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ナイト「効果的な面接に向けた7つの指針」

人事採用関連で、感銘を受けた書籍というのは少ない。自らのチームに迎えることになった新任採用担当に薦めるのであれば、なんだろうか。

『ウォー・フォー・タレント』、アラオス『人選力』、ルー・アドラー『グローバル人材獲得ハンドブック』は、基本的な知識を得るのにはよいだろう。ルー・アドラーは邦訳のタイトルに恵まれず、あまり読まれていないようだが、英語圏のリクルーター界隈では基本図書の一つ。採用から少し幅を広げれば、ラム・チャラン『人材管理のすすめ』、クリスティー・アトウッド『サクセッションプランの基本』、リード・ホフマン『アライアンス』あたりも面白い。英語が読めるのであれば、Powerful: Building a Culture of Freedom and Responsibility や、Strategic Staffing, Global Edition なども薦めたい。ラム・チャランの新刊 Talent Wins: The New Playbook for Putting People First もそれなりに面白い。本当は、Strategic Staffing の訳読の会など企画できると、基礎体力をつけるのには良いのだが、それはもう少し仕事に余裕ができてから検討したい。

以前、アラオスやサリヴァンの見解を引用しつつ効果的な面接手法を説く、How to Conduct an Effective Job Interview を抄訳したので、それを再掲したい。関心を持たれたら、ぜひ『人選力』などあたってほしい。

面接は、候補者を評価する機会でもあり、彼らに逃げられてしまわないよう惹きつけを行う機会でもある。面接官、応募者双方にとって有効な面接を行うための原則を紹介したい。

1. 質問を事前に準備すること。候補者が応募したポジションに求められる資質、能力を特定しまとめておこう。そのポジションで活躍しているトップ・パフォーマーの特徴をあげてみることも推奨したい。彼らの共通点は?前職では何を達成して自社にきたのか?等だ。見極めるべき資質、能力を特定した上で、職務経歴書に目を通し、質問を事前に準備しよう。

2. ストレス、緊張を緩和すること。候補者は面接に臨むにあたって緊張を感じているだろう。いったいぜんたい何を聞かれるのか、そもそも何を着ていけばいいのか等。よく知られている通り、ストレス下において良いパフォーマンスを発揮することは難しい。事前に情報開示し、不要なストレスを候補者に課すことを控えよう。面接で取り上げる話題について事前に伝え、彼らが考えをまとめることができるよう時間をあたえてもいいだろう。候補者にとって一番都合のよい時間に面接を調整し、ドレス・コードも事前に伝えてあげよう。不要な心配事を取り除くことで、よい生産的でプロフェッショナルな会話を行うことができる

3. 他の社員を巻き込むこと、ただし少数のみ。採否を決める重要な意思決定に際しては信頼できる同僚の支援を仰ごう。アラオスは、直属の上司になる人間と、その上司、そして人事の責任者(あるいはリクルーター)の3名によって選考を行うことを推奨している。サリヴァン曰く、同僚になる人物を巻き込むことも重要だ。採用に関わらせることで受入れに関するオーナーシップを醸成ことができる。

4. 潜在的な能力、ポテンシャルを評価すること。アラオスは、コンピテンシー、ポテンシャルをしっかりと評価するためには、初回の面接に2時間はかけなければならないという。好奇心、見識、主体性、決断力に注目して評価しよう。サリヴァンは、今の実力だけでなく、候補者が例えば、一年後、時間の経過とともに会社や仕事を取り巻く環境が変わることを想定した上で、将来求められるスキルを持っているかどうか、評価するべきだと助言する。どのように新しい事柄を学習するのか、また、業界が今後どうなっていくと思うか、候補者の考えを聞いてみよう。未来は予測できないが、私たちが必要としているのは日々情報収集し、動向を追い、自分なりの展望を持つ人物のはずだからだ。

5. 現実的な解決策を問うこと「あなたの弱みは何ですか」などという馬鹿げた質問で時間を無駄にするのはやめよう。具体的に、当該のポジションに就いた場合に直面するだろう課題に対し、候補者がどのように対処するのか見極めよう。料理人を採用したいのなら、彼らに何か作らせてみるのが一番だ、というわけだ。実際に起きている業務上の課題について説明し見解を求めるだけでなく、現在やこれまでの対処の仕方について共有した上で非効率な点を指摘させ、改善策をその場で考案してもらうのも手だ。

6. 社風とのフィットを考慮する、ただし執着しないこと。会社の文化や仕事の進め方が、候補者が慣れ親しんだものと近しいかどうかを確認することは重要だ。ただし人は適合する。今の時点でどの程度フィットしているか、ということよりも、適合し調整する柔軟さがあるかどうかを確認しよう。

7. 魅力付けすること。もし面接がうまく進み、目の前の候補者が優れた人物だと判断したら、後半はそのポジションと組織について魅力付けすることに時間を使おう。アラオスは、どのような点を評価したのか開示することを推奨している。面接は双方向なものであり、面接する側も候補者から見定められていることを忘れないようにしたい。同僚になる人物と引き合わせることを提案してもいい。実際に働く仲間を通して組織の等身大の現状を理解してもらえるはずだ。

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