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「すごい写真」と「いい写真」|heyでカメラマンをやっています

幕張メッセ17時入り、久しぶりの撮影だ。LUNA SEAの写真を撮って、ライブレポートを書く。閃光と爆音で一気にスイッチが入るあの感覚を思い出す。この仕事をしていると、時々「なんでそういう写真の仕事ばかりにしないの?」と聞かれる。私の仕事はこれ以外にも数々あって、そのうちのひとつとして去年の夏から、heyという会社で写真を撮ったり文章を書いたりしてるのだ。家を出るまでの間に、heyでの写真を撮っていることについて書いてみる。

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heyはCoineyという電子決済のサービスと、STORES.jpというオンラインストアを作れるサービスがくっついた会社だ。当時CAMPFIREというサービスの立ち上げをしていた私は、Coineyとはオフィスをシェアし、STORES.jpを目を皿のようにして眺めながら仕事をしていた。だからheyができて、「メディアをできる人を知らない?」とCoineyの代表のnaokoさんに言われた時、すかさず立候補した。

heyの社カメになった

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そうしてheyに入って、heyMAGAZINEを立ち上げた。週2日くらいheyにいる約束で、その編集をやるつもりだったのが、社内のちょっとした撮影に呼んでもらえることが増えてきた。そうするうちにwantedlyに掲載するインタビューをまかせてもらえるようになり、採用広報の写真や事例取材をしたりもするようになった。STORES.jpが開催している写真講座をしたり、新しいグッズの撮影などもさせてもらった。ベースはheyMAGAZINEをやりながら、週2日みんなが入れてくれた写真の仕事をやるようになったのだ。

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出版社や新聞社には社カメという制度がある。会社に併設されているスタジオにずっといて、固定給で大小様々な写真を撮るのだ。その写真館的な営業スタイルは職人ぽくて、憧れだった。いつのまにか私はheyの社カメになれていたみたいだ。

「すごい写真」と「いい写真」

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写真やってますと言うと、「どんな写真撮ってるんですか」と絶対聞かれる。期待されている答えは、「風景です」といった被写体カテゴリまたは「AKBです」「ポパイとかやってます」というような有名な被写体か媒体(ちなみに両方やってない)。

この模範解答には、有名で名前のある人や媒体で撮ることが「すごい写真」だという前提がある。でも「いい写真」には有名な人を撮ったりお金をかけることとは関係ない軸もあっていい。

私が大学で写真を学んだ先生たちは、定点で月が地球に沿って伸びていくラインを数ヶ月かけて撮影したり、フェミニズムという言葉がこんな風に有名になる前から男性写真家に逆らって彼氏のヌードを撮影したりしている人たちだった。有名な人を撮ってもいるけれど、いつも「いい写真とは」を軸に写真の話をしてくれた。私の下手くそな写真を机に並べて何時間もかけてみてくれた。すごい写真を撮るためではなく、いい写真を撮るためだった。すごい写真を撮らせたければコネでもなんでもつないでくれればよかったんだけど、そんなことは一度もされたことがない。写真をめぐる時間はいつも世界をどう見るかを語り合う時間で、ずっと夕焼けを見ていた授業もあった。

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私にとってのいい写真は、写真が手段になっている写真

そんな先生たちに導かれ私がやっと自分なりの「いい写真」にたどり着いたのは大学3年生の時だ。当時10年間くらい別居していた父と母を同じベッドに寝かせて撮影したシリーズに、「いい写真がとれたかも」という実感があった。

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それは、写真が手段になっている写真だった。父と母に「一緒に住んでみたら?」と言えなかったから、写真を撮った。写真から人はたくさんの情報をフラットに受け取ることができる。この写真を手段にして自分の純粋すぎて時々エモすぎるらしい感情を世界に伝えられるのが私にとっての「いい写真」なのだ。

七・五・三で緊張して撮る写真。子供に一眼レフを渡してみて撮ったピントがぼけた写真。一緒にいる口実が欲しくて撮るプリクラ。戦争に行く時に心臓がわのポケットにしまう彼女の写真。そういう人の思いが溢れて写真という手段をとった写真が好きなのだ。

heyで写真を撮っている

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heyは、全力で成長していく成長期の少年みたいな会社だ。私が入った時から人数は倍くらいに増えた。それでも働いている人たちにはお互い助け合いながら目的を達成しようという仲間意識がある。業務委託の私からはみんなが立ち向かっているプロジェクトが全部繋がって見えて、今のことなんてあっとういうまに昔の話になってしまうんだろうなというタイムラインの速さを感じている。さらに、2社がくっついてひとつの会社になるという珍しい組織体だ。

ここで撮る私の写真は、採用広報、グッズの写真という一次的な目的だけではなくて、私が勝手に決めた目的がある。

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まずみんなの会社への自己肯定感につながること。働いてるみんながすごくいい顔していて、すごくいい時なんだということを伝えたくて撮っている。

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家族や恋人や友達に、どんな会社なのと聞かれたら、「うちの会社?こんな感じだよ」と見せて誇らしい写真にしたいし、未来にheyの仲間になるひとに誤解がないように、いいところを素直に伝えようと撮っている。そして、写真て不思議なもので、写っている自分が楽しそうだと楽しさに気付けたりするのだ。そういう好循環がheyをいい会社にすることに0.1役買うといい。

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さてと、もうすぐ撮影に行く。いつも撮影スタイルをまかせてくれ、「光ちゃんが撮るならまかせるよ」といってくれるnaokoさんや協力的に写真を撮らせてくれるheyのみんなのおかげでちょっと写真が上手くなった気がする。それがこれから行く現場のようなライブ写真にも生きている。

花火のように自身が光りながらみんなの顔を照らすバンドを撮るのも、爆速で成長していくスタートアップのみんなを撮るのも、私が勝手に決めた目的がある。いつかそれが叶えられて写真が手段になったとき、いい写真ってやつになるはずだ。

このnoteはnaokoさんのこのnoteのアンサーでした。



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