アメリカの学校の掃除当番(効率と公平)

私がアメリカの学校で日本語を教えていた時の話で、文化(考え方)の違いで印象に残っていることを自己満足的に書き綴ります!

その学校は少人数の学校で、小学生から高校生の90人に満たない生徒が在籍している公立の学校でした。そんな幅広い年齢層の少人数の学校は珍しいと思うのですが、もっとユニークなのは、学校のシステムに日本文化を取り入れていることでした。先生のことを科目を問わず「Sensei」と言ったり、チャイムは太鼓、朝はラジオ体操、秋は運動会、もちろん生徒はみな日本語を学ぶような、そんな学校でした。

その学校が取り入れている日本文化の一つに、「そうじ」がありました。
私たち日本人のほとんどが、放課後にそうじを経験したことがあるのではないかと思いますが、アメリカの学校では、掃除は生徒がするのではなく、清掃員の方がするのが一般的です。

授業が終わって10分間、掃除のBGMが流れている間、教室やお手洗いや中庭、トイレなど、クラスごとに週で担当を変えながら、生徒たちは時に生き生きと、時にだるそうに(国関係ないですね)掃除をしていました。

そんないわゆる日本式の掃除当番方式が、アメリカ式にアレンジされることになったのは、私が着任して1年後のことでした。

きっかけは、生徒からこんな意見が出たことでした。
「窓ふきは窓ふき、掃除機は掃除機、同じ人が1年間同じ作業、場所を掃除した方がプロになれるし、効率がいい!」
それを聞いた時、私はびっくりしました。従来の日本の持ち回り当番方式?になんの疑いも持っておらず、それが公平で当たり前の方法だと思っていたからです。この方式は多分変わらないのでは?と思っていましたが、校長先生はその生徒の意見を採用しました。生徒一人ひとりにそれぞれ個別の役割を書いた紙を作って渡し、生徒は1年間、同じ掃除の作業に従事することになったのです。。

結果、どうなったかというと、それによって迷いなく掃除が進みよりスムーズに行われる様になったこと、掃除のコツをつかみ、清掃スキルが上げる生徒が現れる等、プラスの面もありました。でも問題も生じました。一人ひとりに役割があるといっても、その負荷は必ずしも同じではないため、早く掃除が終わる生徒と掃除がなかなか終わらない生徒が出たり、慣れた末に掃除をサボる生徒が出たり。。
「掃除が終わった生徒は終わらない生徒のお手伝いをしてね」先生たちはそう生徒には伝えて作業が平準化されるようにしましたが、実際はどうだったか…でも、実際にこの掃除方式をやってみて、生徒もいろいろ学んだのではないかと思います。それが一番大事だと思います。

掃除当番の改革は完全に成功したとはいえませんでしたが、効率性を重視するアメリカ人、公平性を重視する日本人、その国民性を身近で目の当たりにしたようで、じわじわ感動したのを覚えています。

そして今改めて振り返ってみると、掃除システムの改善したいと果敢に先生に伝えた生徒、そしてそれを受け入れて実際にやってみることにした校長先生の勇気が本当にかっこよく、その姿にも心震えたのでした。(おわり)

本文と関係ないが、生徒のお母さんが差し入れしてくださったプリン。
メキシコの濃厚プリンだそうで、私の人生のナンバーワンプリン!(食べかけすみません)


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