「新しい」だけがニュースじゃない
マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.「新発売」「新商品」だけがニュースではない
新聞記者、テレビの制作者たちは毎日、次にどんなネタを出そうか、何を取材しようかと悩みながら過ごしています。記者たちが興味を持って、喜んで取材したいと思うネタとは、どんなネタなのでしょう。
当然ながら、ニュースとして取り上げられるには「新規性」、つまり新鮮な情報であることが求められます。とはいえ、記者が興味を持つ情報は、全く誰にも知られていない、新しいものだけとは限らないんです。
警察担当の社会部記者や、日々の政治の動きを追いかける政治部記者は、常に「誰も知らない新しい事実」を重視します。
一方で、企業や地域の話題を主に取材している、経済担当や生活情報担当の記者たちは、斬新なニュースばかりでなく、最近の風潮や、ストーリー性のある個人の人生、興味深いイベントなど、いろいろな切り口で深掘りすることで、興味深い記事になるようなネタを探していることも多いです。
企業が発信する情報も、商品やサービスの新発売のネタだけでなくても構いません。様々なネタを、切り口を変えてどんどん提供していけば良いのです。
ただし、マスメディアに取り上げられるためには、次のいずれかの条件に合致していなければなりません。それは、「社会性」・「普遍性」・「適時性」の3つです。ひとつずつ解説していきましょう。
2.メディアに取り上げられる条件 その1「社会性」
マスメディアは「社会の公器」と言われます。ですから、そこで報道される情報は、広く一般の人々に関わる「社会性」があることが不可欠なんです。
経営者はとかく「自社・わが社」を主語にしがちですが、PRでは「社会」を主語に置くことがカギ。「コロナ禍で旅行が難しい今、旅行気分が味わえるオンラインツアーを企画した」「男女共同参画が社会的に求められている今、当社は社内を改革する」「老人介護費が国家財政を圧迫しているので、当社は健康寿命を伸ばすための製品を開発した」のように、「社会」の視点を前提にして自社の情報を提供するべきです。
取材されるには、自社の商品やサービスの発表も、「いかに売れるか」ではなく「いかに社会に役立てるか」というストーリー構築が大事になります。社会動向を踏まえて、求められている情報を発信している企業に、メディアは注目するのです。
3.メディアに取り上げられる条件 その2「普遍性」
テレビや新聞は、様々な年代の幅広い階層の人々に情報を届けるためにあります。特定の分野に特化した「業界紙・専門誌」や、狭いターゲットを対象とした雑誌は除き、NHKや民放テレビ、一般紙や地方紙などは、視聴者・読者のできるだけ幅広い層に役立ち、得になる情報、つまり「普遍性」を重要視します。
また、「普遍性」には誰もが理解しやすいという意味もあります。一般に地方紙や全国紙の記事は、「中学生や高齢者が読んで理解できるレベル」を前提に、文字や言葉の言い回しを工夫しているといいます。
ですから、企業が出すプレスリリースに、あまりに専門的すぎて分かりづらい内容や、カタカナ語や専門用語ばかりが並んでいると、記者が最初から敬遠して取材対象にならない場合もあります。
新聞記事やテレビのニュースで「半導体」よりは「季節のスイーツ」、「金融情勢」よりは「芸能人のスキャンダル」が多く流れるのはそのためです。
あなたの会社が開発した商品やサービスが高度なものであって、難しい専門用語やカタカナ語を使わなくては説明しづらい場合も、プレスリリースでは極力、身近な例に落とし込み、平易な言葉に翻訳して「中学生でもわかるようにすること」を心がけてください。
4.メディアに取り上げられる条件 その3「適時性」
ニュースは「今を伝えるもの」でもあります。「適時性」は、言い換えれば「時代」「季節」「ブーム」「旬」「記念日」などがキーワード。 今だからこそ取り上げられるべきタイムリーなネタは、逆に言えばタイミングを逃すとニュースにならなくなるネタでもあります。
記者たちは記事を書く時、「これは、今書くべきネタなのか?」「今、放送する必然性は?」などと自問自答を繰り返しています。
企業の側も、情報を発信する際、「なぜ、今なのか?」「なぜこのタイミングで発表するのか?」という必然性を説明して、記者からの納得を得るようにしてください。
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