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不況の中でスタートアップを始めるということと、今やるべきこと

コロナウィルスによって、経済状況がどんどん悪化しています。

今後の状況次第では、本格的な不況になる可能性もあるでしょう。

そんな中で、僕はスタートアップを始めるわけですが(4/1創業予定)、強がりでも何でもなく、そんなに悪いタイミングではないと思っています。

創業メンバーたちに向けてメッセージを書いたのですが、折角なのでnote記事にします。

メモレベルなので読みにくいところもあると思いますが、ご容赦下さい!


・景気サイクルよりも市場ニーズや技術トレンド


まず、スタートアップを始めて新しいビジネスを創っていくという観点で捉えると、短期的な景気サイクルよりも中長期的な市場ニーズや技術トレンドを捉えているかの方が遥かに大切です。

外部環境による追い風というのはいわば階段を上るのではなくエスカレーターに乗るということだと思いますが、そもそも景気サイクルよりも強い新たな市場ニーズや技術トレンドを捉えることができていなければ、景気云々に関係なくスタートアップとして事業を見直すべきなのだと思います。

実際に、アメリカでも日本でも、偉大なスタートアップが不況の中で生まれてきました。

それらは彼ら彼女たちが不況による向かい風よりも大きなイノベーションを起こしていたからだと思います。


・不況はいずれ必ず来るもの


経済の歴史において、永遠に続く好景気というのは存在せず、常に好景気と不景気は繰り返してきました。

不況は何年かおきに必ず来るもので、私のイメージでは7、8年くらいごとにぶつかるものだと思っています。

前回のリーマンショック(2008年、2009年)から既に10年以上経っていましたから、東京オリンピック後くらいにはまた不況が来るものだと捉えていました。

いずれ不況にぶつかるなら、どのタイミングで不況にぶつかるのが良いか?

なかなか苦しいのは好況時にスタートアップを創業して、バリュエーションが上がっていったが、上場などのEXITを想定していたタイミングで不況にぶつかることです。仮に好況時の資金調達環境を前提に固定費が過度に膨らんでいたら、厳しい状況に追い込まれるかもしれません。

それに比べると、不況時にスタートアップを創業して、上場などのEXIT時に好況にぶつかる方が随分マシなように感じます。

特にスタートアップ初期(半年から1年半)はセールスやマーケティングで売上に向き合うよりも、プロダクトを開発するために中に籠ることが多いので、世の中が不況かどうかはあまり関係ないかもしれません。


・不況時に選ばれるプロダクト


そうは言っても前職でリーマンショックを経験したので、僕の中にも不況への恐怖感は相当あります。

不況時には広告費、交際費、交通費、研修費、研究開発費などのKから始まる費用が削減されるとも言われたりしますが、前職では景気感応度の高い組織人事コンサルティング事業に取り組んでいたので、好況の時から不況時に何をすべきかは常に意識する必要があると感じてきました。

私がリーマンショック時にBtoB事業の立て直しをしていて感じたこととしては、不況時には「顧客の売上拡大」か「顧客のコスト削減」に直結するプロダクトやサービス以外はかなり見直しが入ります。

逆に言うと、「顧客の売上拡大」や「顧客のコスト削減」に明確に繋がる顧客価値を提供するプロダクトをつくる、もしくはそこに紐づけてプロダクトを語ることが求められます。

前職で組織人事コンサルティング事業を展開していた際は、教育研修プログラムや新卒採用コンサルティングはコストとして捉えられることが多かったですが、営業強化コンサルティングなどは「顧客の売上拡大」に貢献するサービスとして底堅いニーズがあったように感じます。

BtoBには例えば、AIやクラウドといった技術的テーマに関するものからSDG’sといった社会的テーマに関するものまで、様々なテーマが生まれます。

しかし、不況時には、それらテーマに対する投資は、収益の向上との繋がりを明確に示せなければ一気にシュリンクする可能性があります。

逆に言うと、「顧客の売上拡大」や「顧客のコスト削減」に貢献するという顧客価値や顧客体験を好況時から考え抜けていれば、不況時の停滞は少ないもので済むでしょう。


・不況時のコストコントロール


不況をきっかけにスタートアップも一定のコストコントロールが求められます。

景気後退局面は平均16ヶ月、最長30ヶ月程度と言われます。

前職でリーマンショック時に現場の立て直しをしていましたが、2008年後半から景気後退が始まり、2010年後半には底を打って、2012年には完全に反転攻勢という感じだったと思います。

コロナショックがリーマンショック級の景気後退だったとした場合、そのようなタイムスパンを目安に資金繰りはリスクヘッジを考えるべきでしょう。

売上が想定できる最低レベルまで落ち込んだとしても、スタートアップ初期の場合は売上がなかったとしても、16ヶ月資金がショートしなければ安全、30ヶ月資金がショートしなければ万全と言えるのではないでしょうか。

これから創業するスタートアップはそもそも最初は売上を見込んでいないと思うので、このあたりの資金繰り、コストコントロールは比較的容易なのではないかと思います。

スタートアップの初期はコストがほとんど人件費なので、人員計画が過剰になっていないかだけは見直すべきだと思います。

私自身は、好況不況に関係なく、スタートアップの初期の最大の強みは多くの場合「スピード」であり、そのためにも手も足も頭も動かせるメンバーだけを集めて、出来得る限り小さいチームを保つべきだと考えています。


・不況時の競争環境


不況時には顧客の財布の紐は固くなりますが、一方で競合の財布の紐も固くなります。

前職では組織人事コンサルタントとして、人材系企業も担当していましたが、人材系は最も景気感応度が高い業界の一つで、リーマンショックでもほとんどすべての企業が大きなダメージを受けました。

しかし、リーマンショックでシェアを大きく伸ばした企業を2社担当していました。

その2社の共通点は、「他社が撤退・縮小しすぎた市場を攻める」でした。

不況時に追加の投資をして市場シェアを伸ばそうとしたり、新規事業を立ち上げようとする大手企業はほとんど表れません。

そういう意味では不況はスタートアップの競争環境という意味では悪いことばかりではありません。

コストをコントロールして生き延びることは非常に大切ですが、スタートアップがマーケットシェアを取るためには、選択と集中、そして時に逆張りで局所的なリソース優位をつくる必要があります。

引き過ぎずに、戦略的な投資でマーケットをひっくり返しに行く視点も時に必要だと思います。


コロナウィルスの感染がこれ以上広がらないことを祈りつつ、そのために適切な対応を自身も取り組みつつ、このタイミングでの起業は悪くないと前向きに取り組んでいきたいと思います。


※PaulGrahamの 「Why to Start a Startup in a Bad Economy」という記事もとても良かったです。



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