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#131 【書評】事業をエンジニアリングする技術者たち①

こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
今日は最近チームメンバーと一緒に読んでいるこの本を紹介します。

エンジニア向けの技術書ではありますが、エンジニアと一緒に仕事をしているビジネスサイドの方や事業会社で働く方にとっても、非常に学びがあり楽しく読める本かと思います。

私にとって読み応えのあった何章かを紹介していきます。今回は2010年に開発が始まった広告配信システムの舞台裏について語られている第一章を紹介します。

〇私が本書を手に取ったモチベーション

まず最初にこの本を読もうとした理由について触れさせていただきます。

私の会社は受託のシステム開発を行っており、フルサイクルエンジニアが顧客の要件をヒアリングしオーダーメイドで開発することを得意としています。

フルサイクルエンジニアとは
ソフトウェア開発の全工程に関与するエンジニアを指します。これには、設計、開発、テスト、デプロイ、運用、保守といったすべてのフェーズが含まれます。

フルサイクルエンジニアについてはこちらの記事がイメージが非常によく伝わります。

近年、受託からSaaS型のシステム開発へと移行を進めていますが、受託とサービス提供の違いによる難しさを感じています。

そんな中で、フルサイクルエンジニアが事業を作っていく様を紹介している本書を知り、1つの顧客に対して少数のチームを構えて受託開発をしていた私たちが、作ったシステムをサービス提供するというこれまでとは全く違う新しい事業をどのようにドライブしていくかの手助けになることを期待しました。

〇第1章 fluct 広告配信の舞台裏の技術者たち

いわゆるアドテクの新規事業を立ち上げる話です。フルサイクルエンジニア達によるシステムの構築と現在までの軌跡をたどります。

私の印象に残った部分をピックアップしていきます。

ドメイン知識のある人を最初に迎え入れる覚悟

fluctチームでは、立ち上げ期にヤフーでアドネットワークを立ち上げた大竹さんがJOINされています。
この事業を成功させるためのキーマンを迎え入れることに成功しているのがまず大きい。

管理画面は営業担当が使う

元々は顧客に使ってもらう想定だったが、顧客ごとに管理画面から出力したいデータが違うなどの理由で業務が管理画面で完結しないため、営業担当が管理画面を操作し顧客毎のレポートを作成していた。

業務用のシステムの管理画面は業務のドメイン知識が必要であり、複雑な設定を必要とするため、顧客に使いこなしてもらうのは非常に難しいです。

弊社も顧客に開放した後で大量の問い合わせに追われてしまったので、社員が使って使い勝手を改善してから顧客に開放する方が、より良いものを少ないコスト提供出来たように思います。
(顧客に開放して大量に使ってもらうことで短期間での改善には繋がったのでどちらが良いかはトレードオフでありますが。)

評価方法と求める動きに一貫性がある

CARTA HOLDINGS のエンジニアを評価する観点の3つのうちの1つに『技術評定会での評価』があります。
この技術評定会では成果物を通した考え方が評価されます。その際の評価軸は実現力(課題に対する考察力および成果物とプロジェクト進行の妥当性)と改善力(システムとビジネスの両面に対するもの)です。

この評価軸はフルサイクルエンジニアの仕事はコードを書くことだけでなく、ビジネスであるという考え方をと一致していることが素晴らしい。

とりあえず使ってみる文化を醸成するポイント

とりあえずやってみるという文化は弊社にもあるように思いますが、一部の人に限られます。

というのも、ゆとりがないもしくは、使って運用をいい感じにして周りが真似するような状態まで持っていく腕力が足りていないなと感じます。

SRE(Service Reliability Engineering)

通常はSite Reliability Engineering ですが、サービスを安定させることをベースにしつつ、開発を加速させたいという考えで、あえて『Service』としているのがとても共感できました。

弊社でも真似したいと思いました。

技術的負債の返済に必要な腕力

技術的負債を返済できる企業とできない企業があるのは、この腕力の有無による。
とありますが、まさにその通りだと思います。

返済できそうな負債に気づいてもやれる状況を作ることや、やれる人を集めることをしないといけません。

こちらもゆとりが必要ではありますね。

〇本書での学び

第一章ではfluctというアドテク事業の立ち上げからその後の改善をどのような考えで進めてきたのかを知りました。

事業の意思決定を行うトップレベルの意思決定や評価基準なども事業開発に適したものになっていくと良いなと言う気持ちになりました。
ないものねだりをしても仕方がないので、他社の事例として共有し、少なくとも自分のチームでは変化を起こしていきたいです。

また、評価などの仕組みや文化作りも大切ですが、要所要所では圧倒的な腕力が必要であるという現実を再認識しました。

結局どこかで自分がエイヤっとやれる腕力を身につけていかなければと!!

ということで、『事業をエンジニアリングする技術者たち』の第一歩の紹介でした。
他の章についても紹介しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。





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