1ヶ月で潰れた国道沿いのラーメン屋から学ぶビジネスと客観性

国道沿いのラーメン屋は儲かる。これは飲食店経営者の間で有名な一つの説である。運送業を始め、仕事で国道を走っている車の運転手が、「すぐに食べられる」「駐車もラク」という理由で利用する頻度が多く、また日頃から同じ道を走行することが多いため、一度気に入ればリピート率も高い。さらに同僚や取引先などの間で広まれば口コミでも浸透しやすい。
つまり国道沿いにラーメン屋があるということだけで集客でき、リピート率も確保されているので、かなり成功率の高いビジネスである。

そんな中、1ヶ月で潰れた国道沿いのラーメン屋がある。
これは数年前にたまたま見ていたテレビ番組の企画で数名のラーメン屋店主が集まり、経営について意見を交わしていた中で出た一つのラーメン屋のエピソード。（数年前の記憶なので、数字等が少し曖昧な可能性があります）

なぜ、そのラーメン屋はこんなにも早く失敗してしまったのか。
・味がまずいから
・価格が高いから
・ライバル店が近くにあったから

おそらくこんな想像が挙げられると思う…せっかくなので、「なぜ1ヶ月で潰れたのか」少し考えて頂きたい。

正解は意外なところにあった。

「僕が出店したラーメン屋は国道沿いにあって、周りにラーメン屋もなくライバルも少なかった。長年修行をしてからの出店だったので、味にも自信がある。しかし、そのお店の場所が問題でした…」

…お店の場所！？国道でライバル店も少ないのに？
まさか何かのいわくつきとか…？

「その場所は、数メートル先に警察があって、お店から見える位置に白バイが止まっていることがあった。車を運転している人は、警察や白バイが見えるとできれば早く素通りしたい。わざわざ道を外れてラーメン屋に来るなんてことはしたくなかったんです。」

これが1ヶ月で国道沿いのラーメン屋が潰れた理由です。

番組ではある芸人さんが「そんなの2、3分考えれば分かることじゃないですか！」とツッコミを入れていたが、私も、そして今これを読んで頂いている方も同じようなことを思ったはず。ただ、この経営エピソードをただの笑い話にするのは少しもったいない。

ビジネスにおいてこういうことは本当によくあることで、「2、3分考えれば分かること」これにどうしても気がつけない。
「味が美味しいから大丈夫！」「国道沿いは儲かる！」
と、いい部分にばかり気持ちが向かってしまい、冷静に考えることができなくことは本当に多いのです。そして、ビジネスの現場では「お客様の視点で自分のサービスを見つめる」という客観性が非常に大切だということが分かるエピソードでもあります。

このラーメン屋の場合、
・ターゲットとなる運送業の人に意見を聞く
・お客様の目線でその土地を訪れてみる
・なぜここにラーメン屋がないのかをもう一度考えてみる

こういうことをしていれば、絶対にその場所の欠点に気づけたはず。

「自分の考えは盲目だと思え」

私が4年間会社を経営していて大事にしていることです。
私がサービスや方針を考える習慣としてこの3つに気をつけています。

・ターゲットの意見
・お客様目線で想像する
・今までそのサービスがない理由

「客観性」というのは注意しても努力してもなかなか身に付くものではありません。何か新しいビジネスを始める時は、その成功を願い、成功を想像しては興奮している状態なので、どんなに客観性を意識してもその本人が主観でいっぱいになっているのです。
上の3つをとにかく大事にすれば、「2、3分考えれば分かること」に気づける可能性が高まります。

最後になりますが、私もまだまだ経営については半人前でこれまでも失敗をたくさんしてきましたし、もちろんこれからも初歩的なミスで失敗をすることがあるかもしれません。それぐらい客観性を持って物事を考えるというのは難しく、大変だと思っています。

少し過去の自分を振り返ってみて客観性が足りなかったと思ったのが商品の販売価格です。当初は1000円ぐらいのブラを作ってAmazonや楽天で売ることを考えていましたが、自分が求めるクオリティや生産数の部分で到底無理な価格設定でした。そこで品質にこだわった商品開発を進めていましたが、その時点で原価は上がり、Amazonや楽天では戦えない価格設定になっていました。そのことに何ヶ月も気づかず、実際に商品を販売し始めてから「なんで売れないんだろう…元々どういう作戦だったけ？」となったのは苦い思い出です。まさに「２、３分考えれば分かること」ですね笑

今伸び悩んでいるビジネスがある方、プロジェクトが上手く行かない方は、ぜひ２、３分考えてみてください。意外な盲点があるかもしれません！

▼筆者紹介

小島未紅（29）
ランジェリーブランドBELLE MACARON代表。 2018年11月にオリジナルランジェリー24hブラを発表。 SNSを中心に人気を集め、最高日商1000万円以上の売上を記録。 立教大学法学部卒。新卒でNTTグループに入社後、2016年に起業し、株式会社ashlynを設立。

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