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いいプロダクトは自分の労働観をやさしくゆさぶる。

池上にある行きつけのカフェ「SANDO」に入ったら、あいにくその日は休みとのことだったのだけど、たまたま店舗で取材が行なわれていた。

取材対象としてきていたのが、尚工藝の宮田尚幸さん。デンマークに住んで得た思想や手法を活かし、”愛情あるものづくり”を福祉の分野中心に提案する活動をしているそうで、つい興味を持って長々と話してしまった。

尚工藝という屋号の由来が素敵だ。

尚工藝という屋号には、尚=更に、工藝=機能的なものに美的装飾を加えること。 また“藝”には草木を育てるという普遍的な価値を追求すること、という意味も込められています。 (尚工藝とは What is Nao Kogei

プロジェクトのひとつとして、デンマークにある「Vilhelm Hertz(ヴィルヘルム ハーツ)」という杖の輸入代理店もやっているとのこと。この日はその杖を見せていただいたのだけど、これがかっこいい。

「福祉の道具=ださい」というイメージを軽々と飛び越えていくデザインで、まさに尚工藝という屋号に込められた「更に、機能的なものに美的装飾を加える」ということをあらわしているようなプロダクト。

僕も使わせてもらったけど、これが軽くて丈夫。なにか重い障害があるわけでない僕も、使ってみたいな、と思うくらいの使い心地の良さでおどろいた。

それにしても、素敵なプロダクトやそのつくり手と出会うと胸が躍るのはなぜだろう。その日の僕は朝から仕事のことで憂うつな気分だったのだけど、宮田さんと話して心がうるおうような思いがした。

ウィリアム・モリスが中世の手仕事に、産業革命以後失われつつあった労働の喜びとうつくしさを見出したように、素敵なプロダクトやそのつくり手を通して、僕は労働の喜びの可能性に触れているような気がする。

「Vilhelm Hertz」のようなプロダクトにかこまれて生活をすることは、自分の労働観をもやさしくゆさぶることにもなる。


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