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約束 マルタの思い出

古い旅日記が見つかったので昔の話をさせて下さい。2009年チュニジアに行った目的のひとつとしてサハラ砂漠で野◯ソする、てのがあったんです。現地の旅行代理店で一泊砂漠ツアーぐらいあるだろ、と軽いノリで首都チュニスに居る間に旅行代理店を見つけて聞いてみました。

”砂漠で一泊二日のツアーとか出来ます?”

“Parlez-vous français?” …

旅行代理店なら英語が通じると思ったが諦めて楽に旅をしようと思った。隣がチュニスエアーのビルだったのでマルタ行きのチケットある?って聞いたら週に二日就航してて日本に帰る便に間に合う。初めてのイスラム圏、超アウェイのチュニジアで心が折れかけてたので一旦引き下がろう。

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空港から路線バスに乗りバレッタの街で降り、宿を探そうと思ったが人っ子ひとり歩いてない。ツーリストインフォメーションも閉ざしたまま。あれか、RPGで街に入ったら誰も居なくて住民を探すミッションみたいなやつか。どうしようもないので一旦空港に戻って空港内のツーリストインフォメーションに助けを求めた。異常なぐらいにフォックスシェイプのメガネが似合う熟女が電話帳を投げ寄越してきたので適当なホテルの電話番号をメモする。

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スリーマのホテルに電話を掛けると部屋は有るから来い、と言われ一泊幾ら?て聞いたらイイから来なさい、って値段教えてくれない。こんな事は初めてだったが一泊朝食付きで30ユーロはオフシーズンでも格安だった。

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比較的優雅な朝食をとった後フェリーでバレッタに渡る。バレッタのバスターミナルがこの島では冒険の起点となるのだ。

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マルタ島の公共交通機関は路線バスとタクシーぐらいしかない。今もってそうだが2011年7月以前はご覧のような余計にカネ払ってでも乗りたい気になるレトロで個性的なバスが走っていたのだ。

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Marsaxlokk・マルサシュロックという漁港でバスを降りてブラブラしてたら腹が減ってきた。家族経営ぽいレストランに入ってカジキのソテーを頼んで待ってるあいだ旅の記録をつけてたら”あんた、どこから来たんだい?” ”日本だよ””そうか、俺の従弟のゴードンて奴が日本語でイレズミを入れたいんだよ。あんたの国の文字でゴードンてどう書くか教えてくれよ。” 

日本語かどうかはともかく漢字の入れ墨が連中にはカッコよく見えるんだろうな。ゴードン(マルタではゴルドンて感じで発音するらしい)か、そうだな、ゴーは豪とか剛か轟だよな。勇ましい感じするし轟なんかはカタチからしてウケが良さそうだ。しかしドンはなんて字を当てる?鈍、丼、曇、豚、貪…ダメだ、イメージ良くない。呑…どうやらゴードンはキッチンで皿を洗ってるわりかし華奢な青年のようだ。飲んべえなら呑でもシャレになるけどコーヒーでさえミルクと砂糖を入れないと飲めなさそうなタイプに見えるな…轟という字面が合わないほど優しそうな青年の(日本語の)名付け親としては相応しいものを考えたい。

”すまない、帰国したら辞書で調べるから後日回答とさせてくれないか。漢字には文字一つにそれぞれ意味があるんだよ。僕からのメールを待っててくれよ。”

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ゴードン、ごめんな。あれから11年経ったけどまだ約束を果たせてなかったな。”郷敦”でどうだ。意味はよく分からんが僕の代わりにソニー千葉って有名な俳優が考えてくれたよ。

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