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アルジャーノンに花束を

この前、友人に誘われて舞台を見に行った。いわゆる観劇というやつだ。仕事の知り合いが舞台などの芸術に関係する人がいるので、年に数回は観劇をすることがある。

ハッキリ感想を言ってしまうと、難しすぎてよくわからない作品が7割。2割が話の流れはわかるが、面白いのかどうなのかは判断がつかない。で残りの1割が面白かった満足できた!と感じることができる作品っというのが舞台のイメージ。はっきり言い過ぎてはいるが、僕みたいなワンピース最高!キングダムおもしろ!みたいな感性を持ってる人が見るものでもないと思っていた。

毎回、この舞台は自分でもわかるかな〜という不安がよぎるのが通例である。今回見た舞台の演目は「アルジャーノンに花束を」という作品だ。文学に明るくない僕でもタイトルくらいは知っている。

内容は詳しく知らないが、知能に障害がある主人公が手術で賢くなっていってどうのこうのっという話というくらいは知っていた。ぼんやりとしか内容の知らない作品を舞台で見る。不安である。一緒に見に行った人も僕と同じくらいのレベルだったので、行く道中の車内はこれ寝てしまうんじゃないかという心配をしていた。(じゃあ見るな)

■舞台がはじまると

舞台が始まる10分ほど前に会場に着いた。観客は高齢の方々が多いが、一階席はほぼ満席。我々が無知なだけでそれなりに有名な劇団だったらしい。

冒頭は知能を向上させる手術の説明から始まった。難しい専門用語が多かったが、席が舞台に近いこともあり演者の息づかいから細かい仕草までわかり引きつけられた。

あらすじは、知能に障害がある主人公チャーリーが手術によって知能が向上していく。自身の障害に強いコンプレックスを持っていたチャーリーは、向上していくことに喜びを感じていたが知能が高くなっていけば行くほどに周囲の人間との関係が崩れはじめる。

今までは悩む必要のなかった問題や、思い出せなかった過去のこと、手術による代償。様々なトラブルが巻き起こっていくという話だ。

とても考えさせられる内容で気づいたら舞台が終わっていた。特に主人公役の方の演技力がすごく、手術前の会話が辿々しい状態からIQが一般人くらいの時、天才的な頭脳になった時の違いがセリフだけではなく表情だけでも伝わってきた。2時間ある舞台の8割くらいは主人公は出ずっぱりで、セリフ量も多く変わっていくチャーリーを演じ抜く集中力は凄まじい。

ただ僕は元々の内容を知らなかったので、内容がとても興味深った。チャーリーは手術後、苦悩を抱えるシーンが多い。今までは悩む必要のなかった問題が知能が上昇していったことで浮き彫りになっていくのだ。

こんなことを考えないといけないのだったら手術なんてするんじゃなかったと後悔する。これが今の自分とも少しリンクするところがあった。普通に生きてたらこんなこと考える必要がなかったのにと思うことがあるからだ。

自分の知能が高い訳ではないが、普通に生活をしていたらこんなこと考える必要がなかったのだろうなと思うことが多々ある。こんな考え方の人じゃなかったら楽だったのにと思うのだ。(まぁ他のことで悩むのだろうが)

舞台の詳しい内容は書かないが、終わり方が残酷なまで美しく見えた。久しぶりに良いものを見たと思った。面白い感動する心を揺さぶられる。そういうものを創るってことは、こういうことを指すのだ。自分も文章で心を動かせるようになりたいと思う。

<おわり>

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