東雲

東雲です。表現を続けています。

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短編小説 ヨダ 第4話

「変な人」 というフレーズがチクチクと癪に障る。何故ならば自分の常識を持ち、普通の人間として生きているからだ。 「…だとしてもさ〜友達なのに下の名前知らないとかある?」 ある。 下の名前が分からないのだ。元から知らないのか、忘れてしまったのか、記憶の引き出しは錆び付いて開かない。 「認知症じゃない?」 その言葉が私の怒りのスイッチを押してしまいヨダを突き飛ばした。 それと同時に後悔する事を悟った。しかし舵が効かなくなった私を止める事は出来なかった。 「痛っ! 何!?

    • 短編小説 ヨダ 第3話

      「昔はいた、? 友達?」 「そう、交通事故で死ぬ迄はこんな俺にも友達がいたんだ。」 「そうなんだ、、。なんかごめんね、嫌な事聞いちゃって、そんなつもりは無いんだ。」 ヨダは心苦しさが顔に現れていた、しかし私はそこまで気にする事でも無かった。 「…もういいか、?」 気まずい沈黙の空気が肩にのしかかっていたので言葉で取り払いたかったが、私の稚拙なコミュニュケーションでは厳しいものがあった。 「あの、俺はそれよりもさっきヨダが背中を叩いた事の方が嫌だったけどな!」 「小さ

      • 短編小説 ヨダ 第2話

        こいつよりマシか 卑屈の沼から幸せの形をした何かを掴み取る。それでも、私はそれが幸せでは無いことは知っていた。 だが、理不尽な死を遂げたこの人間よりは、、。 幸不幸は相対評価だと私の脳に刻まれていたのである。 唯一の友を失い、社会から孤立した私でも存在して良いと言ってくれた気がしたのだ。 二度と見ないと反射で消したはずなのだが、心のモニターではブラウザバックが出来なかった。 落ち着こう。 時の流れに身を委ねて、今日という一日を使い捨てよう。 太陽が重く暗い空を押し上

        • 短編小説 ヨダ 第1話

          無常の空にビルの屋上 2つの命がそこに立つ。風が前髪をなでる。 寂寥としたこの景色が続く。…続く。 我々はゲシュタルト崩壊の入り口の前にいる、刹那 突き落とされる1つの命 そして弾ける。 非常に悪辣な手で「死」が発生したのである。 「げぇ!!こんなもの見れたもんじゃないよ!! よく見れるわね!!閉じて!早く!」 彼女は何かを守る様にスマホを僕の手から奪い取った。 「最近どんな動画見てるの?って聞いた私がバカだった!あんたほんとに血が通ってる人間?」 「いやいや待て待て、ま

        短編小説 ヨダ 第4話

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          ファミレス放浪記vol.4 学とは

          白い日々に追い抜かれ 黒い日々に私は横たわる フラストレーションに足を取られながらも目は生きていた。 活字の森を掻き分け、白紙に文明を築きあげる。 只管に 「お疲れ様です!!」 エナジーが耳から私の体を通り抜けた 店員が明るくバックヤードに消える。 私が仮に働きがいを見つけても彼女のようにはなれないであろう。 窓の外では闇が今日を飲み込まんとしていた、一日のノルマも終え脳が体に帰る指示を出している。学習したことを反芻しながらコートの袖に腕を通す。 「いつもいますよね

          ファミレス放浪記vol.4 学とは

          HSP 反芻思考の先に ② ~完~

          反芻思考の先に何があるのか、一体何が私達の幸福や気分を司っているのか。 反芻思考(リフレイン)はネガティブなものもあればポジティブなものも存在する。しかし何故私達は深く苦しみ、幸福から遠ざかってしまうのか、 自分では幸せになりたいはずなのに、いつもいつも遠ざかってしまう。体も心も自分自身なのに幸せなりたい気持ちから背く心は自分では無いみたいだ、自分の心は自分の敵なのか。そしてそんな自分が嫌いだ、消えてしまいたい。 なんて自己嫌悪に陥る。 HSPに該当しない「普通」の人か

          HSP 反芻思考の先に ② ~完~

          HSP 反芻思考の先に

          ハイリーセンシティブパーソン (HSP)とは環境感受性、感覚処理感受性が極めて高い人を指すことばである。 環境感受性 : ポジティブおよびネガティブな環境刺激に対する処理や登録の個人差を表す特性的概念 引用 Wikipedia このHSPという言葉も最近はよく認知される様になった、今まで感覚的に捉えられていた「根暗」や「陰キャ」も大半はこれに該当すると考える。 細分化されていく社会で私達が捉えていた漠然とした謎が解明されてゆく しかしHSPは解明出来ても改善は難しい 何故な

          HSP 反芻思考の先に

          VAGUE 編集後記

          この度はVAGUEを視聴して頂き誠にありがとうございます。 URL : https://youtu.be/2kp4aoycaA0 Koharaの駄作はwho?に始まりabsolute、SIMPLE LIFE、と続き 今作は4作目に相当します。 今回はデジタルデザイン"風"なCVを目指しました。 結果、トランジションの暴力に成り果てました。 CVにメッセージ性を持たせるのは好きですが、呆気なく解釈されてしまうのは好みではなく、漠然とゆらゆらと実体が掴めそうで掴めないくらいが

          VAGUE 編集後記

          「ファミレス放浪記」vol.3 トーゴー君何処へゆく

          「あっ、やべっ、」 今日も頼りない音が口から漏れる そそくさとバックヤードに帰る速さだけはだれよりも早い。 彼の本当の名は知らないが、私はいつしか彼をトーゴーと呼ぶようになった。(理由は割愛) トーゴーは常に朧気としている。割れたビールジョッキを渡しても、レシートを落としても、「ごゆっくりどうぞ」が言えなくても。 彼は考えているのか?考えていないのか? 彼の存在は他人を動かす。相対評価の世で彼を見て自信を覚える者がいる。 その点で考えると客の心を動かす接客をしているのであ

          「ファミレス放浪記」vol.3 トーゴー君何処へゆく

          きらめき

          反射した光が壁を照らす 幾何学模様の光の影 クロゴキブリが壁を這う 美と醜のコントラスト 悍ましい臭い それは以前そこに"生"があった事を我々に訴える 宙に浮いた死体の下にガラスに似た断片が散らばっている。 輝く しかしその断片は全てが輝いている訳では無い。 人生は複数の刺激的な断片で構成される。 そして崩れ去った断片が目の前にある。 貴方の行動が誰かの断片になる。 貴方の行動が誰かの断片を壊す。 空は無常 部屋に風が通り抜けた。

          きらめき

          無題

          We must develop and maintain the capacity to forgive. He who is devoid of the power to forgive is devoid of the power to love. There is some good in the worst of us and some evil in the best of us. When we discover this, we are less prone t

          ADHDという道標

          脳「いつからだろうか漠然とした不安を感じるのは、 ないものねだりとは違う "もの"では無いのだ。 世紀末が訪れてもそれは揺らがない。我々は満たされないまま動く 何故 ? その原動力はなんだ そう。 全てはADHD 奴が知っている。 今は砂漠の真ん中。オアシスを通り抜ける。 昨日は深海。シーラカンスが語りかける。 支離滅裂な世界が訪れても、我々は動く 全てはADHD そう。ADHDという道標」

          ADHDという道標

          しあわせバター バター抜き

          生き物が持つ睡眠というシステムによって私達は夢を体験する。 夢は雑多だ。 それはとても興味深い 然し今は夢の話ではない。 夢から覚めた後の変化の話である。 詮ずる所夢と現実の狭間で私に一体どの様な変化が現れたのかである。 今回は"幸福度"という観点で話を展開していこうと思う。 皆は幸福度若しくは幸不幸について考えた事があるだろうか? (本当に幸せな人はそんな事考えない) ここで自論を召喚する。 幸福度若しくは幸不幸は相対評価である。 幸福度の判断基準には客観的で絶対的な事実

          しあわせバター バター抜き

          2020 総括

          時間というものは残酷である。 新しい年はやってくるが今までの生活が変わることは無い 然し乍らこんな所でニヒリズムに陥っていても仕方が無いので、雑駁に纏める。 ・リアル 只管に勉強をしていた。 病院の就職試験は2度落ちた。←人間不信になりかける 人間性は消えていた。奇跡的に人間の形をした肉が机に向かっているだけ ・ペン回し 今年前半にabsoluteとSIMPLE LIFEを制作する。 absoluteに関しては割と自信作ではあったがスピカさんのスペルミスに気付かず公開し

          2020 総括

          金魚の脳みそ

          その小さな脳みそで一体何を感じ、何を考え生きているのか。 何度でも今日がやってくる。 人間の声が聞こえる、然し一向に理解する事は出来ない。 そして誰もいなくなり、そしてまた人間が戻る。(金魚には聴覚が存在する 尾鰭からエラまで伸びる一本の線が耳に相当する部分) 上からは餌が降ってくる。 目に見えるものは理解することが出来る。私を生かすため定期的に餌を与えているのだ。 目的は未だ不明 また、定期的に水がリセットされる。 苔が茂り視界が濁る、気が付くと新しい水が私の周りを巡る

          金魚の脳みそ

          ストップ ・ モーション

          何においてもバランスが大事さ、 そこに在る一瞬 動き 止まる ストップ 傷付かないように目を逸らし 疑いもせず 思考を捨てた。 「アンナ・ハーレントお許し下さい。」 人間を逸脱した次元に片足を突っ込み、囁く 私達は生きていける世界を見付けなければいけない 自重で沈む 。 モーション 刺激と共に目を覚ます 傷付かないように、笑う 目は濁る

          ストップ ・ モーション