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コーポレートガバナンスの最前線

コーポレートガバナンスが今、熱いです。

東芝とHOYAの2社がニューフレアテクノロジー(以下:ニューフレア)の買収をかけて争っています。

東芝は11,900円、HOYAは12,900でのTOBを提案しており、HOYAの方が金銭面ではより良い提案をしています。

一方で、ニューフレアは東芝が52%の株式を所有する上場子会社 であり、ニューフレアの意思決定は東芝が実質的に支配しています。

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株式市場ではこの2社のTOBが注目を集めています。

上場会社の責務とは

かつて、パナソニックを作った松下幸之助はこのように語りました。

上場会社とは社会の公器である。―松下幸之助

公器とはインフラのことで、上場会社の公共性について語っています。

上場とはすなわち株式を公開することです。公開された株式は誰でも買うことができます。上場企業はそんな、顔の見えない株主に対し奉仕する責務があるわけです。

株主は株価の上昇によって利益が得られるので、企業が効率的な運営をするよう望みます。そして、企業が効率的な運営をするようにコントロールする仕組みや制度を”コーポレートガバナンス”と呼びます。

今回の事例では、ニューフレアは東芝の子会社ですから、東芝はニューフレアの意思決定を支配することができます。東芝はニューフレアへの支配力を行使して買収することができるのです。

しかし、ニューフレアは上場子会社です。東芝のほかにも株主がたくさんいます。ニューフレアは社会の公器として、東芝以外の株主が差額の1000円分を損する事について納得させる必要があります。

理由なく1000円没収されたら、納得できないですよね?

今後の可能性

東芝はTOBの回答期限を2020年1月16日まで延長しました。調整が難航しているのか、圧力がかかっているのかはわかりませんが、悩んでいるようです。

今後のシナリオとしては3つのパターンが考えられます。

①東芝がTOBを成功させ、ニューフレアは100%子会社となる。
②HOYAがTOBを成功させ、ニューフレアは100%子会社となる。
③両方がTOBを失敗または諦め、ニューフレアは上場子会社を維持する。

これを読む皆さんはどうなると思いますか?お時間あればコメントにて教えてほしいです。

キャプチャ3

↑ニューフレアの株価の動きです。11,900円と12,900円の間を揺れ動いています。

コーポレートガバナンスの最前線

①東芝がTOBを成功させ、ニューフレアは100%子会社となる。
②HOYAがTOBを成功させ、ニューフレアは100%子会社となる。
③両方がTOBを失敗または諦め、ニューフレアは上場子会社を維持する。

②の成立には東芝がニューフレア株を売らなければ成立しないという点がポイントです。つまり、視点を東芝に移すと明快な選択肢です。東芝がニューフレアを買うなら①、売るなら②、維持するなら③となるわけです。

水面下ではコーポレートガバナンスに熱い情熱をお持ちの村上世彰氏が動いているとの情報もあります。もし今回HOYAがTOBに成功する②のシナリオになれば、上場というものについて深く考えさせられることになるでしょう。

東芝は資本主義のルールに則ってニューフレアに影響力を行使します。東芝は5割超を支配していますから、意思決定を支配出来て当然なはずです。

一方でニューフレアは子会社の前に上場企業です。コーポレートガバナンスという、上場企業としての責務があります。株主全員に対し企業価値向上をめざして行動しなければなりません。

ニューフレアは今、資本主義のルールとコーポレートガバナンスが衝突する戦場です。私はこのコーポレートガバナンスの最前線がどのように動いていくのか、これからも注目していきたいと思います。

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