日美でみた松山智一の厳しさとやさしさ
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また日曜美術館の話です。松山智一は現代アートの人なので、どんなふうに紹介されるのかと、わくわくしながら見ました。
新宿の駅前にあった巨大な銀色のオブジェというか彫刻なら知っている人も多いかも。カラフルな色調の絵も、人間を描いているとわかるものから、色んな色と形で構成されたいわゆる抽象画まで幅広く作成されている方です。
番組では、コロナ禍での彼のニューヨークのスタジオでの活動が紹介されており、特に弟子たちとのやりとりが印象に残りました。
弟子の若者のひとりが、自分の作品の値付けに悩んでいて、○○では安いと友人に言われた、とちょっと暗い顔でいったとき、松山さんがけっこう厳しい口調で
「絵に生き死に賭けてないやつの言葉なんか気にするな!」
という意味のことを言ったんですね。
一瞬、厳しっ!と思ったんですが、すぐに「違う、これはやさしさなんだ」と思い直しました。
なぜなら、そのお弟子さんは素人の友人のことばでゆらいでしまって自信をなくしていたから。自信をなくすぐらいなら、人の言葉を聞くな、自分がやってきたことを信じろよ!という言外の意味が画面から伝わってきたからです。
言葉だけが切り取られてしまうと本当に厳しさしか伝わらないかもしれません。番組全体をみてほしい。そうおすすめできるいい番組でした。
彼が紙コップでたらした絵の具をキャンバスにのばして、画材なんてなんでもいいんだ、といっていたのも好感持てました。
彼の絵、ほしいなあと思いました。見ていて心がすっきりするような、気持ちいい風が吹いているような絵でした。自分でもそういう絵が描きたいです。
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子供から高齢者までペン1本で集中、リラックス。ゼンタングルの楽しさを伝えます。
2014年渡米し講師に。『描きこんで楽しむゼンタングル』他著書多数。2017年NHK Eテレ出演。
婦人公論2021年1/26日号に寄稿。
講師・執筆依頼は zenart.base.shop へ