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衛星測位とは何か

「衛星測位」は、地理空間情報活用推進基本法(平成19年法律第63号)の第2条第4項に定義されています。「衛星測位」とは、

人工衛星から発射される信号を用いてする位置の決定 及び
当該位置に係る時刻に関する情報の取得 並びに
これらに関連付けられた移動の経路等の情報の取得 をいう

とされています。位置の決定だけではないのですね。

また、英文では、日本法令外国語訳データベースシステムにおいて、Basic Act on the Advancement of Utilizing Geospatial Information として掲載されています。該当する項目の Ariticle 2 (4) は、

The term "Satellite Positioning, Navigation and Timing" as used in this Act means the determination of positions calculated using signals transmitted from satellites and the acquisition of time corresponding to said position, and acquisition of track information associated with said position and time.

となっています。つまり、衛星測位は、”Satellite Positioning, Navigation and Timing” と訳されています。測位だけを取り出すと、"Positioning, Navigation and Timing” (PNT) ということになります。

これは、アメリカ合衆国において、2001年の 9.11 以後に GPS 政策が見直され、Space-based Positioning, Navigation and Timing Services 政策が策定されて以降、世界に影響を与えたことと関係があります。

さて、アメリカには、Space-based PNT 政策はあるのですが、対をなすはずの Ground-based PNT 政策がある訳ではありません。アメリカにとって、宇宙(Space)は国家戦略上、とても特別なものであることが分かります。

これは、19世紀後半、南北戦争を克服し大陸鉄道が西海岸に到達したアメリカにおいて、アルフレッド・T・マハン提督が海上戦略を打ち出して以降、海、空、そして宇宙は、一貫して世界戦略の要になっていることにつながります。

測位・航法技術とりわけ衛星測位の技術は、そのような歴史の中で重要な役割を果たしています。欧州連合の統計によれば、今日では衛星測位端末の数は70億台に届こうとしています。ほぼ世界人口に匹敵する数です。スマートフォンやカーナビなど、私たちの生活に身近な技術になっていますね。


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