恩返しと恩送り~そして私は反省しない
受けた恩を恩義ある人へ直接返す恩返しもいいが、受けた恩はこれからの社会へ返していく「恩送り」によって、人はもっと生きやすくならないだろうか。
生きていくということは、まわりに醜態をさらし、誰かに不義理を重ねることである。恩を仇で返すというのはその典型。死ぬまで息をしていくためには、道徳とか常識がなんとかなどと、そうスマートにいくものではない。これに同意できない人はよほど鈍い人か、そうでなければ幸せ者だと思う。
仮にこちらは恩を返したくても、相手はもうこちらの顔も見たくないかもしれない。恩返しできればそれに越したことはないが、それを負担に思いながら生きていくくらいなら開き直ったらいい。受けた恩はこれから出会う人たちに送ってあげよう。
私は失敗しても反省しないようにしている。失敗したら何がいけなかったのかを考えるし、その失敗を次に生かそうとは思う。それを反省というのではないかと思われるかもしれないが、反省という言葉にはどこか他人の目が介在していないだろうか。まわりがうるさいから反省するし、嫌われたくないから謝る、みたいな。
まず自分を優先しなくてどうする。誰も自分の人生を代わりに生きてはくれないのだ。自分ファースト同士で相違が生じれば、その都度話し合えばいいだけである。
※イラスト:清蔵あずさ
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