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掃除機が、どんな音だったらいいのか。

他人からみたら、それ、あたりまえだろうと思われるかもしれないことに、あらためて気づいたというか、今更そんなことに気づいてどうなるんだろうみたいなことを、ときどき、ぼくは思うことがある。

昔は、そんなに気にしていなかった、掃除機の音が、最近気になる。

気になるというのは、どちらかというと、わるい意味でだ。

掃除機のウィーンウィーンって音が、どうにも騒がしいのだ。

先日、うちのおくさんが、午前中に部屋に掃除機をかけてくれたとき、ぼくはまだ布団の中だった。

隣の部屋の方から、聞こえてくる掃除機の音が、やたら耳に響いてきた。

騒がしい。

でも、掃除機の音以外にも、窓の外から、いろんな音が聞こえていたはずだった。

風で部屋のカーテンがふわっと舞う音、近所の子供たちが遊ぶ声、なわとびの縄が風をきる音、家の近くにある大きい木に住んでいるだろう鳥の鳴き声、家の通りの前を横切る自動車の走行音など。

だけど、掃除機の音だけが、ぼくの耳の外から土足で入ってきて、頭の中を走りまわっていた。

騒がしい。


誤解のないように言っておくと、掃除機で部屋を掃除してくれるうちのおくさんが悪いとかを言っているわけではない。むしろ、感謝している。

逆に、ぼくが掃除機をかける立場でも、やはり、掃除機の音は騒がしいと感じる。

吸い込む音ではないが、ドライヤーから出る、ウォーンっていう音も、騒がしいので、ぼくは気になる。

掃除機も、ドライヤーも、上空を飛ぶジャンボジェット機の飛行音ほどに、ものすごく大きい音を出しているわけではない。

家の外から聞こえてくる、道路の走行音もそれなりに大きい音だが、少し遠くはなれたところだと、気にならない。物理的には聞こえているはずなのに、それらの音の存在を忘れることだってある。

この音が気になる原因がなんなのか、科学的に何かを明らかにしたいとか、理屈をこねて説明したいとか、問題を解決したいとか、そういうことを、今回書きたいわけではない。

毎日を過ごしていて、ぼくは、こういう音が苦手なのか、気にするんだなぁということに、違和感を抱くのだなぁということに、

他人からみたらあたりまえと思われるかもしれないことあらためて気づいたというか、ただそれだけである。

でも、一緒に気づいたことを、おもしろがってくれる人がいたら、それはそれでうれしい。

吸い込む音、吐き出される音が、まったくしない掃除機やドライヤーがあったら、どうなるのだろうか、頭の中で想像してみた。

ほぼ無音と紹介されている掃除機が存在しているのは、ぼくは知っているが、使ったことがない。扇風機の中の小さいプロペラぐらいの回転音なのかしらん。

ぼくにとって騒がしかった掃除機やドライヤーが、突然無言になったら、ぼくはどう思うのだろう。

騒がしくなくなってよかったと思うのか、それとも、何かもの足りないと思うのか、じぶんで使ってみないと、わからない。

無音のそれらを誰かが使っている状況だったら、そもそも、ぼくは、誰かが部屋の掃除をしたり、髪を乾かしていることに、気づくのだろうか。

掃除機やドライヤーが、無音ではなく、ウィーンウォーンといった音ではなく、別の音だったら、どうだろうか。

例えば、猫、犬、ひよこといった動物の鳴き声なら、どうだ。

ニャーニャー、ワンワン、ピヨピヨ。

騒がしいかもしれない。

少し遠くで聞いていたら、ほんとうに、動物が鳴いている声かもしれないと勘違いするだろう。

掃除機やドライヤーが、音楽を奏でていたらどうだろうか。

家の中で、音楽が流れているということに気づくだろうが、掃除をしている、髪を乾かしているとは、ぼくは気づかないだろう。

ギターやドラムが、ガンガンなっている音楽だったら、

騒がしいかもしれない。

少し遠くで聞いていたら、誰かが、楽器を弾いている、音楽を聴いていると勘違いするだろう。

掃除機やドライヤーが、どんな音だったらいいのか、そもそも音がないほうがいいのか、いや、やっぱウィーンウォーンといった、ぼくにとって騒がしい音があった方がいいのか、イマイチわからない。


最後まで読んでいただきありがとうございます。気になったことから、妄想を膨らませていったら、結局、収拾がつかない状態になってしまいました。今まで認識していたものがなくなったらって状態、他にもありそうですよね。



サポートありがとうございます。カフェでよくnote書くことが多いので、コーヒー代に使わせてもらいますね。