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「無理をしない」と言ってくれた、じぶんの体を褒めてあげたい。

何かを楽しむためには、じぶんのコンディションを整えておくことが必要だと痛感した。

先日、楽しみにしていた映画を映画館で観ていて、途中、気分が悪くなって、トイレに駆け込んだ。本編始まる前の予告タイミングだったので、本編が始まるまでには間に合うだろうと、駆け込む前は思っていた。

誰もいない映画館のトイレの個室に籠って、買ったペットボトルの水を飲みながら、体調が改善されるのを待った。

具合が悪くなる予兆は少なからずあった。電車を降りて、映画館に向かう道中、少し体に違和感があったのを覚えている。下腹あたりだ。

トイレに籠って、少し落ち着いてきたので、会場の入り口扉まで向かった。だが、廊下で、また体に違和感を感じた。

なんか気持ち悪い。下腹あたりに違和感がある。腹痛ではない。でも、ムカムカする。なんだこれは。

シアター10と表示された入り口前で、一度立ち止まった。このまま、席について大丈夫だろうか。座った途端、吐き気が襲ってくるのではないか。不安になった。

本編前の予告がもうすぐ終わる頃だった。しばし、廊下の壁に設置されていたディスプレイを眺めていた。2020年公開予定の映画ポスターが映っていた。『9人の翻訳者 囚われたベストセラー』というタイトルが気になった。翻訳者であろう9人が、手前から奥に3人×3列になって、正面を向いている構図。ある部屋に閉じ込められている状態。気持ち悪さを抱えながらも、映画に興味を持ち、公開されたら観に行こうと思った。

気休め程度に、ポスターを眺めていたが、いっこうに体調が良くならなかった。手に持っていたペットボトルは空になっていた。変な汗も出てきた。この状態で、映画を観れるのか、楽しめるのか、本気で考えた。席について、果たして約2時間耐えられるのか、何度も席を立ったり座ったりしたら、周りのお客さんに迷惑をかけてしまう。1900円のチケットを無駄にしてしまうなぁという損得感情も湧いてきた。どうする、俺。

もう本編の冒頭のシーンが始まってる頃だった。実は、一度観ている映画だったので、内容は知っていた。だが、2回目を観るにあたって、じぶんなりの楽しみ方を見出して、今回映画を観ることに臨んでいた。それを、実現できないこと、悔いが残るだろう思った。3回目トライしたいところだったが、ラスト上映の前日の回だったので、映画館で観るには、スケジュール的に厳しかった。流石に、3回目まで観に行くモチベーションは保てなかった。

本編開始して、20分ぐらい経って、席に戻った。席ついてしばらくして、耐えられなければ、出ようと決めていた。

空気が淀んでいて、狭いシアターのせいか、圧迫感があった。案の定、席について、数分経たないうちに、「無理だ」と、じぶんの体が悲鳴をあげた。スクリーンには、ジャーナリスト(主演女優)が切実な表情で、人混みの中、取材対象者にマイクを向けて、質問しているシーンが映っていた。そのスクリーンに映し出されたアップの彼女の表情をよそに、席を立った。席を横切る際に他の観客に頭を下げながら、体を小さくして、こそこそと狭いシアターを後にした。

今まで、本編の途中で抜け出して映画館を後にしたことがなかった。じぶんの中では、初めての体験だった。昔のじぶんなら、無理してでも、意地で本編を最後まで観ていただろう。

今回は、体が先に悲鳴をあげてしまい、思考が追いつかず、衝動的に映画館を出るという行動に出てしまった。悔いは残る一方、そういう行動をとったじぶんに、正直驚いていて、妙な新鮮感を感じる。こういう選択肢をとることができるじぶんがいるということに。痩せ我慢しなかったじぶんに。

後日談。

急いで、近くのクリニックに行って、診断を受けた。風邪やインフルエンザではなかった。胃腸に負担がかかっているのかもということで、胃腸の処方箋と薬をもらった。すぐに、吐き気を抑える薬を飲んだら、落ち着いて、夜には、体調が回復していた。おかげで、夜にも、もう1つ楽しみにしていたイベントあったが、そっちは、気持ちよく、楽しめることができて、よかった。

もし、あのまま、映画館の席に、頑張って耐えて本編を見終えたとしても、きっと「苦しかった、それどころじゃない、楽しめるわけない」っていう感想が出てくるに違いない。

無理をしない。その選択をしたじぶんの体を、少し褒めてあげたいと思った。無理をしないためにも、コンディションを整えることは、本当に大事だ。

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