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#193 「受託開発」から「プロダクト開発」へ移行するための評価設計

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。

昨日の記事で、私の職場での現場で起きているリアルを交えて受託開発からプロダクト開発へ移行する難しさについて述べました。

「作る受託開発」と「使うプロダクト開発」は別ものであり、組織の考え方や行動を変えるためには評価指標を変える必要があります。

今日は、なぜ評価批評を変える必要があるのかについて掘り下げます。


〇人はこれまでのやり方を続けてしまうもの

「受託開発からプロダクト開発に移行するので、プロダクト開発をやりましょう。」と社長が社員に向かって声かけをすることにあまり意味はありません。

カウンター主体の戦術で戦っていたサッカーチームでに新しい監督がやってきて「明日からボールを保持するポジショナルサッカーをやる!」と宣言したところで、チームは混乱するだけなのと一緒です。

選手からするとこれまで得意としてきたプレーで成果を出していたのに、プレースタイルを変えろと言われても素直に従えないはずです。

同様に受託開発のやり方で評価を得ていた人がプロダクト開発だと言われても、これまでのやり方を変えることは困難です。

さらに、プロダクト開発が一体どのようなモノかもわからなければプロダクト開発を実践できるはずがありません。
実際弊社ではプロダクト開発を実践するための方法論が説明されるわけでもなく、多くの社員が「プロダクト開発ってなんだ?」という困惑しています。

また、プロダクト開発でどのような評価を得られるのかがわからなければ、手探りでプロダクト開発を実践しようと思えず、これまで通りの受託開発のやり方で売上を上げようとしても仕方がありません。

プロダクト開発のやり方の理解
プロダクト開発の実践によって適切に評価される安心感

この二つがなければプロダクト開発を実践するという目的に合わせて、社員の行動に変化を起こすことは困難です。

〇阪神タイガースの優勝からみる目的に直結した仕組作りの効果

逆に目的に直結した仕組み作りによって大きな成果を出した例としては、2023年に18年振りに阪神タイガースを日本一に導いた岡田監督の戦略が挙げられます。

岡田監督は優勝という目的を果たすために、出塁率の多さが鍵になると考え

狙い球以外は初球から打ちにいかず、球数を投げさせる
根拠のある見逃し三振は許す

という方針を選手と共通認識を持ったうえで試合に臨んでいます。
さらに、オフシーズン時点で岡田監督が自ら球団に掛け合い、四球に対する査定を安打と同等にするといった取り決めを作りました。

このように試合に勝つための方針を明確に提示しその方針に沿った行動を評価することを約束することで、選手の行動を変容を起こし優勝という目的を果たすことが出来ました。

〇プロダクト開発の実践には評価制度の変更が必要

プロ野球選手にとって四球を狙うというのは、普段のプレーの優先順位を変える程度でそこまで難易度は高くないと予想できます。
さらにプロ野球選手は試合だけでなく、練習の中で四球を優先する行動を落とし込むことができます。

一方で、受託開発をやっていた社員にプロダクト開発の実践を求めることは容易ではなく、多くの会社員は実践のみで練習をしません。
その状況で、プロダクト開発を実践していくことは非常に難しいです。

顧客の要望を機能の開発で実現する受託開発から、顧客の要望をプロダクトの活用と顧客業務の改善によって解決する方法を提案するのであれば、慣れないうちは手探りで対応するため同じ課題を解決するためにかかるコストが増加します。
その増加するコスト分をどこかで削減してバランスを取らなければ、社員の負担が増加します。

あえて困難に立ち向かうよりも今までのやり方で成果を上げる方が楽です。今までのやり方で評価を得られるのであれば楽な方に流れるのは当たり前であり、それで社員を責めても仕方ありません。

そのため、評価指標を変える必要があるのです。
業務の効率化や、チャレンジを促すアクションもセットです。


狙いのある見逃し三振は評価するように、プロダクト開発にチャレンジしての失敗であればそのチャレンジを評価すると宣言し、その失敗を全社員の前で「ナイスチャレンジ」と称賛する。
そこまでしてやっとチャレンジへのインセンティブが生まれます。


弊社はまだ評価指標は変わっていないのですが、私はプロダクトマネージャーとして自分が運営するプロダクトにおいてはプロダクト開発を実践すべくチャレンジを続けています。これが現状の自分のチャレンジです。

爆死するかもしれませんが、生還できるように頑張っていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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