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mofi|映画・答え合わせ

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ハリウッド映画を中心に、新旧の映画の構造や効果を「答え合わせ」します。
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2024年4月の記事一覧

『リプリー』:古典原作の新解釈が不気味で笑えてオススメな件

『リプリー』:古典原作の新解釈が不気味で笑えてオススメな件

『Ripley』第1-8話(2024年)★★★★。

Netflixで4月4日から配信開始されたドラマ『リプリー』がイイ。

このご時世に白黒だし、アクション性もないので一見とっつきにくいかもしれない。でも近年でも出色のサスペンス・スリラーで、噛むほどに味わい深いスルメドラマ。原作や過去の映像化作品を知る者も、そうでない人も、一見の価値あり。

原作と映像化の背景

もともとはShowtime(パ

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『シビル・ウォー(原題)』:シリアスな社会派ドラマ、に見せかけたド根性戦争サスペンスな記者物語

『シビル・ウォー(原題)』:シリアスな社会派ドラマ、に見せかけたド根性戦争サスペンスな記者物語

背景

アレックス・ガーランドといえば、ダニー・ボイル監督とのタッグで名を挙げた英国出身の小説家、脚本家、監督。小説『ザ・ビーチ』を執筆し、レオナルド・ディカプリオ主演の映画化(2000)でボイルと初めて絡んだ。同作は酷評されたが、タッグはゾンビ映画の名作となった『28日後…』(2002)で開花し、その脚本でゾンビ・パンデミックものの定義を塗り替えた。

その後『サンシャイン 2057』(2007

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『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』:23年の隠れた名作アニメ

『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』:23年の隠れた名作アニメ

『Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem』(2023年)★★★☆。

見る気にならなければ、見ない理由はいくらでも並べられる。が、見たら驚かされる。23年の隠れた良作。

先入観

絵作りは『スパイダーバース』の後追いや二番煎じと言う者もいるだろう。「ニンジャタートルズはいろんなシリーズ作りすぎ」と、ニコロデオンの節操のなさをなじる者もいていい。どれ

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『ゴジラxコング 新たなる帝国』:頭カラッポの方が(怪獣プロレスの)夢詰め込める

『ゴジラxコング 新たなる帝国』:頭カラッポの方が(怪獣プロレスの)夢詰め込める

『Godzilla x Kong: The New Empire』(2024年)☆・・・。

近年でも稀に見る知能指数の低さで…そんなことを恥じ入るべくもなく。どこまでも怪獣プロレスに徹する1時間51分。もうCHA-LA、HEAD-CHA-LA。

日本に限らず、アメリカの観客が『ゴジラ-1.0』をとびきり楽しんで評価するのも、わかる。ハリウッドがこれだけ割り切った代物を作っていると知れば、わかっ

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『デューン: 砂の惑星 PART 2』:超級大作映画による娯楽と芸術の両立

『デューン: 砂の惑星 PART 2』:超級大作映画による娯楽と芸術の両立

『Dune: Part Two』(2024年)★★★★。

難解なものを、難解さを残したまま、見たいものにする。

ドゥニ・ヴィルヌーヴの『DUNE 砂の惑星 パート2』が1.9億ドル(およそ288億円)の超大作映画で冒険しているのはこの点だ。

プロット上、疑問符が確実に上がる些事にはじまり。箱に手を入れると何かの適正が見られるとか、人間コンピュータが脳内でいろんな計算ができるとか(これは考えて

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