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読まれるプレスリリースとは

マンションメーカー広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。

1.リリースは取材・執筆の合間で手早く「見る」もの

記者たちはたいへん多忙な毎日を送っています。締め切り時間に追われつつ、新しい情報を探して、電話連絡し、現場に赴き取材して撮影もし、原稿を書いては出稿する・・・。その合間に、毎日大量に届くプレスリリースをチェックするのです。

メディアに届くプレスリリースの数は、地方紙や、全国紙の地方支局でも1日に数十~数百にのぼります。記者たちはこれらを短時間で確認してニュース価値や取材の可否を判断しなくてはなりません。

これまで記者から聞いた話を総合すると、彼らが1件のリリースに費やす時間は平均して15~20秒。つまり、「読む」というより「見る」くらいしか時間がない。

タイトルだけ見て、面白そうだと思えばリード、本文まで読み、記事に値すると判断すれば取材候補に上ります。あとはいったん保留か、即刻ゴミ箱行き。

そうして振り分けていかないことには、抱えている仕事が進まないのです。

2.「共通の形式」には理由がある

皆さんがいつも読んでいる新聞の紙面を見てください。

日本の主要な新聞は、全国紙も地方紙も経済紙も形式がほぼ共通です。1面に主要ニュース、続いて政治面、経済面、スポーツ面、社会面などがあります。1ページは12段~15段に区切られ、見出しや記事の配置、文字数や文体もよく似ています。記事は、結論が最初にあり、背景、具体的な内容へと続く流れで統一されています。

時代によって少しずつ変化していますが、基本構成は何十年も変わっていません

もし、各紙の大きさや体裁がバラバラで、日によって縦書きもあれば横書きもあり、ファッション雑誌のような凝ったデザインで、活字フォントが何十種類も使われていたら・・・。読者は、朝の忙しい時間に、あれだけ大量の記事を効率的に読むことができません。他紙と並べて記事の重要度やニュアンスなどを比較するのも難しいでしょう。

つまり新聞は、現時点で読み手にとっていちばん効率の良い紙面構成が採用されているのです。

記者の印象に残るために、タイトル周りや社名ロゴのデザインなどを統一しておくのは結構ですが、過度な演出は不必要。勝負はあくまでタイトルとリード文に書かれた内容に、ニュースとしての価値を認めてもらえるかどうかです。

読まれるプレスリリースはオーソドックスなのです。

3.プレスリリースは「頭サビ」

企業が発信するプレスリリースも、ある程度パターン化し、基本形を踏襲したものが、記者が最も効率的に読める形といえるのです。

最大の特徴は「頭サビ」。日本のPOPSでも最近、短いイントロの後にいきなりサビから始まる曲が多くなっているそうです。これは長いイントロや静かなAメロ、Bメロに続いてやっとサビが出てくるような曲は、若い人たちのカラオケではウケなくなってきたからとも言われます。

プレスリリースでも、冒頭にいちばんパンチのある部分、つまり「サビ」をドーンと持ってきて印象付け、リード、本文の順番に訴えたいポイントを配置していくべきです。

せっかく頑張って工夫してプレスリリースを仕上げたとしても、ニュース価値を記者に直感してもらえなければ何にもなりません

4.奇をてらうべからず


広告代理店やデザイン会社にパブリシティを任せると、デザインに凝った、パンフレットのようなプレスリリースができてくることがあります。また、縦書きで新聞記事の形式と文体をそのまま取り入れた「新聞記事風のプレスリリース」を推奨しているPRコンサルタントもいるようです。でも、私はこれらをお勧めしません。

記者たちはニュースの元情報が手に入ればよいわけで、デザインでは選びませんし、新聞記事風に書くのは彼らの仕事ですから、彼らからすれば記事風リリースは「余計なお世話」でしょう。

プレスリリースは奇をてらったデザインで目立つのではなく、中身のニュース価値をどうシンプルに、強力に伝えるか、それだけを考えてオーソドックスな形の中で勝負するべきなのです。

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