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VTUBERのゲーム配信について評価されやすい作品の共通点など、真面目に考察してみる/ドラクエ5の強さ

基本的に今のVTUBERの主な活動の多くはゲーム実況による時間の共有です。であればどういったゲームを選択するのかというのはとても重要な要素です。

■ゲーム実況というものについて

まずゲーム実況とはどういうものか改めて考えてみます。
前述したようにゲーム実況をする目的というのはリスナーとの時間の共有です。同じ時間を一緒に過ごす目的の為の手段として、それがゲームという事だと思います。
数多くある手段(例えば雑談等)の中で何故ゲームが主流となっているのかというのはそれが双方に都合がいい結果を出しているからでしょう。この辺の話と言うのは構造や特徴を把握する事で、今後なにを選択していくのが良いのかの指針になります。

例えば雑談と比較した際に
・配信者側が話を日々考えたりネタを用意しないで良いので負担が少ない。
・ゲームそのもののコンテンツの面白さが配信にプラスされる。
・友人や恋人や家族と一緒にプレイしている様な一体感を提供できる。
・ゲームの進行やイベントに合わせてリアクションする事でコミュニケーションが取れる。話のネタが提供できる。
・ゲームが終わらなければ長時間の配信が可能。
といった特徴がある為配信者サイドでは雑談や企画よりも安定して活動を続けやすく、リスナーとより多くの時間を共有する事がやり易いです。

リスナー側にとってはどうでしょう。
僕はどちらかというと作業しながらの「ながら見」をするタイプです。ですがコメントを見ているとプレイに集中して見ている方も非常に多い印象です。
これはプロ野球やプロサッカー等のスポーツ観戦に近いです。
スポーツ観戦はスマホをいじりながら、本を見ながら、料理をしながら、といったながら見も出来ますし、がっつり集中して見ながらいひとつひとつのプレイに感想を持ったり一喜一憂しながら見るという見方も出来ます。
僕の場合はホロライブの配信を視聴するのが中心になっていますが、上手な人達が配信するAPEXなどのFPSやストリートファイター等の格ゲーのプレイはよりスポーツ観戦に近いと考えられます。

■スポーツ観戦の醍醐味から来る共通点

この記事を書こうと思ったのがこちらのイベントでした。

22日に日本が優勝したWBCです。大谷翔平選手の人気やドラマチックな進行などで日本の多くの人が熱狂したと思います。
このスポーツ観戦が多くの人を惹きつけるポイントの一つが感情の発生と増幅です。水を差すような言い方になってしまいますが、WBCで優勝したのは我々ではありません。が、同じ様に優勝の喜びに湧きあがります。負けてしまうと同じように悔しさに襲われます。

普段いつも通りの日常を送っているとこうした感情の起伏や興奮というものは非日常な存在です。ですがそういった興奮、その素となる感情の起伏を僕たちは欲しています。それを提供できるのがスポーツ観戦でもあります。

ゲーム実況も同様に、プレイをしているのは僕たちではありません。が、同じ様にプレイしている実況者に感情移入して、その体験を疑似体験しています。
この疑似体験というものが見る側(リスナー)にとっては大きなメリットや見る価値、理由になっていると考えられます。

つまり、配信者側の感情の表現は派手であったり、大袈裟なくらいが丁度良いのだと思います。人気配信者ほどリアクションが大きかったりしないでしょうか?
これはその方がより自分事の様に出来事や感情を疑似体験できるからです。僕らの日常と言うのは毎日がカラフルに彩られたイベントに満ちた日常ではありません。それどころか僕などもそうですが基本的に同じような日々の中で退屈を感じたりしている時間の方が多かったりするかもしれません。

じゃあ自分でゲームをプレイした方が良いんじゃないの?という話になりますが、これも不思議なもので環境や年齢などにも依りますが一人でゲームをしているのは逆に寂しさを感じたりする事があったりします。その為オンラインゲームがこれだけ定着したというのもあるでしょう。

上記の感情の獲得と合わせて、誰かとのコミュニケーション(共有)も欲しています。見る側にとってゲーム実況というのはこの2つがバランスよく得られるコンテンツだからこそ市場での価値が高いのだと思います。

まとめると、
VTUBERのゲーム実況というのはこの2点を押さえているかどうかが重要で、プレイレベルの上手い下手は優先度は高くないです。上手いゲーム配信が必ずしも人気ではないのはVTUBERの配信を見ている方であれば納得度が高いのではないかと思います。


■どういったゲームが良いのか

前述してきた内容を踏まえるとVTUBERが選ぶゲームというのはどういうものが良いのかというのが見えてきます。

① プレイ時の感情の起伏が発生しやすいもの
② 共感しやすさ、内容のわかりやすいもの
③ 見ていてストレスが溜まりにくいもの

なのかなと思います。

① プレイ時の感情の起伏が発生しやすいもの
これは幾つかのジャンルがあると思います。
RPG、アクション、FPS、制作系、ホラーなどがわかりやすいですね。

◇RPG
ゲーム実況では王道のカテゴリです。ストーリーがそもそも感情の起伏を発生させる様に出来ていますのでイベントやボス戦など、そういったシーンごとで感情を盛り上がらせる要素が多く含まれています。
もし僕が個人VTUBERだったとしたら下記の要素を多く含んでいるゲームを選ぶかと思います。

・出来るだけ細かくイベントがあるもの
・サブイベントなどもあって飽きさせないもの
・登場人物に感情移入がしやすいもの
・喜怒哀楽が発生しやすいもの
・システム自体が飽きさせない仕様のもの
・プレイヤーによって内容が変化するもの

■ドラゴンクエスト5の強さ

最近のものとかですとポケモンやホグワーツレガシーなどはこういった要素がかなり多く含まれていたかと思われます。この点ではRPG実況の中でトップクラスにこの要素を満たしているのは「ドラゴンクエスト5」の様に思います。起伏の多く感情を揺さぶるストーリー、モンスターが仲間になるシステム、花嫁選び、全編通じて飽きさせないテンポ、等々、あとは配信する側がどれだけ感情を表に出して実況できるかという感じです。
重要なポイントは最後のプレイヤーによって内容が異なるという点です。基本的にゲーム実況というのは人気作であれば色々な人が同じ作品をプレイしたりします。リスナー側も複数の配信者を追ったりしますので、過去に見た事がある作品であれば変化の無い同じ内容であれば興味が沸きにくいですし、先が読めてしまうと見ていて冗長になります。

ドラゴンクエスト5では、どのモンスターが仲間になるのか、育ててパーティーを組んでいくのか、どの花嫁を選ぶのか、シンプルですがこの2つの点で見る側は先が読めないコンテンツを見られる形になります。

例えば同じ人気ゲームですがFF10などはこうした分岐や選択などの変化がプレイヤーによって発生しません。そうすると魅せるポイントとしては展開するストーリーに対しての感情の起伏のみという形になります。

もうひとつ同じRPGで、ロマンシングサガ等は分岐、変化が多いのですが、こちらは逆にストーリーにわかりやすい深みや起伏が薄いので本質的にはウケにくい性質と言えるでしょう。僕は好きで子供時代にプレイしていましたが。

少し前に大空スバルさんがプレイしていたテイルズオブジアビスがあります。これは大きな分岐などはありませんが、強烈なイベントでプレイヤーの感情を揺さぶってきます。こうした作品であれば他の人のプレイ配信を見ていたとしても、スバルちゃんはどんな反応をするのだろうか、という期待が湧いてきたりします。

テイルズの話で言うと、最近大空スバルさんがテイルズ2作目のプレイになるテイルズオブシンフォニアをプレイされています。これは個人的な感想というか考えなのですが、シリーズものをプレイする際は旧作から新作に進んでいくというのが見る側からするとより楽しめる様に思います。
というのはアビスを見た後にシンフォニアを見るとどうしても内容やシステムが劣化している様に感じてしまい、自身がプレイしてはいないのですが妙なストレスを感じたり、面白さが薄まってしまう様な印象があります。これはゲームを通じて明らかにシステムの「質」が違うと感じる様に思います。
RPGよりはアクションゲームの方がその特性は強く感じます。
例えばマリオワールドのプレイ配信の後にFC版スーパーマリオのプレイ配信が行われるよりは、FCマリオ1,FCマリオ3、SFCマリオ、という様な順序で進んでいく方が見る側も違和感やストレスが無いです。

補足するとテイルズシリーズは戦闘にこのアクション要素が強く絡むので、他よりも旧作→新作の流れで追った方が見る側に受け入れられ易いのだと思います。
このあたりのゲームのチョイスが上手いのは僕が見ている中だと、さくらみこさん、猫又おかゆさん、兎田ぺこらさんは上手いと感じます。


■ゲーム実況の市場を数字で確認してみる

2年前の記事ではありますが、様々なデータがあり興味深いです。
幾つかピックアップして見てみます。


おいおい、ご推薦しているドラクエ5入ってないじゃないかよ、と言われそうなランキングですが元記事を見ていただくとわかる様に、ゲーム実況のマーケットは非常に大きいです。カテゴリも幾つかに分けられる形で、その中でVTUBERのゲーム実況というのはこの記事の2020年段階では今ほどは大きなマーケットではなかったのかなと思います。今もどのくらいの割合かはわかりませんが2年前と比べると少なくとも2倍以上にはなっていそうです。

また、ドラクエ5については本記事の中で僕が考察するVTUBERが配信すべきゲームタイトルという感じなので裏付け等はありません。

ただ上記の上位10タイトルを見てみると、配信中に感情の起伏が多く起きやすいタイトルの割合はやはり多い様に感じます。ガチャ配信などは長時間枠は取りづらいですが非常にわかりやすい内容ですね。

マインクラフトについては感情の起伏という本記事の中で多く書いた要素とは別の、ながら見の方向性に振り切っている部分が支持されているのかなと感じました。誰かと議論をしたわけではないので個人的な憶測にはなりますが。

■終わりに

VTUBERにとって、どのゲームをプレイするかというのは始めた以上クリアしないといけないという面もあるので非常に悩ましい部分で、色々なVTUBERの人達が色々と考えながら選んでいるのだと思います。

僕自身が過去にプレイ、又は見たゲームの中だと
・ドラクエ5
・スーパーマリオ3
・マリオワールド
・ドラクエ4
・FF7
・テイルズ(アビス、ヴェスペリア、デスティニーリメイク、グレイセスF)
(ただしテイルズはダンジョン毎の謎解きが余計)
・クロノトリガー
・アンダーテイル
・MOTHER2
・天外魔境2(マニアックですが。。。)
・ペルソナ4ゴールデン
・ポケモンシリーズ
という感じでしょうか。

人気ゲームトップ100というのが検索したらあったのでリンクしておきます。


最近さくらみこさんがよくプレイするプロレス、ソウルキャリバーなどはキャラクリという形でこれまでに無かったスタイルでリスナーを引き込む新しい形での成功ケースも出てきたりしています。
ホロアースなどが稼働し始めるとホロライブにおいてはまた違った形での展開が盛り上がる事もあるかなと思います。




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