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初期Sexy Zoneと歩んだ青春時代

  今や誰しもが少なからず名前だけは聞いたことあるであろう,Sexy Zoneは2011年に平均年齢・史上最年少でデビューした王道・若手アイドルグループである.彼らがデビューする2011年という年はボクが中学3年生の頃で,当時ジャニーズから新しいグループがデビューするということで,メンバーについての詳細を知った時は本当に驚いた.何に驚いたかって,5人中3人が自分と/よりタメ・年下という事実であるということだ.その当時のボク(中学3年生)はテレビに出ている芸能人はみんな年上で,ごく稀に同い年の人たちがスーパーキッズとして出ているという印象があった.特に当時のジャニーズ(デビュー組)でいうと,元Hey! Say! JUMPの森本龍太郎がボクの1個上であるということくらいで,あとは全員ボクよりも断然上だったと記憶している.(とはいうものの,中高生の時の年齢1個違いはとてつもなく大きいもので,実際はそんな大差ないのだが)

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 という訳で,ボクが尊敬するジャニーズアイドルのなかで,人生で初めてタメ(佐藤勝利[以下,勝利])がデビューした事実というのはかなり大きな衝撃であった.しかも当時まだジャニーズJr.としてもそこまで知名度があった訳でもないのにこんなにも早い段階で彼がデビューするなんて,タメがデビュー組にいるだなんて.....夢にも思わなかった.それからというもの,Sexy Zoneはボクの中で,年齢的に近い先輩,タメ,そして後輩が活躍する,尊敬すべきグループとして応援を続け,一方的にではあるが彼らと共に青春を走ってきたのだ.前置きが少し長くなってしまったが.今回は自分の青春時代の頃と初期のSexy Zoneを重ね合わせて,自分がセクゾとどう向き合ってきたのかについて書いてみたい.ちなみにタイトルにもある「初代」の定義というのは,公式に区切られている訳ではないのだが,デビュー(2011年)〜3人体制(2014年)の3年半弱の期間を指している.これはボクの人生に置き換えると初期Sexy Zoneは中学3年生から高校3年生の期間を指す.

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Sexy Zoneから生活を彩る

 Sexy Zoneはデビュー曲である「Sexy Zone」を2011年11月16日に発売し,セカウンドシングルである「Lady ダイヤモンド」を2012年4月11日に発売している.2011年の下旬というのはボクからすると高校受験の勉強に勤しんでいた時期でもあったため,中学の頃もなんとなく注目はしていたけれど、最初の衝撃以外あまり何も思い出せないというのが正直なところである.しかし,「Lady ダイヤモンド」を発売した4月のちょい過ぎというのはボクが高校へ入学してすぐの楽曲であるため,春の心地の良い暖かな空気の中でこの曲を聴いて高校へ淡い期待を膨らませていた時のことを克明に覚えているし,その後の楽曲を絡めた青春時代も昨日のことのように覚えている.

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 高校生活というのはまあ色々なことがある.テスト勉強で狼狽えたあの時期や友達と遊んだり喧嘩したり,好きな子ができたり恋人ができたり,部活に勤しんだり... そのなかでテンションの起伏というのはどうしても避けられない現象であると思うのだが,悲しいときも嬉しい時もボクは結構Sexy Zoneから活力を得ていた気がする.高1の頃,朝学校へ行くときは「Sexy Zone」であったり「With you」を聴いたり,11月に出たアルバム「one Sexy Zone」では「完全マイウェイ」が好きで,今でもこれを聴くと登校するバスの中で見える景色や,そこから歩いて学校まで向かう景色を思い出す.高1・2は「自分」ってなんなんだろうなーといつも(とはいえ,軽く)考えていた時期でもあったので,曲のタイトルと歌詞が自分にすごく合ったということと爽やかで明るい曲調がかなり自分の中でヒットして頻繁に聴いていたんだと思う.同アルバムに収録されている「rouge」は当時高校2年生であった菊池風磨のソロであり,大人なミディアムバラードの旋律に甘い歌詞が乗っかり,それを低みを帯びたSexyな歌声で歌唱される曲だ.この曲も,段々と異性を段々と意識し始めてくる当時高校1年生のボクからすると,ちょっとお早い感じもするが,よく聴いたものである.

 Sexy Zoneには楽曲以外にもかなりお世話になった.彼らから様々なことを学ぶうえで最も印象深かったのは彼らが毎週出演している「ザ・少年倶楽部」というジャニーズJr.を含めた若手ジャニーズがトーク・バラエティ・パフォーマンスを披露する番組である.ボクは毎週欠かさずこの番組を視聴し,録画もしていたため,繰り返し何度も観ていた.いつか書こうと思っているが,ここでは自分と本当に同世代にあたる,中高大生が多く在籍している,ジャニーズのデビュー予備軍であるジャニーズJr.もいる.彼らのことも非常に応援していたが,とりわけSexy Zoneのパフォーマンスはどれだけ自分の生活が忙しくてもここだけは欠かさず観ていた.

 Sexy Zoneのメンバーたちは最近のグループと比べて,下積み期間(ジャニーズJr.歴)が割と短い.年長組である健人や風磨はまあまあそれなりにという感じではあるが,年少組の勝利・聡・マリウスはほとんどJr.期間はなかったといっていいほどのエリートだ.とはいえ,他のグループ,特に下積み期間が非常に長く,ダンスやアクロバットが武器の同出演者A.B.C-Zと比べるとその質には差がある.悪くいってしまうと,「まだまだプロとは言えない」という感覚は否めなかったが,当時のボクにとってはそこが一番の魅力として感じ取っていたのかもしれない.楽曲も楽曲でそれぞれ感じ取るものは当然ながら異なるけれども,それを表象するのはあくまでSexy Zoneのメンバーであり,特に,ひたむきに振り付けを踊って笑顔でファンを喜ばせる,自分とタメである勝利の姿は,同い年として本当に尊敬に値する.きっと表舞台ので裏では様々な葛藤や悩みがあったであろうし,彼らを取り上げたドキュメンタリー番組(「Ride On Time」)を観るとなおさらそう思う.

 ジャニーズには“Show must go on.”というジャニーさんから引き継がれてきたモットーがある.今まで当たり前のように享受できた歌と踊りのパフォーマンスを,完全に同世代である勝利をはじめとしたSexy Zoneによって見届けたとき,いつも熱い何かを受け取っていた.そのパフォーマンスを観て,この人たちも頑張ってるんだからオレも頑張らなきゃと,頑張れるエネルギーをよくもらっていたものだった.

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Sexy Zoneから恋愛を学ぶ

 個人的にボクが一番思い出に残っている高校生としての期間は2年生のときである.というのも,初めて自分で告白をして初めて彼女ができたり,夏休みは友達の家に行って泊まりまくったり,修学旅行でハッちゃけたり,バイトに勤しんだり,将来の夢ができたり.....等様々な転換と経験を迎えたからだ.精神的に忙しない生活を送ってきたなかで,前回までに紹介してきた中居正広や木村拓哉をはじめとしたSMAPであったり他のグループであったり,様々なジャニーズアイドルから後押しを受けてきた.まあでもやはり,高校時代の思い出でいうと,彼女の存在ができたのはかなり自分のなかで大きいものである.その方とは高校2年生から大学3年生という4年もの間,交際させてもらった.当時,付き合って間もない彼女はジャニーズにはそこまで興味がなく,「どうにかしてこの人を沼に落としたい!」という一心でボクの抜かりないステマとプロパガンダにより,見事に彼女をセクゾとA.B.C-ZとジャニーズJr.の沼に落とした(我ながらこれは何らかの賞を貰いたいレベル).速攻沼に落とした後は,一緒に登校する時間も下校する時間もずっとセクゾの話をしていた.それが2013年の中旬〜下旬あたりの話である.
※ちなみに,イメージしやすくするためにその方の特徴をかいつまんでまとめておくと,雰囲気は美術部にいそうな(実際にいた)見た目静かな感じで,自然な茶色味を帯びたきれいなロングヘアで,当時よく取り上げられていたいわゆる「森ガール」みたいな方だ.

 2013年の中旬〜下旬というのは「Real Sexy!/BAD BOYS」や「バィバィDuバィ〜See you again〜/A MY GIRL FRIEND」が発売された時期である.「Real Sexy」はとにかく死ぬほど聴いた.王道的なアイドルソングでありながら,キャッチーな振り付けを何度も聴いたり見たりすると否応でも頭から離れなくなり,今でもこの曲を聴くと高校生のときに何度も見聞きした瞬間を思い出す.

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 これもこれで印象深い1つの思い出として残っているが,特にボクが心に残っているのが「バィバィDuバィ〜See you again〜」のB面,「A MY GIRL FRIEND」である(一応,ボクは英語講師でもあったので言わせてもらうと,冠詞[a]のあとに所有格[my]がきてるのは文法上完全なるミスであるため.違和感がある).この曲には,なんていうか「若いエモさ」が詰め込まれ,マジで「アオハル」要素でしかない恋愛バラードであり,吹奏楽部の練習する体を響かせる管楽器やパーカッションの音,運動部が外を走っているときの掛け声がふと聞こえくる,放課後の教室・廊下での恋愛シチュエーションを思い起こさせるような,本当に素敵な曲である.

 小さいときからジャニーズを聴いているということは,多くの恋愛ソングを聴いてきたことになる.とりわけ,この「A MY GIRL FRIEND」は実際にボクの恋が成就し,あまり喧嘩もなくほんわかに交際をしていた,当時付き合ってまだ半年くらいの時に初めて聴いた曲であり,とにかく歌詞が刺さった.

 この曲にある「メールも遅いみたいじゃないって イチイチうるさい もっと優しくしなきゃダメよって 呆れたそのポーズ」「不自然なくらいハシャイだり 大ゲンカもある それでも一緒にいたいんだ 何度も言わせないでよ」という,恋愛ドラマ・映画に出てくるようなスクールカースト最上位同士の陽キャ同士の恋愛模様を想起させるようなこの歌詞は,正直,メールは昔から頻繁に返すし大ゲンカもしない平和主義者だし,基本的に優しい(!)ボクにとってそこまで当てはまる内容ではない.しかし,今のこの歌詞はそんな自分の要素を逆照射するような形で突いてくる.

 最後の歌唱部分である「いつか言う時が来るのかな 愛しているんだって キミがいない世界は 考えたくもない ボクもボクにまだなれなくて 優柔だったりしちゃうけど 安心してもらえるように いっぱい頑張っていくからね」は,ボク個人がジャニーズ育ちだということもあり,「好きだよ」とか「愛してるよ」をちゃんと言葉で伝えなきゃいけないという教訓を楽曲通じて学んできたために,「いつか言う時が来るのかな 愛しているんだって」までは先ほどと同様,逆照射である.しかし,曲が終わりに近づき,最後の歌唱で「キミがいない世界は 考えたくもない ボクもボクにまだなれなくて 優柔だったりしちゃうけど 安心してもらえるように いっぱい頑張っていくからね」とここの箇所だけ,この曲は正面から自分に語りかけてくる.... そんな感覚を覚えるのだ.

 当時まだまだ恋愛的に幼かったということもあり,今付き合ってもらっているこの女性に捨てられてしまったら自分はどう生きればいいのかと不安になる日があったり(「キミがいない世界は 考えたくもない」),その現実を可能な限り引き伸ばすために,ある種のペルソナをつけて本当の自分らしさというのを隠して向き合っていたかもしれない(「ボクもボクにまだなれなくて 優柔だったりしちゃうけど」).彼女にとって自分が理想の彼氏であるかどうか分からないけど,なるべく彼女のその理想に近づきたくて努力していた,そんな時期(「安心してもらえるように いっぱい頑張っていくからね」)を目に見える形でこの曲が意識化させてくれたのだ.

 この曲はSexy Zoneという名義で歌っておきながら,実際に歌唱するのは佐藤勝利・菊池風磨・中島健人の3人である.当時,年少メンバーである松島聡・マリウス葉が周縁化され,格差が生じていたときは多くの批判が見受けられた.ボクもその中の1人であった.しかしながら,この「A MY GIRL FRIEND」に限って言えばこの3人が中心に歌ってくれたおかげで心に突き刺さった部分があるのも否めない.

 というのも,この曲の1番の箇所はなんと勝利が全てを歌い上げる.最初に述べたようにボクとタメにあたるメンバーだ.それまでに聴いてきた恋愛ソングというのは全て自分よりも年上のアイドルが歌っており,いくらアイドルとはいえどもなんだかあまりリアリティを感じ取ることができなかったのだが,「自分は今恋愛中」,そして「同い年である佐藤勝利の歌唱」による自分の恋愛観とこれまでについての想起...この大きな2つの要素が合わさるとそれは様々なことに思いを馳せざるを得ない.そして,2番ではボクからするとちょっと年上のお兄ちゃん(先輩?)たちである健人・風磨による歌唱によって,なんだか恋愛のアドバイスを受けているかのような錯覚に陥る.最後の,タメとお兄ちゃんの3人が真正面から自分の心を優しく突き刺す歌唱で終わるこの曲は,今でも23歳という一般的な通過儀礼を通ってきてしまった,ある程度大人な自分にティーンエイジャーの時の淡い純粋さを取り戻してくれる.

 そう,この曲はまだウブだった恋愛への考え方を—この曲以外では決して聞いたことも聞くこともないであろう「A MY GIRL FRIEND」という題名のもとで—逆・正面照射し,もう一度思い起こしてくれた,本当に思い出の詰まった,Sexy Zoneという人生を伴走してくれグループの持つ,ボクにとって大切な大切な楽曲なのである.

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