Stardew Valleyのmod事情から思うこと。日本と海外の「ロリコン」文化について

Stardew Valleyというゲームをご存じだろうか。海外製の農業シミュレーションゲームである。農地を自分で開拓して耕作や畜産を行うだけでなく、村の住民たちとのコミュニケーションや村のお祭りなどへの参加などイベントも開かれる。また、村の住民とは親交を深めることもでき、その末に結婚することもできる。私はプレイしたことはないが「牧場物語」シリーズに近い作品なのではないだろうか。

この手のゲームはたいていそうだが、modが豊富であり、私もいくつか導入している。たとえばこのゲームに出てくるキャラクターのグラフィックはいわゆる「かわいい」ものではないが、「Villagers Anime Portrait Mod」を導入すると、よくあるアニメ絵のようにかわいくなる。その他にも移動速度を速める、イベントを増やすなど様々なmodが有志により作られ公開されている。

さて、前述の通り村民とコミュニケーションを図り最終的に結婚もできるわけだが、私はとあるキャラクターが好きになった。それがJasという少女である。先のmodリンク先にあるJasのサンプル画像を見ていただければ、そのかわいさが理解いただけると思う。自然と「Jasと結婚したい!」という感情が生まれるわけだが、残念ながら攻略非対象キャラクターであった。
ならばmodを導入しよう!という発想になる。そこで「Stardew Valley Jas marriage mod」とググってみたが見当たらない。ショックだった。かわりにトップヒットしたのが以下の記事である。

Jasと結婚できなかったのは残念でならないが、この記事はめちゃくちゃ面白く、いま私が享受しているこのロリコン文化について再考するきっかけになったので紹介したい。

少女性愛に対する冷え切った対応

The mod expands wedding options in the single-player farming and dating game to include Jas, a girl who seems to be about 10 or 11. It includes events as you progress through the relationship, custom dialogue, and a marriage schedule. There’s an entire story arc that involves Jas, who likes to play with dolls and isn’t allowed to leave her house after 6pm becoming less shy and afraid of people. The player’s character takes on a sort of foundational role for her, almost like a mother/father. It’s weirdly sweet. ...And then you get married.
(拙訳)このmodはシングルプレイヤーの農業および恋愛ゲームにおける結婚の選択肢を、10-11くらいに見える少女Jasを含めて拡張するものだ。このmodには関係性を深めることで得られる会話や結婚のイベントが含まれている。Jasの話の大筋はだいたい以下のようなものだ。お人形遊びが好きで6時には家に帰るように言われておりシャイで人と接するのが少し怖い。プレイヤーはそんな彼女の母親や父親のようなある種基盤的役割を担っていく。妙に甘い雰囲気を持ちながら。...…そして結婚する。

この記事で取り扱っているのはまさに私が求めていたJasとの結婚を可能にするmodである。最初の書き方からして批判的感情がなんとなくとれる。「お人形遊びをするような女の子なんだぞ」というような。
しかもそのあとにあるプレイ動画リンクには(TW: child abuse)とまである。これには本当にびっくりしてしまった。3DCGのリアル感のあるゲームならまだしもこれはドットグラフィックのゲームだ。そんなゲームでも少女との結婚というだけでここまで危険扱いされるのか...…。しかもゲームやエンタメを扱う記者が、である。ここまで少女性愛に距離を置くような記事を見たことがないため衝撃的だった。

記事によれば結局このmodは他のプレイヤーによって批判され、結婚のできないものに改変されるようだ(おそらくこれNO Dating! NO Marriage!と書いてある)。個人製作のmodは要するに同人作品みたいなものだが、批判されてここまで追い込まれてしまったということだ。少女との恋愛や結婚がいかに忌避されているかということがうかがえる。さらに、記者は以下のように続け、少女性愛に対する強い懸念を示している。

I was conflicted about even running this article. Tame as the mod is compared to, well, a lot of other things out there, it still twisted my guts into a misery pretzel. I found the idea of marrying a child off-putting, sickening. I appreciated that the mod depicts Jas getting over some difficulties with parental neglect, but the innocence of those scenes feels, intentionally or not, like a normalization of the actions of an adult romancing a child. The mod didn’t even begin to dig the fact that no child can reasonably consent on the same level as an adult, or the manipulation that often precedes these situations. It failed to consider or respect the experiences of victims of extremely harmful, traumatizing situations.
(拙訳)この記事を投稿するのにも悩んだ。このmodが色々なものと比較されるのに慣れた今でも、未だに内臓をぐちゃぐちゃにされたような感じがする。子どもと結婚するという発想は不愉快で胸糞悪い。Jasが親のネグレクトによる問題を乗り越えていく様子を描いていることは良いと思うが、かえってそういう場面の純粋さが、大人が子どもと恋愛することの正当化に見えてしまう。わざとかどうかは別にしても。このmodは子どもには大人と同じレベルで合理的な判断ができないということや、こういう時によく先行して存在する印象操作について深く言及しようともしていない。非常に痛ましい、トラウマを植え付けるような事件の被害者たちの経験に対する考慮や配慮が欠落しているのだ。

「ロリコン」は許される?

日本でだってもちろん少女性愛が歓迎されているというわけではないが、少なくともオタク同士の会話の中で「チノちゃんと結婚したい」「赤城みりあと付き合いたい」みたいな発言をしたことで炎上することはないように思う。そもそもコミケで売られているエロ同人にも少女性愛はたくさんあり、ジャンル外のオタクでもそれを目にしているはずである。だからといってオタクの内から批判が殺到するという話は聞いたことがない。なんとなく、そういう雰囲気が日本では違うのかなと感じる。「ロリコン」が許される、というとまた違うが、少なくとも仲間内ではよくある性癖の一つとして認められている傾向にあるのだろう。

先ほどの記者は当該modを4chan民の「悪ふざけ」としているが、実際私のように「どうしてもJasと結婚したい」というオタクは海外にだっているのではないだろうか。現実で行えば犯罪であることは明白だが、そういう感情が存在するのもまた事実である。もちろん責任能力や判断力の十分でない子どもをいいようにして性的に搾取することはあってはならないことだ。しかし、空想の中でしっかり責任能力のある子どものような人間を愛することも絶対に許されないことなのだろうか。ゲームや漫画として他の人に見えるならば危険ということになってしまうのだろうか。そこまで罰するのは行きすぎじゃないかと個人的には思ってしまう。第三者とは言い難いので中立な意見ではないが。

とにかく、この記事を通じて海外と日本のロリコン事情の違いに驚かされたのだった。多様性が叫ばれる時代、ロリコンオタクの処遇についても余裕があったらしっかり考えてほしいなとちょっと思った。

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