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これは僕の、恋愛に関する物語だ


恋多き人生。

なんてよくいうが、そもそもみなさんはどれだけの数恋をして、どれだけ辛い恋愛をして、どれだけ失敗と後悔を重ねているのだろうか?仲の良い友達やテンションが上がった知り合いの話ばかりで、私の視野なんてとても狭く、唯一無二のエピソードがごろごろ転がっているんじゃないかと思う今日このごろ。

硬派豆腐メンタルの記念すべき一報目は、硬派豆腐メンタルの恋愛に関する物語である。

硬派豆腐メンタルの恋愛事情


私は今24歳、再来週には25歳になる大学生で、めずらしいレベルの堅気な恋愛をしてきたと最近思うようになった。16歳で初めて彼氏ができ、17歳で付き合い始めた彼氏(Kと呼ぶ)と現在まで合計8年近く付き合い続けている。といっても、Kとは4年目で一旦別れ、別れている半年間は2人の男性とお付き合いした。現時点でKとよりを戻してから3年半が経過したことになる。

Kとは本当にうまくやってきた。特によりを戻してからの3年半、私達は大きな喧嘩をすることも一切なく、互いに浮気をすることもなくうまくやってきた。愛想をつかした今も、彼に人間としての大きな不満はない。一方で情熱もないのだ。

安定した関係や誓約が自分の人生の味を薄めているんじゃないかと思うようになってきた。

Kは今わけあって海外生活を送っており、離れている間の3ヶ月間で彼のいない時間を過ごしてきた。なんなら今月末、はるばる彼に会いに行く予定もあった。Kは結構男気のあるやつで、去年私の留学先へ来てくれて、1ヶ月かけてヨーロッパの国々を周遊した、いわゆる苦楽を共にした仲だ。だから今度は私が彼に会いに行く番だと思っていたが、どうやら義理を通す情熱も愛情も薄れてしまった。


Kに愛想をつかしてしまったきっかけを考察してみた

第一次結婚ラッシュ?

彼との関係を見直そうと思ったきっかけは、周りの友達の結婚ラッシュが第一だった。憧れの女性歌手が自分からプロポーズしたというエピソードを聞いて以来、私は女ながらプロポーズは自分からしようと心に決めていた。そして昨年はすでに就職した友達の結婚・出産ラッシュで、一旦休止期間はあれど8年間も付き合っているKとの結婚について前向きに考えてみた。ちょうど周遊旅行の最後で、Kが子供のころから行きたいと思っていたギリシャのサントリーニ島に行く予定だったので、そこでプロポーズをキメてもいいと思いついたのだ。

私の結婚感はこうだ。名字は変えたくないので(女が男に合わせなきゃいけない社会状況なんて間違っている)、相手が私の名字に変えてくれるか、事実婚という選択になる。ちなみに「嫁入り」「婿入り」という言葉もヘドが出るほど嫌いである。Kの名字は至って平凡で、私の名字はすごーく珍しいというわけではないが、親戚以外で出会ったことがない。離婚した父方の名字といえど自分のアイデンティティでありとても気にいっている。でもKは私の名字に変えたくないらしい。たしかに、私も変えたくないと思っていて、やりたくないことを無理強いするのはあれなのでその気持は良く理解できる。となると、事実婚か法制度が変わるまで結婚を待つことになる。

とはいえKも私もまだ学生なので、婚姻届を出すかまでは正直どうでもいい。問題は、この人と結婚したいと現時点で思っているか否かで、思えるのであれば婚約してもいいと思ったのだ。樹木希林も結婚なんて若気の至りだって言ってたし。そして結婚する気がないのであれば、いろいろな人とお付き合いできるタイムリミットが迫っていると感じていた。

結局、サントリーニ島を訪れた時点では答えが出せず、プロポーズは延期した。今思うと、自分の中でプロポーズは今じゃないという言い訳をあれこれ作っていたんだと思う。実際はなんかしっくりこない、それだけである。

このなんかしっくりこないという思いを抱えたまま半年が経った。Kとの関係はその間もすこぶる良好であった。ただ、特にKが留学に行った2月以降、より大学の友達と深く付き合うようになってから、17歳で選んだ男は今じゃ絶対選ばないと考えるようになってきた。趣味趣向やものの楽しみ方、感じ方などなど、私も高尚な育ちをしたとは言えないが、どんどん合わなくなってきていることに気がついた。自分がとても気に入ったウィットに富んだ映画を勧めてもまったく心に響かなかったらしい。所詮映画の好みであるが、されど映画の好みである。自分の渾身の一本を「あんま好きじゃない」と一瞥されたら流石にしこりが残る。お前あんなに面白い映画見て面白くないとか、ちゃんと観たのか?正気じゃないわ。

こんな程度のごくごく微妙な違和感。今まで目をそむけていた微妙な違和感に気がついたとき、私も自由になりたいし、同時に彼のことも自由にしてあげたいと思った。Kは女慣れしていないタイプの男で、女友達はおろか、別れている半年間もマッチングアプリで会う約束をした女を、写真と顔が違うからと駐車場に置き去りにするような男である。ちなみにこの置き去り事件は彼らしくてお気に入りのエピソードである。でも顔立ちは整っているし、思いやりと魅力はあるので私がいなくても出会いさえあれば幸せな恋愛は巡ってくるはずである。

頭の中を覗いてみたい存在・L

そして実はもうひとつ、彼との別れを決意したきっかけは新しい気になる男・Lの存在である。

とにかくLはKとは全然性質の異なる男なのだ。楽器も弾けないし歌がバチクソ下手なKに対し、Lは朝こっぱやくから大学のデスクで弦を弾き始めるような男で、カラオケも大好きだ。胡散臭い自己啓発本を読むか読まないかのKに対し、Lはその見た目とは裏腹に文学をたしなむ男だ。博物館の類で展示のコメントなんて一切確認しないKに対し、Lはじっくり観察した上ですみずみまで記憶しようとする。商業色の強い最近の映画ばかり好むKに対し、古い映画をみっちり考察しようとするのがLである。男女ともに友達が全然いないKに対し、Lはいろいろな人と付き合いがある。

そう、私はLの見た目以上にその中身に惚れたんだと思う。Lのことが人間としてすごく新鮮で面白くて、もっと知りたいという気持ちなんだと思う。私がLに与えられる刺激は女であるがための肉欲とちょっとだけ長く生きてい年の功で、ほとんどないかもしれないが、私はこの先Lのことをもっと観察するつもりである。

ただしすぐにLと付き合いたいかと言われると、そういうわけではないし、そうしてしまうとまたKと一旦別れていたときと同じことの繰り返しになってしまうと思う。そもそも私は顔と体型が全くLの好みじゃないらしいので、セックス以外はお呼びじゃないってのが本音なのかと思う(これに関してはLの恋愛経験の少なさから来てて、おせばなんとかなる気はする)。なによりKとは大学で毎日必ず顔を合わせる関係(どちらかが退学しない限り少なくとも1年は彼と毎日顔をあわせることになる)なので、一発かまをかけて付き合おうとするには相当な覚悟が必要である。だからとりあえず、Lとは一肌恋しい時に温もりをお裾分けしあう仲でいい。

このKとの今後やLの存在を意識し始めた4月は、人生で最も悩み病み狂った月だったと思う。特に先週月曜にやらかしたLとの粗相のせいで、先週は生き地獄のような気分で大学へ通っていた。Lを抱くという最近の目標が達成された満足感と同時に、「やっぱ、全然硬派豆腐メンタルのことを意識してなかったんで、酔っ払って肩組んでるくらいがちょうどよかったんですよ」と帰り際に言われたショックがでかすぎた。毎日、昼夜場所問わず酒とタバコをかまし、夜はひとり眠剤でパキってパニックになっていた。Kにも「豆腐メンタル、今週なんか様子がおかしかったよね」と言われる始末である。

結局、Lとの間のしこりを解消すべく、先週末もういっかいLを自宅に招致し、思いの丈をうちあけた。そのかいがあってか、今週はおだやかに仕事に集中できたと思う。どうやらLも複雑な心境だったらしく、お互い板一枚挟んだ距離でつらい気持ちと葛藤していたらしい。何より、今週はLが私のことを女として観察し始めているんだなと実感した。多分一発目の粗相では、本当に私のことを仲のいい友達としか思っておらず、酒の勢いで致してみたんだと思う。でもあまりの展開の速さと心境とのギャップが大きすぎて、先週は頭が追いつかなかったんだろう。ちょっと悪いことしたなと思ってる。

一昨日の晩、今度は共通の友人たちとの友情を半ばぶち壊しかけながらもLをまた呼びつけた。半ばぶち壊しかけたという表現からもお察しのとおり、私はLの私生活を脅かすような疫病神なのかもしれない。

Lとの関係は不貞行為なのか?

この記録はKとの別れをメインに話す予定だったはずが、もうすでに別の男の話に切り替わってしまっていた。それくらい、自分の中でのKの優先順位が今とても低い状態なのだ。

何より、Kとまだ一応付き合ってはいるが、Lとの情事について全く罪悪感がないのだ。一ミリも。もう自分の中ではとっくにKから離れているのかもしれない。今晩電話がかかってきたら、私達の関係について切り出してみる予定だ。Kはヨーロッパの周遊初日で今は移動中のはず。そんな状況で別れを切り出すなんて、やはり私は関わってはいけないタイプの女なのかもしれない。こうやって文字に起こすまで、いかに自分が世間で言う自己中で身勝手な女か自覚がなかった。

人はそれぞれいいところと悪いところがあり、世間一般で悪いとされているところがある人にとっては魅力に感じ、逆にいいとされる面にうんざりされることもある。KにはKで魅力があり、LにはLの全く別な魅力があるって話だ。Kを振ってLに乗り換えるというより、Lをきっかけに自分の可能性と経験を深めていけというのが、天からの助言だと解釈することにした。

もう自己中でいい、私は自分の人生を生きるために、他人のことなんか気にしてられないんだ。






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