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アップルインテリジェンスは電気羊の夢を見るか?

AIをApple Intelligenceと読ませる提案を6月10日のWWDCで行ったApple。
ちょっと苦しいんじゃないの?と思ったりもしたが、この記事を読んで「写真」での検索におけるAI活用についてはちょっと面白かった。

《例えば「山登りをしている時」といった、写真に写っている内容を理解する必要があるようなものでも、文章や声などで見つけられるようになる。
動画の場合には、サムネイルだけでなく「動画の中に含まれる内容」も検索対象だ。「あのワンシーンが含まれる動画」を見つけられるようになる》
らしい。

西田 宗千佳氏の記事『アップルは新AI技術で「スマホの写真・動画管理」を劇的に変える』

そして従来の思い出スライドショー生成機能であった「メモリー」も

《「山登りをしている時のもの。最後はセルフィーでまとめる」といったフレーズを入力すると、関連する写真・動画をライブラリ全体から関連するものを検索し、見やすい形にまとめ、さらに音楽もつけて再生してくれる。機能の狙いとしては変わらないが、今まで以上に「思い出をうまくまとめる」もの》になるらしい。

同上

なぜAppleがAI活用について出遅れたか?

それはiPhoneという個人所有端末というハードウェアを扱っているからだ、と。そこには膨大な個人情報があるわけで、きちんとセキュリティしなければならないハードウェアメーカーでもあるから、慎重にならざるを得なかったからだそうだ。確かに。

生成AIのほどんどはクラウドで動作している。iPhoneというデバイスの中にある膨大な個人情報をネット回線を通じてクラウドのAIで処理するわけにはいかない、なので

《Apple Intelligenceは「個人が利用するデバイス内での動作とインデックスの蓄積」に特化している。基本的には、iPhoneやMacなどのデバイス内で処理され、インデックス情報もそのデバイスの中にある。》
そうだ。

同上

そしてローカルモデルで足りなければ「クラウドも使う」その際、セキュリティ保護ポリシーに反しないように、

《処理に必要なデータだけを匿名化して送信、クラウド側で処理して結果を返す。そして、一時的に使った情報は速やかに削除する。》そうだ。

同上

そして、なおかつ、その処理を担保する仕組みを備えたPrivate Cloud Computeを用意することで、オンデバイスの良さとクラウドの良さを兼ね備えたシステムを作ろうとしているとの事。

《サービスだけを提供しているのでも、デバイスだけを提供しているのでもないアップルだからできる「垂直統合型ソリューション」》
となっているらしい。

同上

こう説明を聞くと、さすがAppleうまい仕組みを考え、実装してきたな、と感じる。

とはいえ、ジョブズというプロダクトアウトの天才が逝って以降、マーケットインなソリューションをAppleらしいやり方で洗練することは得意でも、AIという根本的な仕組みそのものの開発には関与していない。スマホというデバイスの利便性を増すのにAIの力を借りただけの形だ。

ジョブズが生きていて、サム・アルトマンと出会って対話していたら、マイクロソフトが巨額の投資をする前に、Appleがなんらかのアクションをしていたのではないか?という夢想を今頃しても、意味はない。

しかしAIが人類と社会にもたらしていくインパクトの巨大さを考えると、ジョブズはそれを見てどう考えるのか?
プロダクトアウトの天才は、それを私達に、どんな姿でプレゼンテーションするであろうか?と考えると、ちょっとワクワクしてしまう。

ティム・クックには残念ながら、そのワクワクを生み出す力はない。
雑談でした。

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