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サリヴァン「スタートアップが陥る採用上の誤りトップ10」

ジョン・サリヴァン「スタートアップが陥る採用上の誤りトップ10、なぜお粗末な結果になるのか」という記事の抄訳を以前作成したので、再掲して紹介したい。サリヴァンは、アラオスに並んで尊敬することのできる人事採用分野のプロフェッショナル。学ぶべき相手を正しく設定することの重要性を痛感する。

1. 採用力の低さがもたらす経済的損失を過小評価してしまう。重要ポジションの採用が遅れることが、プロダクト開発や事業成長、資金調達にどれほどの悪影響を与えるのか、定量的に理解できていないリーダーが大半だ。

2. 採用プロセスのどこに課題があるのか特定できない。十分な数の候補者がいないのか、候補者の質が低いのか、正しく見極めができていないのか、魅力付けができておらず辞退されてしまうのか。課題を正確に特定できなければ、採用力向上は到底かなわない。

3. すべての社員を「年中無休のタレント・スカウター」に仕立てあげることができていない。成功のカギは、まずCEOが、紹介取り付けのチャンピオンになることだ。その上で全社員を巻き込もう。社員紹介を奨励する際には、候補者をスキル、社風へのフィット、会社への参画意欲の3点についてアセスメントしてもらおう。また、新入社員が入ったら入社の初日に、紹介を取り付けよう。社員が少ないスタートアップは、社員の友人・家族やベンダー、さらには顧客からも紹介してもらえるよう努力すべきだ

4. スタートアップならではの職場の活気を伝えることができていない。社外の人間に、職務内容を記述した文章で活気を伝えることは不可能だ。印象的なエピソードや、映像を用いよう。既存社員や新入社員に参画理由を尋ね、魅力付けになる要素を洗い出し、それらが理想的な候補者の意思決定の基準に一致しているかどうか確かめよう。

5. 採用ターゲットの完全な理解ができていない。市場調査をしっかりしよう。理想の候補者のプロフィールを作り込んだ上で、何が彼らを惹きつけ、何が彼らの関心を殺ぐのか、どういう経路で次のキャリアに関する情報を得るのか、オファーを承諾するかどうかを決める基準は何なのかを特定しよう。理想のプロフィールは、採用プロセスを通して修正し、洗練させていくこと。

6. 社風にフィットするかどうか、という基準を不適切に用いて評価してしまう。まず、「フィット」が何なのか、明確に定義しよう。そして、ほとんどの人は異なる文化に適応することができるのだから、(今フィットしているか、ではなく)適応能力や学習能力に重きをおいて評価しよう。

7. 応募プロセスが手間のかかるものになっている。Indeedによれば、9割の候補者が応募プロセスの途中で離脱しているという。スマホ対応を徹底し、5分以内に完結するよう応募プロセスを改善しよう。

8. 面接がイケてない。従来のつまらない面接ではなく、実際に取り組む業務に関する対話へとシフトしよう。まず、「ピア・インタビュー」を導入しよう。これは、候補者が実際に入社したら一緒に働くことになるであろう社員による面接のことだ。業務に関連するスキルのアセスメント、という観点でも、惹きつけの観点でも効果的であることが多い。つまらない質問をする代わりに、実際に入社したら取り組んでもらうであろうビジネス上の課題について説明し考えを問おう

9. 間違ったコンピテンシーを評価している。多くのスタートアップが、実際の成功を予期しないスキル、経験、コンピテンシーを追っている。学歴や学業成績、スタートアップでの就業経験の有無、といったものは大抵の場合、用いられるべきでない評価基準だ。学習能力や、不確かな状況への対処能力、アイデアを具体的に遂行していく能力をこそ見るべきだ。また、人事権を持つマネジャーは、非現実的で実際不要なまでに高度な基準を求める傾向にあるため、事前に少し基準を下げるよう交渉することが肝要だ。

10. スタートアップの採用に独自の魅力を理解せず、活用できていない。スタートアップだからといってそれが採用に不利に働くと考えないこと。知名度は低いだろうが、それでも、様々なアドバンテージを持っている。新しいものをつくりあげることに独特のエキサイトメントはあり、それは大きな魅力だ。裁量の大きさ、官僚的でない自由な職場の雰囲気、重要な意思決定に関わることのできるチャンスの多さなど、スタートアップ独自の魅力をしっかりと理解し、売り込もう。


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