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笑うと恥でも役に立つ。

飲みの場では、泥酔するだけでなく、たまに教訓を得ることがある。その確率は劇的に低いが。そんな一幕。

大学時代の友人と飲んでいた。お互い同じだけ年をとり、すっかり僕らは8年来の仲になっていた。テラスハウス的に言うと、男女の友情が成立しているパターンだ。環境が変わると今まで仲の良かった人との交流が減ることもあるが、今のところ僕らにはそれが当てはまっていない。月に1度くらい、どちらからともなく誘いがある。当日計画、当日実施。まるでイケイケなベンチャー企業のスピード感である。きっとお互いこれが気持ちいいのだ。飲みたい!と思った時が飲む時である。

そんなこんなで、
ラブストーリーは突然こないが、飲みの誘いは突然きてしまう(さびしい)。

座右の銘にでもしようか。

18の頃は毎日チャオパニックの紙袋をバッグ代わりにしていた彼女もすっかり大人の女性になった。東京の街に住み、なんだかまるっきり訳のわからないデニムパンツ(別素材で切返しになっている)を履きこなしていた。

聞くと、しーばいくろえ、、というブランドのものらしい。さっきこっそりZOZOTOWNで調べてみたが、、、5万円、ちーん。

月に一度、酒を酌み交わし、前回までの僕らの人生のおさらいと、前回以降の互いの人生の進捗を報告しあう。
たかだか1か月だが、いつも新しい話題は尽きない。
彼女は玉突き事故に遭い、僕は生命保険に加入していた。

バイスサワーを飲みほして、次は何にしようか悩んでいた。
L字カウンターの斜め向かいで2人組のお兄さんたちが酎ハイを飲んでいるのが見えた。透明でシンプルでおいしそう。

僕:酎ハイにしようかな。

彼女:酎ハイ?レモン絞ってもらったら?

僕:おぉ、そっか、すいませーん(何も考えていない)。

店員:はい。

僕:酎ハイにレモン搾ってもらうことってできますか?


店員:ん?


僕:ん?


店員:え?


僕:え?








店員:酎ハイにレモン搾ったら、レモンサワーです。

最終バースに強烈なパンチラインを食らってしまった。
あまりに鋭い正論で斬られたので、斬られたことに一瞬気づかなかったが、よくよく考えてみればその通りすぎて死ぬほど恥ずかしい。どちらかというとアルコホリック寄りの僕らがこんなケアレスミスを犯してしまった。ホッピー瓶の穴があったら、入りたいくらいだった(外は白派)。

きっとまわりで聞いてた他のお客さんも僕らのことを大いにバカにしていただろう。
もしかしたら、「あいつ、酎ハイ頼もうとして、イキってレモン搾ってとか言ってたけど、それレモンサワーだから。笑 大草原不可避。」とかツイートされていたかもしれない。

恥ずかしくて、恥ずかしくて、ふたりで笑うしかなかった。だが、しょうがなく笑いあった1分間、そこは僕と彼女だけの世界になった、まわりの人の顔が消え、背景が消え、異世界突入。
ひどく恥をかいたが、笑い終わった後には幸福感があった。
恥をかいたら、少し長めに笑うといい。無知をさらけ出して、おおいに笑おうじゃないか。

#酒 #飲み #日記 #エッセイ #レモンサワー #酎ハイ

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