匠真幸希の事件簿 file:3『女優誕生秘話』(匠真幸希のちょっといい話)

匠真幸希の事件簿 file:3

『女優誕生秘話』(匠真幸希のちょっといい話)

※ 実話を元にプライバシーを考慮した物語です。

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ひょんな事から、
ある女優さんに関わる事件を解決した事がある。

今でこそ華々しく活躍されている方だが、
当時は女優はおろか、まだタレントの卵で、
僕の元でアルバイトをしなければ生計が立たなかった頃の話だ。

面接時に彼女自ら、
「アイドルの真似事をしています。」
と自己紹介していた。

いつもの如く瞬時に膨大な情報を感知(キャッチ)したが、
その中から必要な情報を顕在化させて言葉に落とすと、

 ・本当はアイドルではなく女優になりたい

 ・このまま売れなければ引退の危機にある

 ・実家の経済状況があまりよくない
  成功して仕送りしたいと思っている

 ・今 ”何か” に怯えている

などなど・・・だ。

ご縁も感じたので採用することにした。

(仮の名を聖子さんとします)

因みに僕は、
顔の各パーツが座標軸上のどこにあるか?
でしか判別しないので、
俗に言う、
「好みだった」「可愛いから」
という思いは、1ヨクトメートルも無い。

要するに女性に興味が無いのだ。
もちろん男性にも。

数日後、予測どおり、
「何か」に怯える「恐怖値」が、
聖子さんのキャパシティーを越えた。

肌の血色、指先や唇から伴う声の微細な震え、
人が「強い恐怖」に直面した際に発せられるサインを感知したのだ。

当時は今ほどタレントに危機管理を施す時代ではなかったから、
所属事務所やマネージャーには、

”よくあること”

で、済まされていたに違いない。

そして聖子さんは、
近い存在の両親や友人には相談できないタイプだ。

どうしたものかな・・・と瞬間考えたが、

察知できる彼女の行動性や、交友関係からいっても、
94%の可能性で、僕に相談するとヨミ、待つことにした。

「あの・・・」

はい、相談のスタートだ。

近寄る彼女の、
いつにも増して白い手には、

”1枚の紙”

が握られていた。

その紙には、
定規で引かれたであろう直線文字で、

【 芸能活動をヤメロ!取り返しがつかないことになるぞ! 】

と書かれていた。


指紋を付けないように、
給湯室にあったゴム手袋をして、その紙を受け取り、

『こんなのが来たのは1回目ではないよね?何回目?』

「!!・・・これで3通目で、文面は全く同じです。」

『なぜ僕に相談を?』

「両親には心配をかけたくないし、
 よくあることだから警察に行くほどではないと
 社長やマネージャーから言われてるからです。」

(ヨミどおりだ)

『これ、封筒郵便で送られてきてるよね?
 他の2通の封筒も見せてくれる?』
 

彼女は、キョトン としながらも、
たすき掛けの鞄から、3通の封筒を出し見せてくれた。

マジマジと分析する僕に聖子さんは、

「あの・・・訊いていいですか?」

『なんだい?』

「どうして何回か来ているって、それも封筒郵便って分かったんですか?」

『君の性格や精神力からいって、
 1回目の時は、君も事務所の人たち同様に、
 イタズラかもしれないと思った筈。
 故に今、怯えてる時点で複数回なのは明白。

 封筒郵便と分かったのは、
 紙の折り方が封筒サイズに三つ折りにされていることがひとつ。
 

 そして、紙質がかなり厚手で、そこまで強く折られていないのに、
 こうして折ったまま机に置いても自然には開かない、
 ということは、長時間封筒内で圧力がかかっていた可能性が高い。

 可能性が確信に変わったのは、
 僕が、
 来たのは1回目ではないよね?何回目?
 と訊いたのに対し、
 君は「3通目」と答えた。

 紙のまま郵便受けに直接投函されていたのなら、
 君は「3回目」と答えたはずだ。

 でも君は、何回目?の問いに、
 「3通目」と手紙特有の数え方で答えたからだよ。』

大きな不安の中、頼れる場をみつけた聖子さんの目から、
恐怖が41%減少したのが分かった。


宛先も定規で書かれていて、差出人は無し。。。

消印も3通とも同じ、、、

そして、きっちり1カ月おきに手紙が来ている。。。

僕は書面から、

・左利きであること。

(左利きは約1割なので容疑者が9割は減った)

・犯人が女性であること

(紙に残った手の跡の大きさと、微かな香水の香り)

は、直ぐに分かった。

そして、、、

最も重要なこと

を、彼女に伝えた。


『これは、脅迫ではなく、心配だよ。』

「えっ!?」

『統計学や心理学、僕の経験に基づくデータから言うとね、
 君を独り占めしたくて芸能活動を辞めさせたかったり、
 ライバルタレントのファンからの嫌がらせなら、
 きっちり1カ月間隔で出されるのは不自然だ。
 最初は1カ月間隔でも、二回目以降は間隔が短くなることが多いんだよ。

   更にこれは、文面も同じだし、筆圧すら変化していない。

 相手を追い詰めたい時、相手がそのまま活動を続けていれば、
 「襲うぞ」「殺すぞ」
 というように過激化するものだし、
 怒りや怨念が有れば、筆圧はもっと強いはず。

 でも、この手紙を見る限り、優しく引かれた線ばかりだ。。。

 【君を変わらず見守っていくけど心配でたまらない・・・】

 という想いを、
 1本1本の線に託すように引かれている。』

「えっ!?・・・それじゃあ・・・」


『うん、君のお母さんか、お姉さんのどちらか・・・
 お姉さん居るよね?』

「はい。そういうことなら、姉で間違いないと思います・・・。」

『僕もそうだと思う。
 やり方に親としての責任が伴っていないから、お姉さんだね。』


後日。

乗り掛かった舟なので、
上司として、彼女を交えてお姉さんの雅子さんに会うことになった。

目立たない喫茶店で、ひっそりと・・・

『姉妹とはいえ、これは立派な脅迫です。
 警察に行けば、指紋も調べてくれますよ。
 その前に、お話しして頂けませんか?』

テーブルに置かれた3通の手紙にジッと目を落とし、
雅子さんは黙っていた。

すると聖子さんが

「ひょっとして、アレなの?」

『アレとは?? 』

僕の疑問に答えるように、
乾ききった喉と唇を震わせながら、
雅子さんは話し始めてくれた。

要約すると・・・

姉妹は、大好きな祖母から、
”ある占い” を教わっていた。


それは、

・和紙を好きなように千切る

・台の上に直線を引き、右が〇、左が×と決める

・千切った紙切れ全てを合掌した手に包み入れる

・その合掌した手を、台の線に合わせ、手を放す

・千切れた紙が、多い方が「取るべき道」

それを信じて生きてきたという。

そして、雅子さんは、
おばあちゃんの月命日の17日に、
大好きな妹の成功を占ってきた。

その都度、答えが×となり、
最初の数カ月は我慢していたものの、
不安が募った雅子さんは、
聖子さんに警告を送っていたということらしい。


『・・・。』

僕は少し躊躇したが、

 真実

を話すことにした。

『それは、ダウジングなどに見られる、
 Ideomotor phenomenon や、
 不覚筋動 などと呼ばれるもので、
 残念ながら占いではありません。

 人体の構造上、脳と両手は他の神経細胞を殆ど経ることなく繋がり、
 ほぼダイレクトに脳からの指令が届きます。
 
 脚よりも手の方が精密な動きができるのはその為で、
 意識することなく、無意識領域のレベルで、
 脳の微細な信号までも手はキャッチしてしまい、
 今回の様に、
  「こうありたい!」
 という意識が高ければ高いほど、
 より強く反応が出てしまう。
 これは科学的に証明されています。』

ポカンと聞き入る聖子さん。

並べられた理論を壊すように雅子さんは、

「じゃあ、自分が望んでいるように手が動いてるってことですか!?」

『そういうことです。
 妹さんを想い、心配する雅子さんの気持ちが、
 手の動きに出てしまったのです。

 当然ながら、芸能活動を始める時も占ったことでしょう。
 そしてその時は、〇と出た。

 でもその後、なかなか成果の出ない聖子さんを心配するあまり、
 「早めに違う道に進ませるべきではないか・・・」
 という想いが、左手をほんの僅か早く離させているのです。』

雅子さんには、そんなの信じないという激しい抵抗が観てとれた。


『では、実際に今やってみましょう。』

そういって、備え付けのナプキンを拝借し、
再現実験を開始した。

雅子さんも、聖子さんも、
何度やっても、僕の仮説を裏付ける結果しか出ない・・・。

「嘘!嘘だっ!!」

雅子さんの声と、二人の占い説を否定するように、
無情に紙切れは、多数決で否決を繰り返す。

やがて、雅子さんはゆっくりとうつむき、
か細く震える声で・・・

「ごめんね、聖子・・・。

 ・・・お婆ちゃん・・・。」

ナプキンの一切れにこぼれた涙が滲んでいく。

雅子さんは、おもむろに店員を呼んだ。

「灰皿とマッチを貸してください。」

手渡された灰皿に、
使った紙切れを全て入れ、火を点ける雅子さん。

「すいませんでした。匠真さん。
 ありがとうございました!」

火に照らされ光る彼女の涙は美しかった。。。


悩み事が解決した聖子さんは、
この事件の後、一気にスターダムへの階段を駆け上っていった。

僕の元を去る際に、
2人から手渡された手紙は、

”お婆ちゃんの和紙”

で、書かれたものだった。

The End

Spcial Thanks: T.A  A.S

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IQ181のギフテッド 生まれもった写真記憶で10万人超の生涯を記憶。統計学、心理学、占星術、観相学等も記憶しそれを元に確実性を極限に高めた鑑定料1分1万円の占いや各能力の数値化を提供。 コンサルタントとしての生涯利益29.2億円←更新中起業からのノウハウをTwitterで公開