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CCOの仕事: スキルマップの策定・肩書の導入

CCOの仕事の第二弾として「スキルマップの策定・肩書の導入」というテーマで書いてみたいと思います。
LIFULLに入社当時、デザイナーは「制作」と呼ばれていました。つまり、企画が決まってから制作する役割であると定義されていました。
ブランドらしさ(Branding)や革進(Innovation)を目的とせずに、生産性・効率性(Operation)だけを追求するのであれば、そういった役割もありかもしれません。現にマーケティングやビジネス組織の配下に、デザインチームが設置されている場合には、業務管理に最適化された組織運営となっているケースが多いと思います。
先日の「CCOの仕事: 組織づくり」篇でも書きましたが、ストック型のブランドづくりが求められる時代になり、さらには目指すべき経営理念を実現するために、LIFULLでは今までの狭義のデザインから脱却し、広義のデザインを実践できる人材が育つ組織や制度が必要であると考えました。

テクニカルスキルの改定 「Think, Make & Do.」

入社後にテクニカルスキルマップを「Think: 発想力」「Make: 表現力」「Do: 実行力」の3つの力を高めていけるように改定しました。
表面のビジュアルだけではなく、起点となる戦略やコンセプトから考えられること。事業戦略やブランド戦略を理解し、マーケティング視点で論理的にデザインの方向性を検討できること。UI/UXデザインを起点に、グラフィックデザイン・映像・立体・プロモーションなどのあらゆる領域に対して、クラフトマンシップと美意識を持って表現に愛を注げること。スケジュールと生産性を管理しながら、業界内外でも評価されるクオリティを担保できること。そんな3つの力を高めるためていくための階段を登れるような業務にアサインし、業務内育成を通して、スキル習得ができるように整備しています(実際のデザイナーのスキルマップみて見たいという方はぜひご連絡ください)。

もちろん、入社時から完璧である必要はなく、理想の人材に近づくための社内デザインスクール「LIFULL DESIGN SCHOOL」を設立し運営も行っています。
ブランドらしさを理解し、既成概念にとわられず、自らアイデアを発想し、あらゆる領域の表現を行う。そして、QCDの管理を行いながら業務を実行できる人材を育成していきたいと考えています。

デザイナーの肩書制度の導入

肩書については、日本の事業会社ではなかなか導入されている企業が少ないと思います。私たちはプロフェッショナルなデザイナーを業務内育成していくこと、そしてチームでしか生み出せないデザインを実践していくことを目的に、肩書制度を導入しました。

LIFULLデザイナーの肩書:
Designer / Senior Designer / Associate Art Director / Art Director / Senior Art Director / Associate Creative Director / Creative Director / Executive Creative Director / Chief Creative Officer

それぞれの肩書で意思決定できる領域や規模感を決めてチームで仕事をする。具体的には小規模なグロース案件であればSenior Designer監修の元、Designerがデザインを行う。大規模なマーケティングコミュニケーション案件であればCCO、Senior Art Director、Senior Designer、Designerがチームで業務推進をするなどです。

マネジメント / スペシャリストコースの設置

さきほど書いたテクニカルスキルで一定の等級まであがると、マネジメントコース・スペシャリストコースと選択できるようにしています。前者は将来的に統合領域のクリエイティブディレクター / アートディレクターとして活躍したい人材、後者は専門領域のデザイナーとして活躍したい人材のためのコースです。UIUXデザイナーとして、グラフィックデザイナーとして、映像ディレクターなどとしてプロフェッショナルを目指す方は後者を選択します。

事業会社のデザイナーにしかできないこと

LIFULLでデザイナーとして働く一番の醍醐味は、社会や地球環境を含めて、あらゆるステークホルダーへの利他を意識したものづくりができる点だと思います。受託や協業、寄付などではなく、自社の収益事業として社会課題解決にデザイナーとして取り組んでいける環境が整っています。
私も引き続き、資本主義の内側での論理的思考を超えて、その外側にある美意識や言葉にできない感動を表現していきたいと思います。

最後に。母校IAMASのインタビューに答えました。今までのキャリアや最近感じていることを素晴らしい編集でまとめていただいているので、お時間あればぜひご一読ください。


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