早期帰国、僕が受けたコロナの影響。

3月15日。本来であればアルゼンチンのナショナル選手権に出場中の僕は、どこかやり残してしまった気持ちを感じながら帰国の為に空港にバスで向かっていた。

トビタテ留学JAPAN・クラウドファンディングを通して得た奨学金・活動資金があり、スタートした1年間の海外スケート留学。

10月から3ヶ月間、インドネシアでの活動を終えた後、アルゼンチンでは3月24日まで活動を行い、1度日本に一時帰国する予定だった。

空港に向かうバスから時は遡って、2日前の3月13日。いつも通り夜練習を終えて疲れた僕は、家の目の前にある行きつけのお惣菜屋さんに寄った。いつも良く話すおばさんが一言「今さっき大統領が国際便ストップするって言うてたで、あんた多分帰れへんで」

開いた口が塞がらない。目が点になる。漫画のようなリアクションをしていたと思う。5分ぐらい固まった後、なぜか笑いがこみ上げてきた。

アジアでは何ヶ月も前から流行していたコロナウイルスがアルゼンチンでも話題にされ始めたのはここ1週間ぐらいの出来事だった。

街の人やチームメイトがコロナコロナと話題にし始めて、南米にも影響が出てくるのかと考えていた。実際に出場するはずだったアルゼンチンの国内最高峰の大会も延期になっていた。

ただ、自分が乗る飛行機が飛ばず、予定より早く日本に帰国する事になるなんて思ってもいなかった。

そこからはもうドタバタで。ホストマザーにスペイン語で話されてるニュースを英語で教えてもらって。次の日の朝にはトビタテや大学、現地で出会った日本人の方に連絡を取りながらとにかく自分で情報を集めた。

予定より1週間帰国を早める事を決めたのはその日の夜。日本からの素早い対応と判断、現地の人達の助けもあって無事に帰国する手筈が整いました。

3ヶ月過ごしたアルゼンチンの人達と過ごせるのはあと24時間。最後の1週間で、最後の練習で、色んな人に感謝を伝えたり写真を撮ったり顔を見てサヨナラを言うつもりやった。

最後の1週間でやろうと思っていた事も沢山あった。次会った時にはこんな話をしたいなんて事も思っていた。

でも悲しみに浸る間も無く、急遽帰国が決まり、最後の1日はとにかく色んな友達と朝から夜まで一緒に時間を過ごした。

ようやくゆっくり落ち着けたのは空港に向かうバスの中。あーもうこの街にサヨナラを言う時が来たんだ。色んな事をやり残してしまった。でも最後に会いたい人達に会いに行けた。空港に着く頃にはそんな自分の気持ちにも整理が出来て、また必ずアルゼンチンのこの街のみんなに会いに来よう。やり切れなかった事もそう言えるきっかけの1つになったと思えるようになりました。

大阪が地元の僕はその後、数日東京の友達の家に滞在して、今は新幹線で大阪の実家に向かっています。日本に着いた頃、次に向かう予定だった台湾に日本から入国する事が難しくなったとの連絡がありました。

このまま留学が続けられないかもしれない。少し悔しい気持ちと同時に、正直な気持ちを言ってしまうと、どこかホッと安心した気持ちもありました。

1人で暮らす海外で、色んな人に支えて貰ってはいるけれどその場で判断を下すのは自分。この6ヶ月の海外留学中、言葉にはしてこなかったけど、きっと不安な時や寂しい気持ちが自分の中にあったんだとその時気づきました。

せっかく勝ち取った奨学金、そしてご支援を頂いた活動資金。残り6ヶ月。もし僕の想いが叶うのならば、沢山の人の支えがあって自分が掴んだこの挑戦を最後までやり切りたいです。

でも今は少しそれが難しくなってきました。今現在、今後どうしていくかは各所と連絡を取りながら考えているところです。

今回の事を通して、世の中には自分がコントロールできる事と出来ない事があると強く感じました。

計画していた予定が崩れ、今後も色々な事が延期や中止になっていきそうです。そしてこの状況がいつまで続くかも分かりません。

そんな難しい状況の中で帰国した僕は、次は今後の自分の計画を決めていく為に、再び自分で情報を集めて人に頼りながら、自分の中のベストな選択をしていく事になると思います。

4月上旬頃には今後自分かどうするか答えが出ている気がします。今は不安が少しと楽しみが半分、安心した気持ちも大きいです。

あと2時間で地元の大阪に着きそうです。家のご飯を食べてお風呂に入って少し落ち着いて色々考えていきたいと思います。また決定次第、お伝えさせて下さい。

そして最後に今回のコロナウイルス により、留学の中止・中断やお仕事や生活への影響が沢山出ていると思います。日本の政府の対応などに思ってしまう事はあるけれど、自分の行動に責任を持って過ごしていきたいと思います。

知っている友達だけでなく、本当に多くの人が大変な状況にあっていると思います。今は先が見えなくて少し不安になる事もあるけど、気持ちをポジティブに、これを良い機会やと捉えて、今やれるベストを尽くしましょう。

そして少しでも早くみんなが安心して会える日が来ていつも通りの日常が戻ってきますように。