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人生はとりあえずクビから 3回目

従者らしき人物がカーテンを開けると、大仰な椅子の背面が目に入った。
多分これ玉座とかいう王様の座る椅子?そうだよね。
玉座の向こう側は幅広の下り階段状になっている。
そして下に広がる大ホールらしき場所には、数十人の学生?。
どう見たって日本の高校生だよね。
でもなんか高校生には違いないんだけど、なんていうんだろう。
違和感があるような感じがしないでもない。

ねぇ、これどういうシチュエーション。
そう思う間もなくまたしても自動発語が起動した。
「おぉ遠来よりの勇者の方々よ、わが召喚に応えてよくぞまいられた」
視線がオレじゃなかった我に集中する。
おっザワザワって感じだね。これはまだ自分たちがどうしてここにいるかわからないってパターンだ。

しばらくは互いの顔を見合わせていたが、
意を決したように一人の女子が口を開いた。
「もしかして召喚・・・ですか」
えぇとね、さっき召喚ってこっちから言ったんだけどね。まぁいいや。
「いかにもそうじゃ。我はグラトーネ4世。このリンデルゴーフェン帝国の王である。そしてじゃ、いまそこにおる魔術師イストバウムによって貴殿たちを呼び寄せたのじゃ」
あぁそういうことか。って自分のセリフに自分で納得ってなんか変。

いずれにいても異世界召喚の王道。しかもこの学生のうちの一人がなんのスキルもないけど、主人公になるってパターン。異世界ストーリーあるある。定番というか常道、オーソドキシー。
で、そこに性格の悪いクラスカースト上位の連中だの、オタクパートの人たち、一匹狼的なヤツ、妙に冷静な女子、モブスタッフが絡んで物語は進行してくると。そんな流れかな。まぁいいや。
とりあえず、ここからはオレのターンね。

「勇者の皆々を召喚したのはほかでもない、押し寄せる魔界の奴原からこの国を救って欲しいのじゃ」
ウン、ありきたりのセリフだけど、この場合はこれだろうな。
なにしろ王様だから。
「陛下しばしお待ち下さい。是非ともお聞かせいただきたいことがございます」
んッ!いきなりなんだ。ダレ?この世界の住人?ねぇこいつダレ??

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