夜風

頭上の窓が鳴る。風のせいである。

ベッドは窓の影をのせるようなかたちで置いてあり、いつも頭が窓へと向いていた。そのおかげで窓の外の様子はよく窺える。

いつもは海辺の灯台よりもまっすぐと空へ伸びている杉が、いまは大きく揺れている。月の浮き上がらせた雲は海上を滑るボートのように空を流れていく。

風は何一つとして差別をしない。見境がないといってもいい。とにかく、この部屋の中以外のありとあらゆる場所に風が吹いているようだった。