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絵は必要なくなるのか

こんにちはアート王子です。
今日は「人間の描く絵は今後、必要なくなるのか?」というテーマについてお話ししたいと思います。

日進月歩のAI

人工知能 AI:Artificial Intelligence)はまさに文字通り日進月歩の進化を遂げていて、体感で言うと毎週新しい機能が発表されているスピードで更新されていっています。

先日投稿した「木下佳通代展」でも書きましたが、芸術家はもう"描き尽くした感がある"と

木下さんが活躍されていた30年前はインターネットはまだ民主化されていなかった(少なくともスマホは無かった)ので、そこから全世界と繋がって、もしかしたら芸術家が描くことが増えたかもしれませんが(逆に海外の芸術家とも近くなり、参加人数が増えて、描くことが無くなったかもしれないし、刺激を受けて、切磋琢磨することによって、増えたかもしれないが、実際のところは分からない)
少なくともここ数年では「絵を描く」ということに関してはAIがクオリティの高いものを"創れる"ようになった。数秒で。

芸術家は代替可能?

じゃあ、道から馬車が消えたように
ガス灯から電灯に変わったように
エレベーターガールが自動音声に変わったように
街から公衆電話が消えたように(2022年5月24日にニューヨークの最後の公衆電話が撤去)
芸術家はAIに取って代わられて、不要になるのか?

結論、芸術家は生き残る

これは最近読んだ本の「人類を変えた7つの発明史 Rootport著」にも書かれていて

〜アーティストの仕事は失われないどころか、むしろ表現の幅が広がり、より豊かになる可能性を秘めていると私は考えています。

〜歴史を振り返れば、娯楽や芸術は技術革新に対して高い耐性を持っていることが分かります。
〜写真が発明されたからといって、絵描きは絶滅しませんでした。むしろ印象派やキュビズムなどの、写実主義から離れた表現が探求されるようになりました。

その後も
レコードやラジオ→生演奏でのお捻りもらう文化を脅かす→ジャズバーやディナーショーは生きている。
映画→演劇は廃れていない
テレビ→映画は生き残った
など例を挙げておられます。

AIが描く絵に感動は生めるか?

ここからは僕の主張ですが
AIという"新しい筆"を使って絵が描かれていく事は今後増えると思いますが、じゃあ紙に絵を描く行為が消えるかと言うと、消えないと思います。

①文化的に消えない
まず、紙に絵を描くと言う行為は、人間が生まれて割と早い段階でやる遊びだと思うんです。
皆さんも子供の頃の記憶が無くても、なんとなくクレヨンで絵を描いていたと思います。その、子供が初めて描く絵が、AIを使って描くようになるとは思えません。
持ちにくいクレヨンを使って感情の赴くままに書いた歪な丸は、周りの大人に褒められて嬉しかったと思います。

それこそ、人類は何千年前から壁に絵を描いてきました。
物理的に何かに描くという行為(もしくは欲求)はそう簡単に消えないと思います。

②AIで描いた絵に熱は乗るのか?
ONE PIECEの尾田栄一郎先生が今まで描いた絵を全部取り込んだAIが開発されて、新しい絵を完成させました!見に来てください!って言われて入場料を払って見に行きますか?
(興味本位で画像で見る事はあるかもしれませんが)
やっぱり、尾田栄一郎さんの生原稿を見れることにお金を払いたいと思いませんか?

それでいうと、デジタルで描く漫画家が増えてきていると思いますが、絵のクオリティ重視で描くことはAIの得意領域なので、危険かもしれません。
僕は原画展で見れる、先生が書く汚い字のセリフや枠外のメモ、修正跡とかが好きだったりします。

むしろ絵は上手く無くてもストーリーが面白い漫画はいっぱいあるし、その先生の話の組み立て方、キャラの作り方、感情を揺さぶられるセリフに人間は惹きつけられると思うのです。
それがAIに出来るのでしょうか?

③人と人との間に絵(もしくはアート)があるだけ
個人的な話で恐縮ですが先日、Instagramで推している猫の絵をプレゼントしました。

これって、僕の描いた絵が良かったのではなくて、僕が「いいな」と思った猫がいて、その飼い主さんとコメントなどでコミュニケーションを自然に取っていて、その飼い主さんが僕が(勝手に)描いた絵を「いいな」と思ってもらったから、欲しいと仰ってもらった。
絵が高尚なツールなのではなく、やりとりの中にたまたま絵があっただけで、手紙でも動画でも良かったのかもしれない。

僕たち(ていうか僕)がバンクシーを好きなのは、バンクシーが描く絵に「社会問題に一石を投じる」というストーリーがあるからです。
人間が生むストーリーに共感や情熱が生まれるのであって、「ハイクオリティです。どうでっしゃろ!」というAIが作った絵は、見慣れてしまった時にどうなるんだろうか…と思います。

一石や手榴弾ではなく花を投じる

まとめ

結論、芸術家は生き残ります!
でも、クオリティ勝負には意味がなくて(むしろAIや3Dプリンター、VRに負ける)
そこに人と人とのコミュニケーションや熱が無いと、生き残れないと思います。
あとはお客さんに参加してもらう余白を作る(アナ雪で「レットイットゴー」を観客に歌わせるディズニー)が必要だと思います。

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