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こころの痛みについて



できればなくなって欲しいこと


理不尽について考えていました。
理不尽について調べたら
「筋の通らない人の行い」
とありました。
 
ちなみに、
「不条理」は
似たような言葉だけれども、
人の行いというより、
社会や世界と対した事象の時に
用いられると書いてありました。
 
「人の行い」なら
理不尽はなくならないなあと
妙に納得してしまいました。
 
けれど、
理不尽な○○と続く○○は、
たいていこころを傷つけるから、
やはりなくなって欲しいと願うのです。
 
 


こころの痛みはどうか


 
こころの痛みもできれば
なくなって欲しいです。
 
こころや生活自体を
破綻させるような
強く持続する痛み(心的外傷)は
なくなって欲しいです。
適切な手立てを加えて
軽減を図れたらと思います。
 


日常的に続くこころの痛み


 
こころの痛みが日常的に
続いてしまうことがあります。
時々少し良くなったりもするから、
まあいいかと自分を慰めて
過ごすこともあるでしょう。
 
悪い状態に戻りたくないし、
考えるのも苦痛だと
遠ざけたくもなります。
 
そのうち、このこころの痛みは
どうにもならないものだと
固まってしまうこともあるのでしょう。
 

良美さんの痛み-痛みをわかってもらうこと-

*良美さんは架空の人物です。


良美さんは
ずっと腹部の痛みを抱えていました。
一度受診したけれど
痛み止めを処方されて
そのままになっていました。
 
友だちや家族にも
痛みについて伝えました。
最初は心配してくれましたが、
ずっと続くのでいつものことだと
流されてしまうようになりました。
友だちや家族が不愉快そうにするので
話題に出すのも嫌になってきました。
 
良美さんは痛みを一人で
抱えるようになりました。
 
あまりに当たり前に
痛みが日常的に存在するので、
良美さん自身の中で
痛みを何とかしようと思う
気持ちすら薄れていきました。
そして
何もできることはないと諦めて
日々を過ごすようになりました。
 
「痛いと言えば痛いけれど、
 いつものことだから」
「どうせ何をしても
 痛みは続くんだろうし」
 
身体の痛みは
良美さんの心や人間関係にも
大きく影響を及ぼすようになりました。
痛みをまぎらわすために、
昼も夜も歯を食いしばり、
強いお酒を飲み、
人との交流を避けるようになりました。
 
周りの人から
「クールだね」
「厳しい人だね」
と言われるのを聞くと、
ますます人と関わるのが
嫌になるのでした。
 
良美さんは、
私のことや私の痛みを
わかってくれる人は
どこにもいないと
強く感じるようになりました。
 
そんなある日。
定期健診から
腹部の病巣が見つかり、
早急に治療をした方がいい
と勧められました。
そして、
急遽入院し手術を受けました。

手術直後に医師から家族に向けて
病巣の実態や手術の成功、
回復の見通し等の説明がありました。
それだけでなく、
「(この状況だと)
 今までものすごく痛かったと思います」
と家族に向けて伝えてくれました。

良美さんは、少し回復してから
そのことを家族から聞きました。
「(この状況だと)
 今までものすごく痛かったと思います」
この医師の言葉を聞いて、
良美さんに
とても嬉しい気持ちが湧いたのでした。

「そう、あの痛みはものすごく痛かった」
「繰り返し繰り返しものすごく痛かった」
 
良美さんは
ただただ一人で痛みと格闘していました。
あまりに孤独で不毛な闘いに思えて、
何も感じないように
考えないようにするのがよいと
思うようにしていました。
 
でもほんとうはずっと、
ものすごく痛かったのです。
「痛い」と感じた私が
弱くてダメなわけではなく、
「ものすごく痛い」と感じる感覚は
間違ってなかったのだ
と認めてもらえたような、
不思議な満足感がありました。



こころの痛みを分かち合うこと


こころの痛みはなくなって欲しいです。
いや、どうでしょうか。
こころの痛みを
全く感じなくなることは
望んでいません。

 痛みだけでなく全ての感覚が
失われてしまうような形で
痛みがなくなるのは避けたいのです。

その痛みが
どれほどの痛みなのか、
どんな苦しさがあるのか、
分かってくれる人がいたら。

 そして
痛みと格闘している
私のことを理解してくれる人がいる
という安らぎや
痛みから解放される喜びを
感じることができたなら。
 
凍りついていた自分の中の
豊かな感覚が
ゆっくりと動き出すのを
感じられる日が
来るのではないでしょうか。


自分の感覚を認めることや
分かち合うことについて、
身体の痛みの体験も含めて
想像して書いてみました。
 
読んでくださってありがとうございました。
 
 

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