという比率の変化は、食の西洋化(また欧米化)と呼ばれ健康への影響が調査されてきた(厳密には脂肪の種類が重要)。日本でも反省され1980年代には日本型食生活が提唱された。沖縄は、以前は世界に名だたる長寿地域でその食事要因なども調査されてきたが、全国に先駆けた食事の西欧化により、その長寿が危機に瀕している。このような傾向を日本の他の地域も後追いするといわれている。ビタミン、ミネラルを加えて五大栄養素である。さらに微量な栄養素や腸内細菌の影響も調査される。

同じ栄養学が、古くは精白を奨励し21世紀近くには問題にし、動物性食品を古くは奨励し後に大きな問題の源としたのである。過去に食物繊維は栄養素の利用効率を下げると考えられ穀物の精白が推奨されたが、白米など精白による栄養損失も問題となり日本の栄養学創設者佐伯矩は七分搗き米を、女子栄養大学創設者の香川綾は胚芽米を推奨し21世紀でも重視されている。1970年代には食物繊維の重要性が知られ、1990年代に目標摂取量が策定され、穀物からの摂取量減少が目標達成を阻んでいる。欧米の食生活指針は全粒穀物を推奨した。砂糖をエネルギー比10%未満にするという2003年の世界保健機関(WHO)の勧告は、2014年に5%未満とする草案となった。1957年の国際的なタンパク質の品質の評価基準プロテインスコアでは鶏卵100点を頂点とし木綿豆腐は67点だった、1973年にアミノ酸スコアとして改訂され、1985年の改定、1990年の確認を経て、大豆も100点と高いものとなり、動物性食品を減らす動きや、穀物と豆という組み合わせは良質なタンパク質の品質になることが確認されてきた。脂肪も必須でないと考えられた時代から1980年前後には必須脂肪酸が特定され、特にω-3脂肪酸は亜麻仁や魚に多く、大豆や菜種油に比較的多く含まれる。1977年のアメリカの食事目標でも動物性脂肪削減は主な焦点となり、2003年トランス脂肪酸による心血管系リスク増加の防止をWHOが勧告した。

日本における栄養学の歴史 
1871年(明治4年)に、ドイツ医学で教えたドイツ人ホフマンによって栄養についての知識が日本に伝えられた。しかし、そのときは医学のなかの一分野にすぎず、一つの学問として体系化されたものではなかった。

栄養学の創設 
佐伯矩は、栄養学を学問として独立させたため「栄養学の創始者」といわれる。矩は、京都帝国大学で医化学を学んでいたころ、すでに「米と塩を以って生活できるか否かについての研究」と栄養に目が向いていた。内務省伝染病研究所に入り北里柴三郎の門下として細菌学を研究した。ここでの研究によって1904年(明治37年)には、大根に含まれる消化酵素を発見したことも成果の一つとなっている。1905年(明治38年)には、北里柴三郎らの推薦で特別研究員としてアメリカのイェール大学に招聘される。1911年(明治44年)ごろ、またヨーロッパを遊学した。

栄養学が芽生えたのは、1914年(大正3年)。佐伯によって営養(栄養)研究所が創設され、医師10名、高等師範1名に栄養に関する講義が行われた。1918年(大正7年)当時、教科書や政府の刊行物では営養と表記していたものを栄養に統一するように文部省に建言した。栄えるという字には健康を増進する意味があるからである。また完全食や偏食といった言葉も作り出している。1920年(大正9年)には、内務省の栄養研究所(現在の国立健康・栄養研究所)が設立され、佐伯は初代所長となる。1924年(大正13年)、佐伯は私費を投じて栄養学校を設立。翌年入学した第一期生は、1年間の学業を修め、佐伯によってつけられた「栄養士」という呼称で世に出た。1934年(昭和9年)日本医学会の分科会として、栄養学会が正式に独立を認められた。

佐伯矩は海外でも精力的に講義を行い、その業績によって1937年(昭和12年)には、国際連盟主催の国際衛生会議において、参加各国が国家事業として栄養研究所を設立し、栄養士の育成を行い、分搗きの米を用いることの決議がなされた。ビタミンの国際単位も国連への矩の提案である。

栄養士と養成施設 
1924年(大正13年)、矩の栄養学校(現在の佐伯栄養専門学校)ができる。1933年(昭和8年)、香川綾の家庭食養研究会ができ、1939年(昭和14年)に女子栄養学園となる。1939年(昭和14年)、陸軍の糧友会が食糧学校を設立した。1947年(昭和22年)に栄養士法ができ、上記の栄養学校、食糧学校、女子栄養学園で栄養学を学んだものに与えられていた栄養士という称号が公的なものとなった。1962年、管理栄養士が制度となる。

主食論争 
明治時代から食養会の関係者は玄米をすすめていた。当時の栄養学は、玄米に多い食物繊維は未消化で排泄されるので栄養吸収の効率が悪いと考えたが、真っ白に精白した米は栄養素が少なすぎるという低栄養が問題であり、当時多発したビタミンB1不足による脚気の予防のためにもその中間を提唱していた。

1918年(大正7年)、矩は新聞社を16社呼び、胚芽米をすすめ米のとぎ洗いも問題だと伝えた。しかし、精米技術が追いつかず、胚芽米の推奨はやめてどちらかというと胚芽米を嫌っているようでもあった。1921年(大正10年)、玄米をすすめてきた医師の二木謙三が玄米をすすめる内容の著書を発行している。1922年(大正11年)、矩は七分搗き米をすすめる。1927年から陸軍の糧友会は胚芽米を普及させようとしていった。理由は、白米はビタミンBが少ないという栄養上の問題があり体力を奪い大和民族の発展を阻止するが、胚芽米は栄養があり味もよく消化がいいということである。1928年、香川綾も胚芽米をすすめた。同1928年(昭和3年)ごろ、陸軍は脚気予防のために胚芽米に精米できる精米機が登場したため、胚芽米を採用した。正確に七分搗き米に精米できる精米機はまだなかった。矩は、七分搗き米を普及するべく「標準米」として提唱している。東京市は胚芽米の普及をすすめ、栄養研究所や栄養士と対立する。

1938年(昭和13年)、農相によって胚芽米でなく七分搗き米を奨励すべきだという発言が報道されたのに対し、糧友会は『胚芽米普及の真意義に就て』を書き、栄養がある七分搗き米を食べている人にまですすめるわけではないと弁明している。 1939年、農務省から米穀搗精等制限令が出て、胚芽を含んだ七分搗き米が奨励された。1941年(昭和16年)、玄米の普及の請願も出ていたが、厚生省、文部省、農林省の大臣が答弁し米は七分搗きが適当であり玄米は最適ではないとした。1942年(昭和17年)以降、大政翼賛会では国民を玄米に復帰させるとして議題となり、時の首相であった東條英機が玄米を常食していることも伝わり世論は玄米に傾いた。伝染病研究所の研究者らが玄米食について研究し12月の「医界週報」での報告では、炊飯に要する燃料は増加したが、玄米食によって小食になったうえ下痢も減り仕事の耐久力が上がり、医療費は1/17に減ったと伝えたので、栄養学者も認めざるをえなくなった。1943年(昭和18年)、当初反対していた厚相も首相に従い玄米をすすめていった。1945年(昭和20年)8月15日 玄米をすすめる「食生活指針」ができた。

1975年(昭和50年)、謎の神経炎が発生する。1976年、翌年、謎の神経炎がビタミンB1欠乏症である脚気だと分かる。砂糖の多い清涼飲料水やインスタントラーメンといったビタミンの少ないジャンクフードばかりを食べるような食事によってビタミンが欠乏したことが分かった。香川綾が再び胚芽米の普及にのりだす。

2010年代でも白米より栄養に富む胚芽米は、香川綾の創設した女子栄養大学の食堂で採用されているし、佐伯式における七分搗き米の奨励もしかりである。

戦後 
終戦直後の食糧難は深刻を極め、大量の餓死者が発生する事態となっていた。そのようななか、1946年(昭和21年)からララ物資として、小麦粉(メリケン粉)や砂糖、脱脂粉乳や缶詰めといった救援物資が送られ、1947年(昭和22年)からはガリオア・エロアの資金援助で小麦粉などの食糧が大量に輸入された。1954年(昭和29年)には学校給食法ができる。同年、農業貿易開発援助法によってアメリカの農産物による食糧援助が始まる。そして、1952年(昭和27年)に施行されていた栄養改善法により厚生省が栄養改善運動をはじめ、米偏重の是正が叫ばれ、欧米風の食事スタイルが普及し米の消費量は年々減少していく。

1955年(昭和30年)に日本食生活協会が設立され、アメリカから資金援助を受け、キッチンカー(栄養指導車)を走らせ、栄養士が欧米風の料理の実演をした。学校給食はパンと脱脂粉乳が中心となり、フライパン運動や、栄養三色運動によって、米を主食とし魚と野菜を組み合わせた日本の伝統的食生活に代わり、小麦を使った食品や畜産食品などのおかずの多い欧米風の食事スタイルが急速に普及していった。戦争で食糧難になる前の1930年代の1日1人あたりの消費量は、米は350グラム以上、小麦は50グラム以下であったが、1950年(昭和25年)には小麦は75グラム以上に増え以降80グラム前後で推移し、米は2010年(平成22年)には150グラム強に減っている。

食育への流れ 
しかし、日本の伝統的食生活は、フランスの農学者、ジョセフ・クラッツマンをして、タンパク質・脂質・炭水化物のカロリー比率が理想的と言わしめたものである。アメリカ化された食生活はアメリカ自身も困っていた、キース博士の研究の発端となった食生活をそのまま取り入れてしまったものである。

このため方針の転換がなされ、1983年(昭和58年)には農林水産省から、「私達の望ましい食生活-日本型食生活のあり方を求めて」により、米や野菜を中心として動物性脂肪や砂糖や塩分のとりすぎを避けるという日本型食生活が提案された。1985年(昭和60年)には、それまで欧米風の食生活の普及を推し進めていた厚生省も、「健康づくりのための食生活指針」を策定する。

1993年(平成5年)、厚生省によって食生活の教育が重要であるという提起として『食育時代の食を考える』が出版され、冒頭は、厚生大臣であった小泉純一郎が厚生省としては食が一番大事じゃないかと述べていたというところからはじまる。2000年(平成12年)厚生省、農林水産省、文部省が「食生活指針」を策定する。厚生省による「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)もはじまる。2005年(平成17年) 食育基本法が施行される。

厚生労働省と農林水産省が食品を単位としたイラストの食事指針である「食事バランスガイド」を策定する。

西洋化の影響 
述べたとおり、日本の食生活は西洋化の影響を受けてきた。1950年から1975年の間に劇的に変化し、牛乳15倍、肉、鶏肉や卵は7.5倍、脂肪は6倍となり、一方で米の消費量は0.7倍に減少した。この西欧化は、若い世代、金銭に余裕がある人々、農家でなく、都市に居住している人々に顕著である。日本の栄養の傾向は、1945年には炭水化物の比率は約80%を占め脂質は10%に満たなかったが、2000年には糖質は60%へと減り、脂質は25%へと増加している。

沖縄は、2000年代初頭には世界に名だたる長寿地域であったが、2010年代には65歳以下の若い世代の男女の死亡が増加し、NHKは「長寿崩壊の危機」として特集した。沖縄は(アメリカによる占領の歴史によって)全国に先駆けて食事が西欧化してきており、脂肪の摂取比率が若い世代ほど全国平均より多く、肥満者も多くなり、心筋梗塞や脳梗塞などいわゆる生活習慣病の増加が、65歳以下の死亡を早めていった。このような傾向を日本の他の地域も後追いするといわれている。

2010年前後には、老化のプロセスや生活習慣病の発症は酸化ストレスだけでなく、糖化ストレスが考えられるようになってきた。脂肪とタンパク質の多い動物性食品を加熱することによって✳3終末糖化産物(AGE)の多い食品となるが、西洋食による健康への悪影響の新たな説をもたらしている。低温で短時間の調理ではAGEは減少するし、酢やレモンをかけることでも低減する。野菜、果物、全粒穀物、牛乳といった食品ではAGEは比較的少ない。適した調理法による料理は、地中海、アジアほかの地域の料理として紹介されている。

国際的な歴史 
1970年代後半から食事と生活習慣病が大きく関係しているとアメリカで報告され、食生活指針の策定が行われるようになり、食事と疾患に関する栄養疫学が活発に行われるようになる。
1995年、WHOとFAOの会議で食物ベースの食生活指針の作成が求められた。

生活習慣病と疫学研究 
1977年、「米国の食事目標」が報告される。報告書にはハーバード大学公衆衛生大学院の栄養学の教授であるマーク・ヘグステッドも非常に関わった。この報告によって食事と肥満をはじめとして心臓疾患といった生活習慣病の関係が大きいことが分かり、食生活指針の策定につながっていった。まだ、この時点では科学的な証拠がはっきりしていない結論もあったため、疫学研究が盛んに行われるようになる。こうしたコホート研究といったものには、数年から十年以上の研究期間を要するので早急には結果が出ない。1980年より、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)によって「アメリカ人のための食生活指針」という、生活習慣病を予防するための食生活指針が発表される。以降、5年ごとに改訂される。

ハーバード大学公衆衛生大学院による、女性看護師の疫学研究(NHS)、男性医療従事者の疫学研究(HPFS)といった大規模なコホート研究が行われるようになる。この研究を指揮している人物はウォルター・ウィレットである。

1982年、アメリカ国立癌研究所が全米科学アカデミーの下位組織のNRCに食事とがんに関する科学的な分析を依頼し、その報告として「食生活、栄養とがん」としてまとめられ、1977年の報告を支持した。1983から1990年にかけて「中国プロジェクト」が行われ、アメリカ国立癌研究所とアメリカがん研究協会も資金提供し、アメリカのコーネル大学、イギリスのオックスフォード大学、中国のがん研究機関やほかのいくつかの国の研究機関が関与した。マーク・ヘグステッドは、中国プロジェクトに対してアメリカでは食事の内容が均質的なのでこのような重要な研究はできないと評した。中国プロジェクトは中国では乳製品をまったく摂取しないが骨粗鬆症は非常に珍しく、また中国では植物から鉄分が摂取されており、鉄欠乏性貧血は肉の摂取と関係ないことを示した。中国プロジェクトを指揮した、コリン・キャンベルは、研究結果を受けてもっとも安全な食事は完全菜食であると述べ完全菜食になり、5人の子供も完全菜食で育てた。

コリン・キャンベルは、コーネル大学で栄養学を教え、菜食主義の栄養学も教えているが、1980年代以降、菜食に関する科学的な研究が蓄積されているのに肉と乳製品の摂取が必要だという視点を変えようとしない、今では科学的な研究の結果があるのに教育を受けた時代の常識を信じ込んでしまっていると指摘している。

1989年、NRCは『食事と健康-成人病予防のための食事と健康の科学』という報告書をまとめあげる。1990年、日本でも、厚生労働省によって数万人以上を対象とした多目的コホート研究(JPHC Study)がはじまる。

2003年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は「食事、栄養と生活習慣病の予防」を公開する。ハムなどの保存肉とがんのリスクとの強い関連、動物性脂肪に多い飽和脂肪酸が2型糖尿病と心臓疾患の発症リスクを高めると報告されている。2003年には、アメリカとカナダの栄養士会は合同で、専門家が質の高い256の論文から結論し、牛乳や卵も摂取しない完全な菜食においても栄養が摂取でき、また菜食者はがん、糖尿病、肥満、高血圧、心臓病といった主要な死因に関わるような生活習慣病のリスクが減る、認知症のリスクも減ると報告している。6つの前向きコホート研究をメタアナリシスし、20年以上の菜食者は平均余命が3.6年長いと報告された。

2004年、NHSとHPFSで赤肉からの鉄分の摂取が2型糖尿病との相関関係を示したという大規模な統計結果が報告された。

ウォルター・ウィレットは、大規模な前向きコホート研究でも乳製品をたくさん摂取すれば骨折のリスクが減るという結果はなく、逆に男性では前立腺がん、女性では卵巣がんのリスクが高まると述べているなど、アメリカ、イギリス、スウェーデンでの7つの前向きコホート研究で、カルシウム摂取量が増加しても骨折率が低下していない。これらの理由のため、カルシウムは様々な摂取源から摂取し、骨折を予防するためには他の有効性が確認された手段である運動やホルモン療法、ビタミンDやビタミンKの摂取を紹介し、もしカルシウムを多く摂取したいならサプリメントがあるとしている。

ヘルシーフードピラミッド
ウォルター・ウィレットは、米国農務省の作成する「アメリカ人のための食生活指針」は産業の影響が強く、そのような影響のない食事ガイドラインを作成すべきだとし。NHS、数百の疫学研究を反映した「健康な食事ピラミッド」を作成している。健康に悪影響のある、精白された穀物や赤肉、砂糖をなるべく控えることが分かりやすく図示された指針である。

2010年版の「アメリカ人のための食生活指針2010年版」が発表される。これは数百の疫学研究をもとに科学的根拠の強弱の概念を採用している。

肥満抑制のためのジャンクフードの対策 
2011年の世界保健機関の報告では脂肪からのエネルギー摂取量や砂糖の摂取量を制限することや、野菜と果物だけでなく、全粒穀物や豆類、ナッツの摂取量を増やすことが推奨される。2011年4月28日、食品医薬品局(FDA)、疾病対策センター(CDC)、アメリカ農務省(USDA)、連邦取引委員会(FTC)の4機関は、肥満増加の対策として子供に販売する飲食品の指針として、 加工食品1食品あたりの上限を、飽和脂肪酸1グラム、トランス脂肪酸を0グラム、砂糖を13グラム、ナトリウム を210mgとした。 2011年5月18日、550超の団体がマクドナルドに対し、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつけないことや、ロナルド・マクドナルドの引退を要請した。

フランス、デンマーク、ハンガリーでは、肥満の防止と税収を目的として肥満税が施行されている。

栄養素  三大栄養素 
①炭水化物 

1グラムにつき4キロカロリーのエネルギーがある。炭水化物は糖類とも言われ、単糖類、多糖類に分けられる。炭水化物はもっとも多く必要とされる栄養素で、日本の食生活指針で炭水化物が多く含まれる食品が主食とされる。 2003年のWHO/FAOの報告では、2型糖尿病や肥満のリスクを減らすとして、食物繊維の摂取源として野菜や果物と共に全粒穀物も挙げられている。このように全粒穀物の健康に対する有益性が科学的に判明してきた結果、アメリカをはじめとして全粒穀物が国家的に作られた食生活指針において推奨されることが増えている。全粒穀物は血糖負荷(GI)が低く血糖値を急激に上げにくいという特徴がある。

過去には食物繊維は役に立たないと考えられ、利用効率を下げると考えられたために穀物の精白が推奨されていたが、精白されると今度は栄養損失が問題となり栄養学者は七分搗き米や胚芽米を推奨した。

佐伯矩が述べるように、栄養学を創設したような頃から「淘洗は精白にも優る米食人の禍根である」と、米を精白することと淘洗(とぎ洗い)するという処理は共に栄養を損失させるとして問題視されていた。矩によって、1937年の国連の会議で、精白度の低い分搗米を用いる要望が採択されている。食物繊維の重要性を報告していたバーキットは、1975年にトロウェルと一緒に『精製炭水化物と病気-食物繊維の影響』を出版し、精白していない全粒穀物の重要性を訴え、以降このことは科学的研究によって追認・支持されていく。

ところが、1970年前後、バーキット (Denis Burkitt) の報告によって、食物繊維が少ないと腸内の疾患のリスクが上がるだろうという説が広く知られるようになっていった。1980年には日本にも食物繊維の研究会が開かれ広く浸透し、有用な腸内細菌を増やすプレバイオティクスとして、また血清コレステロール低下作用、便秘改善など様々な健康への関与が知られている。しかし1985年には、がんの予防効果に関しては穀物の繊維や豆に含まれるフィチン酸の作用ではないかともいわれている。日本で食物繊維の摂取量は、穀物からの食物繊維の摂取量低下に伴って減少してきており、摂取目標量より低い。

砂糖は炭水化物以外の栄養素がほとんど含まれていないため、あまり多く摂取しないように言われている。また砂糖の主成分である蔗糖は糖類の中でもう蝕(虫歯)のリスクを最も高める。WHO/FAOでもう蝕との関連が指摘され、砂糖の多い食品は肥満との関連も指摘され、また砂糖の摂取量は全エネルギーの10%未満にすべきだと報告している。2014年には、これまでの砂糖の目標に加え、砂糖を5%以下にするという案を公開している。砂糖では、2000キロカロリーの10%は50グラム、5%は25グラムである。

果物に含まれる果糖は中性脂肪を増やす効果が高いので、生活習慣病において摂取制限が指導される場合がある。オリゴ糖などの腸内で分解されやすい糖類は、プレバイオティクスとして知られ、有用な腸内細菌を増やす作用がある。

②脂質
1グラムにつき9キロカロリーのエネルギーがある。脂質は、主に、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。さらに、不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられる。一価不飽和脂肪酸はω-9(オメガ 9)脂肪酸である。多価不飽和脂肪はさらにω-6脂肪酸、ω-3脂肪酸に分けられる。 つまり、下記のように大別される。

飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸のω-9脂肪酸 オレイン酸など
多価不飽和脂肪酸のω-6脂肪酸 リノール酸など
多価不飽和脂肪酸のω-3脂肪酸 DHA、EPA、α-リノレン酸など
リノール酸とα-リノレン酸が必須脂肪酸である。

初期には、優れたエネルギー源だが必要不可欠ではないと考えられていたが、1930年代から1960年代にかけての研究は、1980年前後には必須脂肪酸の特定につながっていった。

飽和脂肪酸は畜産動物の脂肪に多く、1980年頃から重要な死因に通じる生活習慣病に関わるとの合意が増え、1990年頃にはそれが科学的にもはっきりしてきたため動物性脂肪を控えるようにという食生活指導が増え、食生活指針が作成されてきた。欧米ではω-3脂肪酸は不足がちであることから積極的にとったほうがいいと認識され、日本では「日本人の食事摂取基準2005年版」から推奨目標量が追加された。

ω-3脂肪酸は亜麻仁や魚に豊富に含まれ、大豆や菜種油にも比較的ほかの食品より多く含まれる。脂質は、食品としては肉、魚、豆、ナッツ、種子に多く含まれ、これらは同時にタンパク質を多く含む食品である。

ISSFAL(International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids)が国際的に脂質の摂取基準と摂取のバランスを公表している。2004年、ISSFALの不飽和脂肪酸の1日あたりの摂取量の勧告では、リノール酸の適正な摂取量は全カロリーに対する2%、α-リノレン酸の健康的な摂取量は0.7%とされ、冠動脈を健康に保つためにEPAとDHAを合計で最低500mgすすめている。同じような報告は日本にもあり、必要量はリノール酸は2.4%、α-リノレン酸は0.5~1.0%であり、DHAとEPAは必要量は決められないが0.5%をすすめISSFALの報告より少し多い。必要とされる必須脂肪はこのように全カロリーの3~4%程度と非常に少ない。

不飽和脂肪酸が変形したトランス脂肪酸が心臓疾患のリスクを上げることが分かり、2003年のWHO/FAOの報告で、トランス脂肪酸は心臓疾患のリスクを増加させるとされ、摂取量は全カロリーの1%未満を推奨している。

2003年の世界保健機関による生活習慣病予防に関する報告書では1日のコレステロールの摂取目標を300mg未満としている。この動向は変化しており、2015年のアメリカの食生活指針では撤廃された。

③タンパク質 
1グラムにつき4キロカロリーのエネルギーがある。 タンパク質は基本的に20種類のアミノ酸で構成される成人ではうち8種類が必須アミノ酸である。タンパク質を多く含み、アミノ酸スコアが優れているのは、肉、魚、豆となる。また量として多く食べる穀物もタンパク質の主要な摂取源となる。

1955年に、FAOの会議でタンパク質の品質の評価基準であるプロテインスコアが決定されるが、動物性食品のスコアが高く、豆といったものは評価が低かった。しかし、後の1973年、科学的研究の進展に伴ってWHOとFAOの会議でタンパク質の品質の評価基準であるアミノ酸スコアが決定されると、豆のスコアがよくなった。1985年にアミノ酸スコアのスコアを求める基準が変更されると豆は動物性食品と同じようにスコアが高いものとなった。1989年の会議では、1985年の必要量のパターンが最も妥当であると再確認され、国際基準として推奨された。また動物性食品を減らすという国際的な動きや、多くの国における穀物と豆という組み合わせは良質なタンパク質の品質になるという報告がなされた。2002年にWHOは動物性たんぱく質による酸性の負荷は、骨粗鬆症の発症に関してカルシウム必要量を変動させる主な要因ではないかと報告している。2007年にWHOは、タンパク質中の含硫アミノ酸、メチオニン、システインの酸が骨をカルシウムを流出させるため骨の健康に影響を与えるためカリウムを含む野菜や果物のアルカリ化の効果が少ないときカルシウムを損失させるため骨密度を低下させると報告した。

2007年の世界がん研究基金とアメリカがん研究協会による、7000以上の研究を根拠にとしたがん予防法では、公衆の目標として赤肉(牛・豚・羊)の摂取量は調理されていないときの重量で週に300g以下を勧告している。この予防法ではハム、ベーコン、サラミ、燻製肉といった加工肉を避けるように勧告し、赤肉より鳥や魚を推奨し、植物性食品としては豆をすすめている。

以上の三つの栄養素はバランスが重要視されている。これはPFCバランスと呼ばれ、タンパク質のProtein、脂質のFat、炭水化物のCarbohydrateの頭文字をとっている。PFCバランスはカロリーにおける比率をあらわしている。一般的に炭水化物の比率は60%前後とされ、脂質の比率が25~30%を超えると生活習慣病が増えるといわれ、食生活指針での指導の一項目となる。タンパク質が過剰な食事は、タンパク質由来の過剰な酸を中和するために骨を使用することになるので、長期的にこのような食事を続ければ骨が弱くなる可能性がある。PFCバランスは比率上の推奨であって、上述の世界保健機関による勧告のように食品としては未精製の食品、栄養素としては飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の低減が推奨される。

世界がん研究基金のがん予防法では、毎日同じぐらいの重さで食事をしているので、砂糖や油の多い食品は摂取カロリーが高くなることにつながり、肥満になればがんになるリスクを上げるとしている。

五大栄養素 
④ミネラル 

人体に微量に必要な無機化合物の鉱物である。

主要ミネラル - カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、リン、塩素

微量ミネラル
- 鉄分、亜鉛、硫黄、銅、クロム、モリブデン、ヨウ素、マンガン、コバルト、セレン

必須想定ミネラル
-リチウム(Li)・バナジウム(V)・ニッケル(Ni)・ホウ素(B)・ゲルマニウム(Ge)・臭素(Br)

有害ミネラル
-ベリリウム(Be)、ヒ素(As)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ウラン(U)、プルトニウム(Pu)、ポロニウム(Po)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)

⑤ビタミン 
微量ではあるが生理作用を円滑に行うために必須な有機化合物の総称で、炭水化物・タンパク質・脂質以外のもの。1910年、鈴木梅太郎によってはじめて抽出された。

脂溶性ビタミン
ビタミンA - ベータカロテン・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK
脂溶性ビタミンは身体に蓄積されるものがあるので過剰摂取に注意が必要となる。

水溶性ビタミン
ビタミンB群 - ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン・ビタミンC
水溶性ビタミンにはすぐに身体から排出されるために過剰摂取になりにくいものが多い。従って、むしろ積極的に摂取する必要がある。

他の成分 
フィトケミカル

1990年ごろから必須栄養素ではないが、健康を保つのに重要であることが分かった。特にがんとの関連が研究されている。

酵素
佐伯矩が発見した消化酵素のジアスターゼを含む大根は、1905年出版の夏目漱石の『吾輩は猫である』にも登場し、消化機能が広く知られ用いられるようになった。

発酵食品 - 乳酸菌、納豆菌、麹菌、清酒酵母
発酵食品を発酵させている菌類で、腸内細菌の状態と健康に関係している。1907年にはイリヤ・メチニコフが、乳酸菌を摂取すると腸内に産生される有害物質の排泄物が減ることを根拠に、ヨーグルトやケフィア、酢漬け、塩漬けを食べれば乳酸菌が摂取できて長寿になると主張した。 ビフィズス菌の含まれた製品には、腸内の有益な菌を増やし有害な菌を減らすという腸内環境を改善する効果が研究報告され、特定保健用食品として効能の表示が許可されているものも多い。 こうした有用な菌類の利用はプロバイオティクスと呼ばれ研究されている。人体に有益な菌類は体内で酵素やビタミンを作り出すというはたらきもある。人体に害のある腸内細菌は腸内で有害物質を産生し、がんや心臓病、アレルギーや痴呆症といった病気と関連する可能性が高いことが分かってきている。

水分
水はカロリーや添加物なく、体に必要な水分を供給し、よく消費される紅茶(茶)やコーヒーはがんや結石のリスク低下と関連しているようである。問題のある飲料は、砂糖の多い清涼飲料水や酒である。

食物繊維 栄養素と摂取基準 
日本人の食事摂取基準

人がどういった栄養素をどのくらい必要とするかを示している。

日本食品標準成分表
どういった食品に、どのような栄養素が含まれているかを分析した結果をデータとしている。

食べる回数 
西洋では1800年ごろまで1日2食であった。日本では20世紀前半に、国立栄養研究所での栄養学的な研究により1日3回と決定された。それ以前の日本では1日2回の食事を朝餉と夕餉と呼んだ。従って、多くの地域で1日に3回の食事の食事をするようになったのは近世のことである。

現代の日本では、朝食、昼食、夕食の3回の食事をとる習慣が一般的である。

毎回食完全 
矩は、ラットやヒトでの研究によって1日の栄養摂取量を1日3食で3等分で食べることがもっともいいと結論し、これを毎回食完全と呼び、食事の摂取として望ましいとされる。
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✳1食医 https://syokuyou.jp/yakuzen/gomi/
薬膳師=食医ということ
最も位の高かった食医
医食同源”という言葉は、紀元前2000年以上も前の古代中国文化から発祥した概念であり、春秋戦国時代にはすでに中医基礎理論とならび食物の五味と五臓の相関関係や食の禁忌などを記述した書物もあり、薬膳の理論化体系は確立されていました。
紀元前1000年頃の周王朝の時代には、官職として『食医』という位が設けられ、日々膳食をとおして帝王の健康を管理調整する者として、医療職の中では最も高い位とされていました。

中国で最も古い薬学書とされる『神農本草経』には、食物または生薬を上品(じょうぼん)、中品(ちゅうぼん)、下品(げぼん)に分類し、その効能、用い方を記しました。それには、

●上品とは、いつ、なんどき、毎日でも食してよいもの。
●中品とは、具合の悪いときに食するもの。
●下品とは、どうしようもなく病気になったときに食するもの。
とされました。

※華佗・✳李杲(りこう) 
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E4%BD%97
https://www.wellba.com/wellness/doctor/contents/99515/doc17.html
また、医者を工と呼び、医者にも上工(じょうこう)、中工(ちゅうこう)、下工(げこう)という分け方をし、

●上工は、病気にかかりそうなことを事前に察し、未病のうちに健康の調整をする。
●中工は、病気になってから、治療を施す。
●下工は、併発していた病気や根本の病の原因に気づかず、重病になってから手を施す。
といわれました。

つまり、上品(じょうぼん)を扱う上工(じょうこう)が最もすぐれた医者であるということから、日常の食事で健康を調整し、未病にあたる『食医』が、最も位が高く敬意が注がれました。
『国際中医薬膳師』であること、それは、食の医者(食医)であることに今も変わりはありません。
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✳2 生活反応は、生きている人間、動物の身体組織のみに発生する変化のことである。法医学では最も基本的かつ重要な要素となる。呼吸、皮下出血、炎症、化膿などが挙げられる。これらの生活反応は死体には決して発生しないため犯罪捜査において事故又は自殺か他殺かを見極める上でも非常に重要である。

現代までの発展  古代中国での医学
古くは古代中国の法医学書「無冤録」に、その記述が認められる。それによると当時、宮廷の豚の丸焼きを調理した際に、ごく稀に気管や肺に焦や煤の付いた豚があったという。当時の医学者たちは、その理由を探った。やがて医学者らは、一つの結論にたどり着いた。
これらの少数の豚は屠殺が完全にはいかず、豚は焼かれた際にまだ生きていたということである。焼かれた時点ではまだ豚は呼吸をしていたため、火の粉や煤を吸い込んでいたのだった。すなわち、呼吸は生きている生物にしかできないこと、肺などの呼吸器官を調べることによって火によって豚は死んだのか、火で焼かれる前に別の原因で死んだのかを特定できる可能性があることを発見した。
それは、ヒト社会における殺人事件の捜査にも応用できる。放火殺人において、殺害後に放火したのであるか(非現住建造物等放火罪)、生きたまま焼き殺したのか(現住建造物等放火罪)を調べることが可能となる。

日本での一般化
日本で生活反応という言葉が一般的になったのは、✳「下山事件」
(日本が連合国の占領下にあった1949年(昭和24年)7月5日朝、国鉄総裁・下山定則が出勤途中に失踪、翌7月6日未明に死体となって発見された事件。他殺か自殺か不明で迷宮入り)以降であると言われる。

人におこる主な生活反応 
皮下出血
人は死ぬと血液の循環が無くなるので、皮下出血は発生しない。死斑と外見が似ているため、注意が必要である。判別法としては、皮下出血は凝固が発生しているが、死斑には凝固は見られない。出血部位を指で圧迫すると、皮下出血は容易に退色しない。これらは簡易的な判別方法で、現場の環境などにより例外が発生する可能性も考えられる。

呼吸
生体にしか認められない。焼死体の気管部分の、煤の有無を調べる。また溺死体等は、鼻腔等に細かな泡状の水分がある。これは生きた人間が溺れる際に、呼吸した空気と水が混和したものである。これらは生きた人間が溺死したのか、別の場所で既に死んだ人間が水中に流されたかを調べる上で有効である。
一酸化炭素中毒死または青酸中毒死に発生する鮮紅色の死斑
一酸化炭素中毒で死亡した人体に見られる特徴的な現象として、死斑が鮮やかな紅色であることが挙げられる。これは、一酸化炭素と血中のヘモグロビンが、結合することによって発生する現象である。これは、生体のみに発生する現象である。

化膿、瘡蓋
これらの反応は、治癒反応と呼ばれるものである。損傷などが治癒して行く過程で発生するものであり、死体には発生しない。
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✳3 AGEsとは、Advanced Glycation End Productsの略語であり、終末糖化産物、後期糖化生成物 等と訳される。タンパク質の糖化反応(メイラード反応)によって作られる生成物の総称であり、身体の様々な老化に関与する物質(より正確に言えば、生体化学反応による生成物)と言える。現在判明しているだけでも、AGEsには数十種類の化合物があり、それぞれが多種多様な化学的性質を有する。AGEsの例としては、Nε-カルボキシメチルリシン(CML)、Nε-カルボキシエチルリシン(CEL)、アルグピリミジンなどが知られている。類似の概念に過酸化脂質に由来する終末過酸化産物(Advanced Lipoxidation End products、ALEs)がある。

AGEsは糖尿病、アテローム性動脈硬化症、慢性腎不全、アルツハイマー型認知症などの変性疾患を悪化させると言われる。糖尿病の血管系合併症の原因ともされる。活性酸る細胞障害を加速し、機能を変化させるという。

AGEsの種類 
AGEsは、“Advanced Glycation End Product”という英語の頭文字“AGE”に加えて、それが複数形であることを示す“s”を付して名付けられた。Nε-カルボキシメチルリシン(CML)、Nε-カルボキシエチルリシン(CEL)、アルグピリミジン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、GA-ピリジン、Nω-カルボキシメチルアルギニン(CMA)、フロイルフラニルイミダゾール、グルコスパンなど多数の化合物が特定されている。

生成
AGEsは体外、体内の双方で生じる。特に、蛋白質の糖化反応で蛋白質に炭水化物が非酵素的に結合する。この過程でシッフ塩基のアマドリ転位が発生して「アマドリ化合物」(アマドリ転位生成物、前期生成物)を経由する。

外因性のAGEsは食品の加熱(調理等)で生ずる。調理する前と比べると10〜100倍に増加する。

食品 
食品としては肉、バター、一部の野菜にAGEsが含まれ、調理の内、特に揚げる、ローストする、焼くなどの水を使わない調理法で大きく増加するが、茹でる、煮る、蒸す、電子レンジ加熱するなどの場合は比較的増えない。

1997年の研究では、卵白に砂糖を加えて加熱する事でAGEsが200倍に増加することが示された。

食品の一部は、体内で糖化反応を起こす。AGEsによるストレスを含む健康な体内での総合的な酸化反応ストレス・過酸化反応ストレスは、食事で摂取する外因性AGEsや、フルクトースやガラクトースといった反応性の強い糖の消費量に比例する

低カロリーダイエットをすると、短期的にAGEsが減少することが報告されている。

糖尿病 
糖尿病の場合、細胞内へのグルコース取り込みを制御できない細胞(内皮細胞等)では、高血糖により細胞内グルコース濃度が上昇する。細胞内グルコース濃度の上昇はシトクロムbc 1複合体が電子伝達系を停止させる程の大きさの陽子勾配を作り、NADHおよびFADH濃度の上昇をきたす。その結果、ミトコンドリアで活性酸素が生成され、DNAが損傷してPARP1が活性化される。次いでPARP1はグルコース代謝酵素の一部であるGAPDHをADPリボース化して不活性化させて、代謝の早い段階で中間体グリセルアルデヒド-3-リン酸(GAP)が蓄積する。GAPは3炭糖リン酸イソメラーゼでジヒドロキシアセトンリン酸となった後メチルグリオキサールシンターゼでメチルグリオキサールとなり、アミノ基と反応してAGEsを生成する。

喫煙 
喫煙はAGEsを増加させる。これは、AGEsはタバコの葉を乾燥させる際に糖が存在すると生成され、喫煙により、これらのAGEsが肺から吸収される。血中AGEsおよび皮膚中AGEs(皮膚の自発蛍光で測定)濃度は非喫煙者に比べて喫煙者で高い。

影響 
AGEsは体内の細胞や分子のほぼ全てのタイプに影響を与え、加齢の一因でかつ加齢性慢性疾患の原因であると考えられる。糖尿病の血管合併症の原因ともされる。

糖尿病患者の高血糖性の酸化ストレスや高脂血症などの病的状態では、AGEs生成量は通常より多い。AGEsは妊娠糖尿病の炎症性因子としても知られている。

動物およびヒトでは多量の外因性AGEsが吸収されて体の負担となり、アテローム性動脈硬化や腎不全などの原因となっていると言われる。

ただし、味噌・醤油・コーヒーなどに含まれるメラノイジンは強い抗酸化作用を備えており、摂取することでさまざまな健康の増進に繋がるとされてきたので、食物から摂取するすべてのAGEsを体に悪影響を与える物質と考えるのは誤りである。

他の疾患 
AGEsの生成、蓄積は加齢に関係する疾患の進行に関連する。アルツハイマー型認知症、心血管疾患、脳卒中を誘発する。AGEsの障害過程は架橋と呼ばれ、細胞内の障害を引き起こし、アポトーシスを誘導する。また水晶体内に光感受性物質を生成し、白内障を進行させる。筋機能低下にもAGEsが関与する 。

病理学 
AGEsは下記の様な幅広い病理学的影響を有する。

血管透過性亢進・動脈壁硬化進行・一酸化窒素捕獲による血管拡張薬阻害・LDL酸化・マクロファージ、血管内皮細胞、メサンギウム細胞などからの様々なサイトカイン分泌・酸化ストレス増強

反応性 
蛋白質は通常リシン残基を有する。ヒトの場合、細胞核内のヒストンに最もリシンが多いので、そこに糖化蛋白質Nε-カルボキシメチルシリン(CML)が生ずる。

RAGEと呼ばれる受容体が、肺、肝臓、腎臓の血管内皮細胞や平滑筋細胞、免疫細胞など、多くの細胞で発見されている。この受容体にAGEsが結合すると、アテローム性動脈硬化症、気管支喘息、関節炎、心筋梗塞、腎障害、網膜症、歯周病、神経障害などの慢性の炎症が発生する。これは転写因子カッパB(NF-κB)が活性化されることによる。NF-κBは炎症関連遺伝子のコントロールに関連している。

排出
身体から排出される場合、まずAGEsが結合した細胞内蛋白質が分解されてAGEsペプチドやAGE付加物(AGE修飾されたアミノ酸由来物質)になり、血中を通って腎臓から尿中へ排泄される。
細胞外マトリックスの蛋白は分解され難く、AGEsの排出の妨げとなっている。AGE付加物は尿中に直接排泄されるが、AGEsペプチドは一旦近位尿細管の上皮細胞に取り込まれ、リソソーム系で分解されてAGEアミノ酸(=AGE付加物の一種)となる。このアミノ酸は腎臓の内腔(ルーメン)に戻され、排泄される。AGE付加物はAGEs排出の主要要素であり、AGEsペプチドの排出は少ない。慢性腎不全患者では、血中AGEsが蓄積している。

細胞外に排出された大きなAGEs蛋白質はそのままでは腎小体の基底膜を通過できないので、先にAGEsペプチドやAGE付加物に分解される必要がある。末梢のマクロファージや肝臓の血管内皮細胞、クッパー細胞がこの分解を担当する。肝臓の関与についてはかつて争点となった。

ボーマン嚢に侵入できない大きなAGEs蛋白質は血管内皮細胞やメサンギウム細胞の受容体と結合して、メサンギウム基質に移行する。AGEs受容体(RAGE)の活性化は TNFβなどの様々なサイトカインの産生を誘導し、金属プロテアーゼの阻害物質を生成し、メサンギウム基質を増加させて、糸球体硬化症の原因となり、腎機能を低下させる。

AGEs付加物やAGEsペプチドはAGEs排泄の唯一の方法であるが、それらはAGEs蛋白質よりも反応性が高く、糖尿病患者の病態持続に寄与している。それは患者の高血糖症が管理された後も継続する。

AGEsのいくつかは酸化反応を触媒する化学的性質を有している。RAGEの活性化によりNAD(P)Hオキシダーゼを活性化させ、ミトコンドリアの蛋白質に損傷を与えて機能不全に導き、酸化ストレスを増加させる。この場合AGEsの酸化効果を止めるには、抗酸化剤を用いた継続的な治療が必要となり得る。治療には効果的なAGEs排出が必要で、腎機能低下によりAGEs増加している場合には最終的には腎移植が必要となる。

糖尿病でAGEsの生成が増加している患者では、腎障害が進む事でAGEsの排出が遅くなり、AGEs濃度が増加して腎障害が益々進行する。

治療の可能性 
AGEsは現在研究中の物質である。AGEsを減らす方法には3通りが考えられている。

AGEsの生成予防、AGEsの結合切断、AGEsの影響除去 である。
実験的にAGEs生成予防効果が確認されたものは、ビタミンC、ベンフォチアミン 、ピリドキサミン、α-リポ酸、タウリン、アミノグアニジン、アスピリン、カルノシン、メトホルミン、ピオグリタゾン、ペントキシフィリンである。
ラット、マウスを用いた研究で、レスベラトロールやクルクミンなどの天然フェノール、フラボノイド類およびN-アセチルシステインにAGEsの負の影響を取り除く作用があることが示された。

ポリネシアからミクロネシア地域で常用される嗜好品カヴァに含まれるカヴァラクトン(カバイン、メチスチシンなど)に蛋白質の糖化・脂質過酸化を抑える働きがあるとの報告がある。

アラゲブリウムや類縁物質のALT-462、ALT-486、ALT-946、ならびにN-フェナシルチアゾリウムは生成したAGE架橋の一部を分解したと考えられた。しかし、AGEsの内で最も頻繁(他の架橋の10倍〜1,000倍)に見られるグルコスパンを分解する医薬品は知られていない。

その一方で、アミノグアニジンなどの化合物は3-デオキシグルコソンと反応してAGEsの生成を抑える可能性があるとされる。
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分子栄養学 https://www.megv.co.jp/kouza3/kouza3_1.php
~Wikipediaより~
オーソモレキュラー療法
オーソモレキュラー療法またはオーソモレキュラー医学とは、栄養を補うことを通して健康を維持するための補完代替医療である。ホメオスタシスを維持する点で栄養摂取が一般に不十分であるという(現在なされている科学的な合意と衝突する)主張である。

方法論として、オーソモレキュラー医学から実践として派生した、栄養摂取基準で推奨される量より数倍多くビタミンやミネラルを摂取するメガビタミン療法が言及されることがある。

オーソモレキュラー療法の実践者は、食事制限やビタミン以外の栄養素の大量摂取、主流の医薬品の使用などを含む手段についても取り入れている。 オーソモレキュラー療法の支持者の間で、単なる栄養の不足を超えて、ある栄養素の最適でないレベルは健康に問題を引き起こし、健康であることの必須な要件としてそれらを釣り合わせるように気をつけるべきである、という議論がある。

オーソモレキュラー(Orthomolecular )という単語はライナス・ポーリングによって作られた。 その意味は、「正しい量の正しい分子」("the right molecules in the right amounts" 、orthoはギリシャ語 で "right" を意味する)である。 従って、オーソモレキュラー療法は、個人に対して正しい量の正しい栄養分子の使用に焦点を当てている。支持者 は、治療は患者個人の生体に基づいている、と述べている。

脂質異常症におけるビタミンや栄養素の使用のように、ライナス・ポーリングが打ち立て定義したオーソモレキュラー療法の標準に合わせたいくつかの療法は、標準医療においてでも使われている。 しかしながら、科学的や医学的な合意(サイエンティフィック・コンセンサス)は、オーソモレキュラー療法は薬物療法として十分にテストされていないというものである。 そして、それは現在、フードファディズムなどと評される。 このアプローチの支持者は栄養素の治療上の使用を調査している研究が主だったところから発表されてきたと言及する。 また、いくつかの病気に対しての治療として物議を醸す医療において使用される、とも主張した。

しかし、いくつかのビタミンはガンや死亡のリスクを高めることにつながっていると主張する人もいる。 科学界で合意がなされている意見は、普通の人にとって、バランスのとれた食事は必要なすべてのビタミンやミネラルを含み、定期的な栄養サプリメントの摂取は不必要であるというものである。

歴史と発展 
20世紀初頭、何人かの医者はビタミンで病気を治すことができるのではないかという仮説を立て、1930年代より大量のサプリメントが処方されてきた。それらの健康に対する効果は失望的であったが1950年代、1960年代に栄養は標準的な医学カリキュラム では強調されなかった。オーソモレキュラリストは、1967年にライナス・ポーリングがオーソモレキュラーという言葉を発明したとはいえ、栄養に関して熱心であった彼らの運動の創始者たちの時代のいくつかの数値を引用する。

1960年代にライナス・ポーリングが、正しい量の正しい分子というアイデアの“オーソモレキュラー”という言葉を紹介した。 ポーリングやその他による、ビタミンCに関わる医学的大躍進の最初の主張以来、ビタミンCの健康効果をみつることは議論を呼び矛盾に満ちたものでありつづけた 。ポーリングはほうぼうに主張したことから批判された。

のちに、研究はナイアシンやビタミンCの他にも必須脂肪酸を含む栄養に枝分かれした。

適用範囲 
エイブラム・ホッファーによれば、オーソモレキュラー療法はすべての病気を治すことを目的とするものではない。またオーソモレキュラー療法は“オーソモレキュラー療法は標準医療を代替である。一定の比率の患者はオーソドックスな治療が必要である。それらの人々はオーソモレキュラー療法で十分に良くなるであろうし、残りの人々は標準医療との技巧的な合わせ技が必要である”ということでもない。 それにもかかわらず、支持者は栄養で予防し、治療でき、時には以下の様な幅広い範囲の病態を治すことができると言い続けてきた。

オーソモレキュラーによる精神医療 
ホッファーは特定の栄養素で精神疾患を治すことができると信じていた。 オーソモレキュラー精神医療の支持者は、オーソモレキュラーのアイデアはホッファーの前に遡るにものであると発言してきたにもかかわらず、1950年代に彼はナイアシンで統合失調症を治そうと試みた。

ファイファートリートメントセンターのカールファイファーは、「患者の利益をもたらすすべての薬物には、それと同じ効果を達成する自然な物質が存在する。」(“every drug that benefits a patient, there is a natural substance that can achieve the same effect")と信じ続け、ホッファーのアプローチを続けた。

ホッファーやオーソモレキュラー精神医療者と自称する人々によると、精神医療的の症候群は、ピロール尿症やen:histadelia、en:histapeniaなどと呼ばれるいくつかの仮説的な状態や生化学的な欠損やアレルギー、毒性などに起因する。

原因は、個別的な生化学的な診断上の研究("individual biochemical workup")において発見され、断食を含めた食事療法やメガビタミン療法を用いて治療されると言われている、と彼らは主張してきた。エビデンスベースドな医学はこれらの診断や治療を受け入れていない。

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