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大谷地にて

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ノンフィクション小説。 北の大地で、過ごした日々を記していきます。
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オヤチニテ

大谷地に着いて電話をする。 道民の一人が電話に出てくれた。 「じゃあ、今から行くから」 私たちは数十分待った。すると、昨日会った一人が笑顔でやってきた。 「本当に頼ってきたんだね」 「頼るしかなかったから」 ここで初めてノリさんという名前だということが分かった。歩いて10分くらいのところにアパートを借りて過ごしているようなのだが、どんな人だか全く分からない。私たちは歩きながら自己紹介をしていった。 途中でセイコーマートという、コンビニに寄った。 「内地にはない

お や ち に て

2日目 札幌市内の観光。どこ回ったか今では忘れてしまった。しかし、寒かったのは覚えている。そして、何しに来たんだろうという思いが心に響き渡る。 夜の闇が近づく。 「さあ、どうしようか?」 2人で2日目の夜の過ごし方を考えた。 「またホテル?」 2人答えは分かっていた。 道民の1人連絡先に連絡した。 「覚えてる?昨日の2人」 「覚えているよ」 「お願いがあるんだけれど?」 「何?」 「今、一人暮らし?」 「そうだけど」 「2人、しばらく一緒に暮らさせ

おやちにて

まずはコンビニエンスストアに入って、求人雑誌と遅めの昼食を買う。 北の大地で一か月間、仕事をしながら生きていこうとした1日目は、もうすでに3分の2の時間が経とうとしていた。 まだ雪深かった札幌。どこで食べてよいか分からず、通路の端っこで食事をした。寒さの違いに驚き、それに慣れている人々に驚いていた。 「どうする?」 「1日目だから観光でもしようか?」 「泊まるところは?仕事は?」 「まあ、なんとかなるのでは」 そんな2人は小樽に向かって列車に乗った。 小樽に着くと

大谷地にて

学生時代、アルバイト先の友達と一緒に北へ向かった。 2人でアルバイトを一か月間休んで。それも3月に。 何をするかも、何も決めてなく、ただ、北へ向かおう、一か月いよう。ということだけ決まっていた。ちょうどJRから学生向けの格安の切符が出たということだったので、それを使って行こうということになった。 行く前日に大きな駅のみどりの窓口に行き、切符の購入と寝台車の指定の予約をして、次の日、同じ場所で落ちあった。 そして19時頃、北の玄関口を出発した。 友達は自分の新しい可能