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【解説】Appleの新しいAdAttributionKitについて!SKAdNetworkと何が違うの?

概要


こんにちは!キンジョーです!
久しぶりにnoteを書きます。

今回は、AppleがWWDC24で発表した、広告アトリビューションの新しいフレームワークであるAdAttributionKitについてです。
しれっと発表してましたね。

Meet AdAttributionKit

これは、既存のSKAdNetwork(SKAN)を基にしたものであり、広告主がプライバシーを保護しつつ広告の成果計測を行う新しいフレームワークです。

この記事では、AdAttributionKitの主な特徴、SKAdNetworkとの違い、そして導入のメリットについて解説したいと思います。

AdAttributionKitの主な特徴

まずWWDCで発表のあったAdAttributionKitの主な特徴から

1.拡張されたマーケットプレイス対応
AdAttributionKitは、AppleのApp Storeだけでなく、サードパーティのアプリマーケットプレイスにも対応しています。これにより、広告主はより広範なユーザーベースにリーチできるようになります。

先日日本でもスマホソフトウェア競争促進法が参院本会議で可決・成立しましたが、
EUのデジタル市場法をはじめ、巨大IT企業の独占を禁止する文脈ででのApp Store,Google Play以外のマーケットプレイスでアプリ事業者が事業を展開する流れは止められないものだと思っています。
Appleはそこに対応するためにAdAttributionKitで対応でするという事でしょう。


2.リエンゲージメントのサポート

AdAttributionKitは、ユーザーが既にインストールしているアプリに再度関与させるリエンゲージメント機能を提供します。広告がリエンゲージメントのために設定されている場合、ユニバーサルリンクを使用して特定のアプリ内の場所にユーザーを誘導することが可能です。

Meet AdAttributionKit

リエンゲージメントについては、これまでのSKANの大きな課題だったと言っても良いかと思います。これまでのSKANで計測したユーザーに関しては、そのユーザーがアプリをすでにダウンロードしていたユーザーか判別できませんでした。これが、SKANを使ってアプリキャンペーンを成功されるのをかなり難しくしており、SAKN5でアップデートがあると期待されていたところでしたが、そのアップデートはAdAttributionKitに譲られる事になっています。

3.カスタムクリエイティブのサポート
広告クリエイティブのカスタマイズが可能で、カスタムクリック広告、ビュー・スルー広告、バナー広告など、複数のクリエイティブタイプをサポートします。

4.テストの容易さ:
新しい「開発者モード」機能により、時間のランダム化を除去し、コンバージョンウィンドウを短縮することで、テストがより容易になっています。これにより、コンバージョン値の更新のテストが簡単に行えるようになります。

Meet AdAttributionKit

5.プライバシー保護
 AdAttributionKitは、クラウド匿名性や暗号化されたポストバックなど、強力なプライバシー保護機能を維持しています。

プライバシー保護についてクラウド匿名性(Tier0~Tier3)等のフィールドが用意されていたりと、基本的にSKANの機能を踏襲していますが、上記の開発者モードでより早くポストバックを受け取れるようになった点が若干変更されています。

以前SKAN4.0に関するnoteを書いたので、もしお時間あればぜひ!

ここまでWWDCで発表のあった主な機能についてまとめてきましたが、改めてSKAdNetworkとの違いについて改めてまとめます。

SKAdNetworkとの違い

  • 対応範囲 

    • SKAdNetworkはApp Storeのみに対応しているのに対し、AdAttributionKitはサードパーティのアプリマーケットプレイスにも対応しています。これにより、より広範なマーケットプレイスでの使用が可能になります。

  • 新機能の追加 

    • AdAttributionKitは、リエンゲージメントやカスタムクリエイティブのサポートなど、SKAdNetworkにはない新機能を提供しています。特にリエンゲージメント機能は、ユーザーの再関与を促進する重要なツールです。

  • テストの容易さ

    • 「開発者モード」により、SKAdNetworkよりもテストが容易になっています。これにより、広告主は効率的に広告キャンペーンを最適化できます。

AdAttributionKitは基本的にSKAdNetworkの仕様を引き継ぎ、ユーザーのプライバシーを保護しながら計測をするフレームワークです。
(実際に機能実装する上ではSKAdNetworkからAdAttributionKitへ移行する、というようなものになるはずです。)

ただ、SKAdNetworkで広告キャンペーンを運用するうえで課題になっていた、リエンゲージメントなどの課題を解決する方向に向かい、サードパーティプラットフォームでの計測に対応するなど今後の市場動向も意識した変更がなされています。

日本のアドネットワーク事業者が対応すべきポイント

  1. AdAttributionKitの情報収集:AdAttributionKitの新機能とその実装方法についての理解を深めるため、開発者やマーケティングチームで今後の発表に注視し情報を集める事が重要だと思います。

  2. プライバシー保護の強化: AdAttributionKitが提供するプライバシー保護機能を最大限に活用し、ユーザーのデータ保護を確実にするための内部ポリシーを見直し、強化する必要が出てくるでしょう。

  3. リエンゲージメント戦略の最適化: リエンゲージメント機能を活用した広告キャンペーンの設計と実施に注力し、ユーザーの再関与を促進する戦略を構築する必要があります。

  4. クリエイティブの多様化: カスタムクリエイティブのサポートを活かし、多様な広告形式を取り入れたキャンペーンを展開しより広告効果を高めるためのプロダクト設計を今のうちから考えておく必要があると思います。

  5. テストと最適化のプロセス確立: 「開発者モード」を活用して、広告キャンペーンのテストと最適化のプロセスを確立し、迅速に効果を測定し改善できる体制を整えます。

  6. サードパーティマーケットプレイスの活用: AdAttributionKitのサポート範囲を活かし、App Store以外のサードパーティマーケットプレイスにも広告展開を拡大することで、新たな市場機会を探索します。ただ、サードパーティマーケットプレイスでの計測が一般化するのはもう少し先になるはずです。

さいごに

AdAttributionKitは、SKANに変わる新しい標準になり得るかと思います。
Appleもそれを意図しているはずです。

個人的にはこれからSKANかAdAttributionKitのどちらかに対応するのであれば、Ad AttributionKitに対応するべきかなと思っています。
理由は、Appleが長期的にサポートする可能性が高いと思っているからです。
SKAN5.0で対応予定だった様々なアップデートをAdAttribution Kitで実現しようとしているように見え、SKAN5.0の文言がAppleの公式のドキュメントから消されている事からもこちらにシフトしていくという意思を感じます。

ただ、AdAttributionKitについて実装方法などの情報や機能の違いについての情報は発表されていますが、各社対応についてまだこれからという段階かと思いますので、SKANで計測しつつ、AdAttributionKitに備える事が必要かと思っています。
SKAN4.0からAdAttributionKitへの移行はスムーズに行える可能性が高いためSKANで計測を行いながらAdAttributionKitへの実装に備えるというのがベストだと思います。

今回はAdAttributionKitについて解説をしました。
まだ情報が出揃っていない状況ではありますが、ぜひ業界関係者の皆様意見交換させていただけますと幸いです。

この記事に関するツッコミなどお待ちしておりますので、気になる事がある方ぜひご連絡ください!

参考

AdAttributionKit: Unpacking Apple's new ad attribution framework | Mobile
Apple Is Quietly Replacing SKAdNetwork And PCM With A New Ad Attribution Framework | AdExchanger
Ad Attribution - App Store - Apple Developer
Hello AdAttributionKit: SKAN vs AAK


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