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【お雛様えらびの旅、まだ途中の方へ】お雛様の種類かんたん解説と、作り手・松崎さんのこと。

3月3日の、桃のお節句もだんだんと近づいてきました。

今回のnoteは、日本の様々な伝統工芸の作家さん達と20年近くお仕事をご一緒してきたプロデューサー兼バイヤーとしてではなく、1人の買い手として、「娘がいたら買いたいのになー❤️」な、私の好きなお雛様を独断でご紹介します。この記事に出てくる用語を検索キーワードにして、色々お調べいただくのも良いと思います。

お雛様の種類の違いがわかると「好き」がわかる。ので、少し解説と、
日本でただお一人、「江戸木目込人形」と「江戸節句人形」の両方のジャンルの伝統工芸士であり、日本工芸会正会員でいらっしゃる、
松崎光正(幸一光)さんの横顔を、少しご紹介します。

お雛様えらびの旅の途中のママパパのご参考になれば嬉しいです。

(文責・ここかしこ企画担当、M姉)


1.まずは、私の好きな松崎さんの作品をご紹介しながら種類を解説


好き・その1は、小さいけれど本格派の立ち雛
(金屏風と毛氈、桐箱のセットで「ここかしこの立ち雛」として販売中。屏風も含めて、A4より少し小さいサイズの桐箱に全てが収まりコンパクト。総重量690g!)

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桐塑(桐の粉を固めて型抜き整形したもの)をボディーに、絹のお着物を木目込み、昔ながらの伝統技法と素材で作る、
伝統工芸品「江戸木目込人形」です。

お顔がとっても優しく、可愛く、品があって、古風なところがとっても素敵。お着物も、色数を抑えつつ、とても華やかで若々しい。

サイズはこんな感じ。

節句人形として伝統的工芸品に指定されているお雛様にもいろいろなタイプがありまして、ざっと大別すると・・

ポーズ =「立っている」または「座っている」
登場人物=「親王飾り」(二人だけ)または「段飾り」(たくさんいる)
作り方 =「木目込(きめこみ)」または「衣装着(いしょうぎ)」
(作り方の違いについては後ほど解説します!)

上記のお雛様は、「立ち雛」で、男雛女雛の二人構成なので「親王飾り」、作り方は「木目込」です。

このお雛様の魅力は、本質的なシンプルさ、とでも言いましょうか。

「ひな人形」の起源は、もともと、祓(はらい)の形代(かたしろ)が人形化したもので、紙で出来た簡素な姿をしていました。

紙びな、とも、神びな、とも言われ、男女一対の立ち姿をしていたので、いつしか「立ち雛」とも呼ばれるように。

江戸時代を経て、様々なひな人形が作られるようになりましたが、「おひなさま」といえば、古風なこの立ち姿を思い浮かべる方も多いです。

いらない情報>>>私(40代・娘なし)のお雛様も木目込の立ち雛です。3つ違いの妹のお雛様は「座っている木目込」にお道具がついているタイプで、子供の頃は、おままごとのような小さなお道具がついているのがかなり羨ましかった・・大人になってからは、「シンプル最強」「原点回帰」の素晴らしさがわかってきたため(笑)、自分のお雛様が愛おしすぎてたまりません。シンプル構成なので、飾るのもしまうのも楽ですしね。立ち雛を選んでくれた母に感謝です。


好き・その2は、これまた小さな、"和わーくす"シリーズのお雛様「とのとひめ 」です。

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可愛すぎて悶絶です。この小ささ、このお顔。もう、どうしてくれよう・・

こちらは「座っている」「木目込」「親王飾り」ですね。

初めてこのシリーズに出会ったのは10年近く前ですが、ここかしこではずっと変わらず、超人気作です。あ、数年前、殿のお着物の裂地が入手できなくなり、現在のお着物に変更した経緯がありましたっけ。でもそれ以外は、ずっと内容を変えずに販売させていただいております。

上記の立ち雛と同様、飾り台を兼ねる綺麗な国産桐箱に、屏風、玉台、ぼんぼり、ほかい、花橘、が全て収まる仕様です。

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こちらは、ボディーに樹脂を使用しているため、国指定の「伝統的工芸品」ではありませんが、上記のお雛様と同じ、松崎さんのお作なので、折り紙付きです。

大きさはこんな感じ。きゅんが止まりませんね。

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いらない情報その2>>先ほどの余談の続きですが、妹のお雛様はこのような座ってお道具付きの木目込でして。やっぱりどうしたってこのタイプも素敵、認めざるを得ない。。ちなみに、どうしてこの2組のお雛様が好きかいうと、お顔のようすやお着物の色合いはもちろんですが、「お手手が出ていないこと」も大きいです。個人的には、お手手が出ていると、お人形のリアルな感じがぐっとアップするので、、これは本当に好みの問題です。
お手手が出ている例はこちら。少し大人っぽい印象。
あと、ご紹介した2組の最大の特徴は、とにかくコンパクトなこと。サイズが小さいからと言って、作り方の工程が少ないわけではなく、逆に小さい方が難しいこともたくさんありますが、お値段が控えめに抑えられているのも嬉しいです。


2.いろんな種類を見てみよう!

さて、では実際に、もっといろんなお雛様をみてみましょう!

お雛様の作家さんはたくさんいらっしゃいますが、それこそ情報として収集がつかなくなってしまうので、この記事では松崎さんの作品に集中します。

松崎さんは、日本で唯一、「江戸木目込人形」「江戸節句人形」両方のジャンルで伝統工芸士でいらっしゃるので、比較検討いただくにはこの上ない巨匠です!

いざ、松崎さんの工房兼ショールームへ!

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松崎さんの工房兼ショールームは、東京の東側、西新井にあります!
ご社用車のバンがすべてかわいらしいピンク色で、お雛様ムードに包まれています。
職人の皆様が分業でお人形を仕上げる作業場奥には、目にも鮮やかな、お人形さん用の着物地がずらり。圧巻です。

そして、なんて便利な時代なんでしょう、松崎さんのショールームはオンラインにもあります。
こちらのリンクから、ぜひいってらっしゃいませ!(商品一覧ページへ)


・・・お帰りなさい!いかがでしたか?

親王飾り(2人)に対して、5人、10人、15人編成の段飾りもあり、

立ち雛は、古風でシンプルな構成なのがよくわかると思います。

先ほど少しふれた「作り方の違い」をご説明すると、
「木目込」とは、あらかじめ筋のような凹みをつけたボディーをつくり、そこに布を挟み込んで貼りながら作っていく方法です。お着物は体にぴったりフィットしています。
対して「衣装着」とは、お着物がふわっとしています。(例えばこちら。)木彫りや桐塑などで作ったボディーに、手足をつけ、そこにお衣装を着せかけていく方法です。江戸中期ごろにできた、写実的なスタイルなのが特徴です。

それぞれに魅力、見どころのあるお雛様も、タイプ別がわかると、最終的に比較するポイントが絞られて、選びやすくなるのではないかなと思います!


3.松崎幸一光さんってこんな人

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運命の出会い(!)からかれこれ15年くらいになりますが、松崎さんは本当にお変わりない・・

人生の先輩の大巨匠に失礼ですが、万年青年のような、、いつも目をキラキラさせて、早口で、「楽しい!」「面白い!」という言葉をよくおっしゃいます(笑)

松崎さんは多摩美の彫刻科ご出身で、ご家業の三代目でいらっしゃり、人を幸せにするお人形を創作し、継承し、「人形には嘘がつけない」「自分を映す鏡のようだ」とおっしゃる通り、命を吹き込む深く繊細な表現の世界に40年以上、ストイックに向き合っていらっしゃいますが、

「~論」のような難しいことをお話されることはあまりなく、いつも爽やかな声音で、お目にかかった後も、電話を切った時も、こちらの心がスカッと洗われているのに気づく、そんな方です。

ちなみに、松崎家は、奥様(本当にステキな方!)が剣道をなさるので、ご立派なお子様方全員剣道をなさると伺ったことがあります。

ちなみに、余談ですが、私が松崎さんと深く知り合うことになったきっかけは、妹と2人でY2として2011年に商品企画デザインしたこちらの商品です↓
アロマ屋文左衛門といって、付属品の素焼の小判にアロマオイルを垂らしてディフューザーとして使うことになっています(お人形関係ないじゃん)
松崎さんは「きれいな優しい顔しか描いたことがないから、悪い顔がむつかしい」と笑って、とても楽しく商品開発をご一緒させていただきました。「お人形とは」を考えれば考えるほど悩んだ提案でしたが、我々の逡巡なんて今思えばミジンコのごとく小さきもの。すべては松崎さんの超一流の表現力と技と真摯なご姿勢の、大きな手のひらの上だったからこそ、こんな気ままで自由なアソビが形になったんです。絶賛発売中。

アロマ屋jpg


4.分業、それぞれのプロフェッショナル

最後に。「お節句のお人形」の世界にも、いろいろな分業があります。

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この写真は、分野を異にする7社のダンディー社長たち(すご技職人クリエイターでもある)が、自由なものづくりを実現するチームとして結成した「工房雅屋」の面々と、アロマ屋文左衛門の企画ができる以前なので10年以上前に、都内のショップ巡りをした時の、懐かしい写真です。皆さん本当にお変わりない!

左から、柿沼東光さん(江戸木目込人形)、小林一光さん(木製人形ケース)、岡田雄二さん(雛人形用造花)、片岡恭一さん(屏風)、野口豊生さん(江戸押絵羽子板)、清水啓雄さん(五月節句・両立のぼり、両旗飾り)、そして一番右が、松崎さん。

冒頭でご紹介した作品には、岡田さんの花飾りと片岡さんの屏風が入っています。

こんなダンディーたちが・・あんなに可愛らしくて小さくて、色で言ったらふんわり桜色な世界を、守り、支えていると知ると、大事なお雛様の習慣を、感謝して楽しんでいきたいなと思いますよね。


ここかしこでは、1月20日現在、「ここかしこの立ち雛」と「とのとひめ」の販売数をしっかり確保しております。
ご注文順に発送となりますが、お届け予定日などはどうぞお気軽にお問合せくださいね。

では、どうぞ、よいお節句のお祝いを!



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