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evylockというコンプレックス

今まで、誰にも言ってなかったこと。

正直に告白すると、私は22年間のバンド活動に強いコンプレックスを持っている。

それは、18歳でバンド&楽器素人が集まってできたevylockというバンドの宿命なのかもしれない。

自分たちで何か表現したい。

そのために、結成間もなくオリジナル曲を作りはじめた。

でも、ダサかった。

もっと、洗練されて、

もっと、かっこいいバンドが、常に目の前にいた。

悔しかったので、人一倍活動量を増やし、下手くそだが少しずつ認知してもらった。

それでも、リハーサルより本番のほうが、お客さんが少ない日もあった。

そんなある日、SlangのKOさんから

「どうせ、お前らみたいな学生バンドは、大学卒業したら解散すんだろ!」

と、打ち上げの席で思い切り怒られた。

しばらくして、同期のYUKIGUNIが、KOさんの運営するStraight Up Recordsからデビューが決まった。

もちろん自分たちには、声がかからない。

自分たちが一番分かっていた。

悔しかった。

案の定、大学卒業後にメンバーが散り散りになった。

でも、メンバーを説得しバンドを続けた。

そんなとき、自分たちの目指す方向性を見つめ直した。

私は、フロリダのメロディック・ハードコアバンドが好きだった。

Strong arm

Shai Hulud

そして、この時期に運命的なバンドに出会った。

taken

hopesfall

こうしたアメリカのバンドに負けないような音楽を作ろうと決めた。

だれもリリースしてくれないなら、レーベルを立ち上げて自分でリリースしようと、FALLING LEAVES RECORDSを設立した。

そんな中、はじめて仲間内以外から認めてもらえる曲が生まれた。

それが「地球の詩」、アースソングである。

この曲を聴いた本州のバンドが、自分たちを地元の企画に呼んでくれた。

めちゃくちゃ嬉しかった。

さあ、ここから!と思っていた矢先、京都からとんでもないバンドが出てきた。

naiad

正直、次元が違った。

それほど、彼らは圧倒的な存在感を放っていた。

その後、naiadは世界から認められて、ベルギーのGoodlife RecordingsからCDをリリースした。

その後も、私はメンバーを引き連れ、アメリカにツアーしたり、CDをリリースしたりしたが、正直、活動を広げれば広げるほど、現実の自分たちの音楽レベルとは乖離していった。


「evylockって、なんか色々やっているけど、正直そこまでじゃね。」

これが世間の評価。

全く、その通りだと、私以外のメンバーは痛切に感じていただろう。

私も何となくは気付いていた。

お客さんは、増えない。

増えるときは、対バンが人気のあるイベントだけ。

真剣にやればやるほど、自分のバンドに対するコンプレックスも多くなっていった。

バンドを心から愛していたから、

余計にコンプレックスも肥大していったのかもしれない。

それをひた隠すため、私は重い足かせをメンバーに課していった。


でも、18歳からずっと一緒に活動をともにしていたオノミチ(ギター)は、文句一つ言わず、ずっと私を支えてくれた。

もちろん、オノミチ以外のメンバーも。

そんな煮え切らないevylockを、ずっと見守ってくれる音楽の先輩・仲間たちもいた。

特に、

SlangのKOさん、

厳しくも温かいことばに何度も奮い立たされました。

そして、

Klub Counter Actionのウラさんとようへいくん、サッポロ・シティ・ハードコアのみんな

Endzweckをはじめ沢山助けてくれた日本各地のバンドのみんな、イベンターのみんな、ディストロしてくれたレコ屋さん

Sony music/Zestone Recordsの田口くん

RayとTaken、Mikotoのみんな

こんなコンプレックスの塊を、前に進ませてくれたのはあなた方です。



今、思えば、私は誰に対してevylockを届けようとしていたのか。

リスナーのことをちゃんと考えていなかった気がする。

もしかすると、ただの自慰行為にメンバーを付き合わせていたのかもしれない。

すべて、フロントマンである私の責任だ。


本当に申し訳ない。


そして、再び、

今までの自分のバンド活動を、再び見つめ直す出来事が起こった。

2011年3月11日である。

この話は、別の機会に話します。

そして、20年間ずっと一緒だったオノミチが、気仙沼に引っ越すことになった。

オノミチが旅立つ前、最後にカウンターアクションでライブをした。

ずっとPA(音響)を担当してくれた桑田さんが演奏後、

「俺、カウンターやめるから、多分今日がお前らのPAやるの最後だったわ」

「今までで一番良かったよ」

と初めて褒めてくれた。

私的にも、今までで一番納得のいく充実感のあるライブになった。

オノミチもいなくなるし、これで解散かな。

そう、思った。

お客さんはまばらだったけど、これが本当の自分たちなんだ、と。

はじめて、しっかりと届けられた気がした。

やっと、コンプレックスから解き放たれた。



2020年。

私は、新たなメンバーを迎え入れ、evylockのフルアルバムをレコーディングしている。

バンド活動を辞めることは簡単だけど、

新しいバンドを組んだほうが良いかもしれないけど、

あえて、困難に向き合う方を選んだ。

今度こそ、

リスナーに、evylockという音楽を本当に届けるために。

それが、メンバーを含め、22年間evylockを信じ支えてくれた方々への恩返しになるはずだ。

今は全く気負いはない。

ジャンルは、よくわかりません。

ただ正直に、

めちゃくちゃかっこいいアルバム完成しました。

聴いてください。

そして、ライブに足を運んでください。


あなたに、聴いてほしい音楽があります。


evylock

https://evylock.jimdofree.com/

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