異質なものを組み合わせてみよう
マンションメーカーで広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.プレスリリースの「ネタの元」はいくらでも
企業PRを行うとき、まずはニュースのネタ、つまり、プレスリリースするに足る情報が必要となります。プレスリリースするためのネタは、新しい製品やサービスの発売だけではありません。
①商品・サービスの改良、新しい技術の導入、販売戦略の強化、値上げ・値下げ、キャンペーンなどの動き。
②経営計画、組織改革、特許の取得、新事業、合併、新規エリアへの展開、社内制度の改革など経営・戦略に関すること。
③寄付や社会奉仕、ボランティア、基金創設、スポーツ、産学連携など社会や地域との関わり合い。
④社長、社員のパーソナリティ(趣味やスポーツ、研究、表彰など)社員・ひとに関わること。
などなど、社内を見渡せば、ニュースになる「ネタの元」は数多く見つかるものです。
そうは言っても、ただ単に、これらをストレートにリリースに書いてメディアに流しても、取材を呼ぶことは難しいでしょう。
2.常識からはみ出た独自の取り組みが必要
会社の動きをニュースするには、それぞれの事柄を一般常識の範囲で漫然と行うのではなく、その枠からはみ出た独自の取り組み方をしていく必要があります。
なぜなら、世の中に前例がたくさんあるような物事や、他社と特別変わったところがない取り組みは、メディアが報じるに値しないからです。
味の素の伊藤雅俊社長の言葉は、ネタづくりのヒントになりそうです。
(以下は要約)
私は日ごろから、あることについてどれだけ多く連想できるかを意識して経営にあたっています。モノの見方を広げるのです。今まで関係のないものとして視界の外にあったことが、意外な親和性を持つことがあります。
「味の素」と「コンクリート」どんな結びつきがあるかご存知ですか?セメントにアミノ酸の一種、アルギニンを混ぜて作ったコンクリートの塊を海に入れると、コンクリートに藻が付きやすくなり、そこに貝や魚がやってきて漁礁となるのです。日建工学が「環境活性コンクリート」として製品化しています。
味の素の女性研究者がアミノ酸の活用について考えていた時、建築系の論文でアミノ酸とコンクリートの関係をたまたま見つけたのがきっかけでした。食の分野から全く門外漢の建築に出て行って、門前払いされながらようやく日建設計と出会い、動き出すことができました。
私たちの身の回りには、意外な組み合わせで新たな価値を生み出すものがあります。味の素だからと言って食にまつわる必要はありません。それこそ常識にとらわれず考えてみてください。
(引用は以上)
3.異質なものの組み合わせはニュース
優れたアイデアの多くは、異質なものの組み合わせでできています。決して無から生まれるものではありません。商品のアイデアも、ニュースネタのアイデアも、既にある様々な異質なものを組み合わせることで価値を生むのです。
過去に話題になったものでいえば、「うんこ漢字ドリル」。「子供の勉強ににうんこはありえない」というのは一般人。この全く異質な「うんこ」が子供たちの学習の意欲をそそって大ヒットしたのです。
もう少し前でいえば「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーを読んだら」。女子高校生がドラッカーの本を読むわけがないと常識的に考えたら、「もしドラ」は世に出ていませんでした。
4.情報の変形、加工、組み合わせによる異質の意味化
何を考える時も、まずは異質なものを検討の土俵に上げることが必要なのではないでしょうか。異質なものを受容できなくなると人や組織の創造性は失われるともいえるでしょう。
異質なものを積極的に組み合わせ、新しいことを創造する。そして会社のあらゆる動きがニュースになるような会社は、常に新聞の紙面やテレビを賑わし、広告で見る何倍もの露出を獲得することができます。
「発想とは諸情報の変形、加工、組合わせによる異質の意味化である」(日本創造学会)
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