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ビール醸造家になるために必要な時間は思ってるよりずいぶん長い

4月になってあっという間に桜が散って、今年も時間が経つのはえーって思ってるうちにGWも終わっちゃうんですよね。
社会人20年目でも毎年ほとんど同じです。

コロナで色々身動きできなかった案件が一気に動き出してあっちゃこっちゃしてます。
店舗の営業もそうですが、水面下で進んでたらしいイベント関連が急に告知開催されたり物件や出店の話が出てきたり。
年度が替わっていろいろと補助金申請があったり免許関連の更新や書類提出があったり税務署の税務調査が動き出したり。会社としても人財の出入りもあって、情報量多めの日々です。笑
結果につながる忙しさだったらいいなぁ。と。

昨日今日と福岡のブルワリーにサポート行かせてもらってました。
免許取得されてからもうすぐ1年。
売れ行きも良く、行政との関わりやメディアへの露出も考えられてしっかりお客様にアプローチされてます。
コンペで受賞もできたし、いろんな地元コラボでクリエイティブな商品開発も進んでます。
一生懸命取り組んで下さってありがたいです。感謝。

先方との話で。

1年経って、クラフトビール製造って沼やなと。

いや、ほんとそうやなと思います。

このnoteは以前書いてたブログから過去のポストも転記アップしてるんですが2013年5月に書いた記事で、自分がクラフトビール製造に転職しようとしてる時期の記事があります。

確か前職を退職して、ビアパブでバイトしながら自宅から通える範囲のブリュワリーに飛び込みで働かせてくれーって動き回ってた頃。
この時アドバイスくれた方は小西酒造の部長さんと、その後修業先となる國乃長の師匠。

この時は色々と手厳しいことを言われてなにくそーと思ってた気がするんですが、あれから9年経って自分が曲がりなりにも人にビール製造を教える立場になってみると、そりゃそやなと。いやほんとそうやなと。
そんな簡単に考えてたらあかんで君と。自分に言ってやりたい。笑

現在、クラフトビール市場は一応盛り上がりを見せて成長していると言われてます。
何かの資料では去年のクラフトビールの総出荷量は1年前と比べて7.7%増加、なんて書いてあってほんまかいや、コンビニとスーパーで並んでるやつだけちゃうんかい、とか思ったんですが、事業者が増えてるのは事実です。
マーケットが成長している間は新規開業の発泡酒の酒類製造は許認可が下りそうです。

ビール醸造家ってどれくらいでなれると思いますか?

弊社では最低2、3年はサポートさせてほしいって言ってるんですが、それでやっとスタートラインに立てるかなって感じで思ってます。

色々と学ばせて頂いてる醸造家の方のお話を聞いたときになるほどーと思ったんですが、醸造家への道のりは、

作業補佐→作業員→醸造補佐→醸造担当→醸造長→醸造家

となってると。
醸造家が最終的に製造も販売も何もかも諸々含めて醸造でビジネスを成り立たせる仕事です。

ビールを作り始めて最初の1年で出来ることはせいぜい作業員か醸造補佐くらいです。
他業界から参入で未経験からクラフトビール製造を始めるにあたって思い違いされてる方の多くは、作業ができればクラフトビール製造でビジネスができると思ってる方。まぁ正直私もそれに近かった。

いわゆるホームブリューイングをかじってる方や、飲み手として知識のある方は確かに何も知らないよりこましで、ビールのスタイルやレシピ設計に関してはアドバンテージはあります。

ただここにも落とし穴があって、いくらすごいレシピが設計できる人でも、単純に作業や製造技術の習得や体得が無ければレシピがどれだけよくても意味がないのです。
日々の仕込みや充填のルーティン作業が安定的に出来て、一定のタイムスケジュールで進むようになって初めてレシピの改善や新商品の開発が本当の意味で出来るようになる。

じゃあこのルーティンや商品開発のサイクルを早くすれば早くいっぱしの醸造家になれるのかというとそうでもなくて、醸造所の規模にもよりますが一般的にはクラフトビール製造って年間で数十回程度しか仕込みができません。
こちらがいくら頑張って1日に人の二倍働いたところで、酵母はすでに24時間働いてくれてるのでこれ以上早くサイクルを回すことはできません。
これが酒造りの難しいところで面白いところです。

1年でなんとか作業をマスターして、レシピを一か所ずつ少しずつ改良していって何がよかったのか検証してまた次に改良して検証して、改良して検証して、少しずつしか進まない醸造家への道を酵母のご機嫌伺いをしながら日々進んでいくのが我々の仕事です。
2年やっても3年やってもいつまでたっても終わらない。
土木と一緒やなーという結論でした。

この話についてはこの記事もけっこう参考に。

自分もまだまだ道半ば。
新しい技術やスタイルのビールが日々生み出されるこの業界で、諸先輩方に教えられたこともしっかりと伝えていけたらと思います。

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